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変化

「はあ……」ヒロは大きなため息をついた。


「な、なによ!そのこれ見よがしのため息は?」ヒロの様子を見てカルディアは不服そうに大きく頬を膨らませた。


「お前も大概だな・・・・・・」ヒロは呆れた顔で彼女の姿を見つめた。

 カルディアはまるで着の身着のままで飛び出してきたように荷物も持たずに、真っ赤な暗殺着の下に黒いズボン、腰には大きな刀を携えている。その傍らに銀髪の狼従えていた。それこそ、昨日残りの金を使いアウラ達を目立たないようにしたのが、全て無駄になった思いであった。

 案の定、すれ違う人達はカルディアのその姿をいぶかしげに見つめていた。


「その格好かっこうどうにかならないのかよ。アサシンが目立ってどうするんだ!」ヒロは少し吐き捨てるように言った。


「な、なによ!仕方ないじゃない!これが私の一張羅なんだから!!」カルディアは少しねたように呟いた。


「それじゃあ、せめてルイはなんとかならないのかよ。注目浴びすぎだろうが」ヒロがそう言うとルイは反応したように牙を剥き出しにした。


 ガルルル!


「ルイ!!止めなさい!……仕方ない、ルイ!」カルディアが声をかけるとルイは小さくなって彼女の身体を覆った。それが丁度真っ赤な服を隠すようになった。


「おっ、いい感じじゃないか!」見事なルイの変化へんげにヒロは感心した。


「ルイも変化の術はお手のものなのよ」なぜかカルディアが自慢気に胸をはった。

 それでも女ばかりの一同は目立つようで男達の視線は彼女達に釘付けであった。その様子を見てヒロはもう一度、大きなため息をついたのであった。


「それで、どこでオリオン王子って奴を襲うの?」カルディアが思い出したように聞いてきた。そう今回の旅の目的はあくまでオリオンという王子の暗殺なのだ。


「ひとまずブランドーの街に身を隠して、オリオン王子が街を出るのを待つ、それから一人になった奴を暗殺する」ヒロは真っ直ぐ前を見つめながら答えた。


「でも、身を隠すって言ってもどこで隠すのよ。お金はもうないのでしょ」彼女が痛いところを突いてきた。


「うっ……」返す言葉が無かった。


「ヒロ様、私達に任せてくれませんかだっちゃ?」アウラが口を開く。


「えっ?」突然の提案にヒロは驚く。


「お金が無くなったのは、アウラ達のせいだっちゃ。だから、アウラ達がお金を稼ぎますだっちゃ」頭のいいアウラにはヒロの所持金が無くなってしまったのは自分達のせいであるということを理解しているようであった。そしてアウラには何か考えがあるようだった。


「でも、盗みとかそんな事は駄目だぞ」ヒロは少し心配そうにアウラを見つめた。


「そんな事はしないですだっちゃ!私達に任せてくださいだっちゃ!!」アウラはカカとイオに目配せした。


 二人はアウラの意図が解ったようで力強く頷いた。


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