13 現代、ティアナたちに課せられたもの
「魔王軍とふたたび戦うために世界規模の選抜部隊が結成される……あたしたちはそこの中心として働くのよ」
ティアナが言った。
「贖罪、ということですわね」
「まー、そこで活躍して名誉回復するしかないよね~」
「魔王は強敵……気を引き締めないと」
カトレア、イングリット、ユーフェミアがうなずく。
と、
「そうですね。あなた方には存分に働いてもらいます」
入って来たのはメリーアンだった。
その目はギラギラと異様な光を称えている。
「殿下……」
ティアナはキッと彼女をにらむ。
とはいえ、口調だけは丁寧に、
「何か御用でしょうか」
「ええ、大切な用事が……ふふ」
メリーアンが微笑む。
口の端が大きく吊り上がり、清楚な美貌が異様なほど醜悪に見えた。
「殿下……?」
ティアナは怪訝な気持ちで彼女を見つめる。
明らかに様子がおかしい。
まさか、シオンのことでティアナたちを恨んで、なんらかの攻撃でも仕掛けてくるというのだろうか。
もっとも、メリーアン自身に戦闘能力はないに等しい。
強力な召喚獣なり魔導兵器なりを使ったところで、ティアナたち四人には通じない。
「あなたがたは私の愛しいシオンを自爆させるという暴挙に出ました。そのことについて古代の魔導書を調べていたとき、面白い術式を発見したのです」
メリーアンが微笑む。
「いずれ、あなた方に報いを受けさせるためのとっておきですわ。数度の儀式を経て、ようやく発動の準備が整いました――」
「な、何……!?」
メリーアンの様子が、やはりおかしい。
いや、というよりもこれは――。
「何を企んでいるのですか、殿下!」
「企んでいる? これは復讐ですわ」
メリーアンが口の端を吊り上げて笑った。
「私のシオンを傷つけたお前たちを――私は絶対に許さない! 死ぬまで戦う怪物となるがいい!」
その瞬間――。
「なっ!?」
「えっ!?」
「うっ!?」
「あっ!?」
四人の驚きと戸惑いの声が響く。
「くくくく……はーっはっはっは……あはははははははは! これが貴様らの報いよ! 異形の戦鬼となり、世界のために戦い続けるがいい!」
メリーアンが哄笑する。
その視線の先には、四人の――いや、四体の黒い鬼がたたずんでいた。
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