4 俺の決意
「ありがとう、ファリア。俺は――やっぱり試練を受けるよ」
俺はあらためて決断した。
「お前はかけがえのない相棒で、俺の友だちだ。お別れしたくないけど、もしも……もう一緒にいられないなら、俺は」
胸が熱くなる。
振り返ると、ファリアとはいくつもの戦場を駆け巡ってきた。
勇者として、そして魔王の元に身を寄せてからも、ずっと――一緒だった。
「……ありがとう。今は、それ以外に言葉が見つからない」
「私も同じだ。君の試練が上手くいくことを心から願う」
ファリアが言った。
「もちろん、これからも一緒にいられることも――な。さあ、行ってこい」
「ああ。がんばるよ」
俺はうなずき、白騎士に向かい合う。
「聞いた通りだ。俺は試練を受ける。始めてほしい」
「了解した。シオン・エルフィードの試練を開始する――」
「私に一撃当ててみせよ、人間」
白騎士が剣を構えた。
「――お前に勝てばいい、ってことか?」
「力をただ示せばいいわけではない。お前は心も示さねばならん」
と、白騎士。
「心……」
「その両方を、私との試合で見極める。さあ、来い」
「分かった」
俺は聖剣を構えた。
「お前と一緒に戦う最後の機会かもしれない。俺たちの全てを出し尽くそう」
「心得た」
ファリアの声が返ってくる。
いつも通りの頼もしい返答が。
「いくぞ――」
俺は聖剣を手に駆けだした。
「つ、強い――」
俺は荒い息を突き、その場に崩れ落ちそうになるのをこらえていた。
白騎士は信じられない強さだった。
仲間たちに強制自爆をかけられ、そこから復活して――俺は強くなった。
もはや世界に敵う者はいないほどに、強くなったつもりでいた。
けれど、上には上がいる。
「その程度か?」
白騎士が淡々とした口調でたずねた。
見下すわけでもなく、失望感を見せるわけでもなく――ただ事実を確認しているだけ、という様子だ。
「……まだまだ」
俺は気合いを入れ直した。
「俺は絶対に魔族になる。そしてヴィラと一緒に生きていくんだ」
相手がいくら強かろうと、俺の闘志は折れない。
この試練、絶対に乗り越えてみせる。
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