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9 ティアナとシオン2


「やあ、ティアナ」

「あ……シオン」


 ティアナは彼を見つめた。


「こんな時間まで修行?」

「ああ。俺は弱いから……早くティアナに追いつきたいと思ってるんだけどなかなか上達しなくて」


 苦笑するシオン。




 ――あなたの想い人に才能はない――




 ユーフェミアの言葉を思い出した。


「……才能がないから」

「えっ」


 思わずつぶやいた言葉にシオンが反応する。


「……だよな。自分でも分かってるんだ。俺に剣の才能なんてない、って」

「あ……ご、ごめんなさい。こんなこと言うつもりじゃ」


 ティアナはバツの悪い気持ちで謝った。


 シュンと落ち込んだ様子のシオンを見ていると、心が痛んだ。


 やはり自分は彼のことを意識しているのだろうか。


 特別な才能や家柄、容姿などに恵まれたわけではない、この凡庸な少年に――。


「シオンは、がんばってるじゃない」


 ティアナが微笑んだ。


 ゆっくりと手を伸ばす。


「ティアナ……?」


 そのまま彼を抱きしめた。


 抱きしめた後で、自分でも驚く。


 衝動的な行動だった。


「大丈夫……だよ。あたしが側にいるから……」


 あたしは何を言っているんだろう?


 ティアナは自分で自分に戸惑う。


「ティアナ――」


 シオンが深い息をつくのが聞こえた。


「……ありがとう」


 ゆっくりと離れると、彼の顔が間近にあった。


 微笑む彼の顔は寂しげで切なげで――。


 今までに出会ったことのないタイプの男だと実感した。


「シオン、あたし……」


 ティアナは彼に顔を近づける。


 震える唇を、彼の唇に――。


「お、俺、そろそろ行くから……っ」


 驚いたようにシオンは遠ざかった。




「はあ……」


 ティアナはため息をついた。


「何やってんだろ、あたし」


 まさか、今まで異性として意識していなかったシオンに、自分からキスしようとするなど。


 自分で自分が分からなくなる。


「まさか、あたし……シオンのことを……?」


 いや、そんなはずはない。


 彼女が好きなのは、自分と同格以上の――それこそ歴史に名を遺す英雄のような人物だ。


 シオンではあまりにも……彼女の理想には届かない。

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