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焚き火

「オリオン様もヒロが女である事を前から知っておられたのですか?イオちゃんも知っていたみたいですし……」カルディアは膝を抱え顔をうずめた状態で尋ねた。


「ああ、ヒロの骨格と……、雰囲気というか……、なんというか男の感というか、初めて会った時からなんとなく解っていたよ。それを君達に隠していると知ったのはあの宿で初めて一緒に食事をしてからだけどね」オリオンは目の前に作った焚き火の中に木の枝を放り込んだ。火の中で枝がバチバチと音を立てていた。


 もう、日がすっかり暮れて辺りは真っ暗になっている。食事を済ませて、アウラ達も疲れたのかルイを枕のようにして眠っている。

 今晩もルイとアウラ達が調達した魚を焼いて食べた。皆満腹になったようで幸せそうに眠っている。


「私は気づかなかった……。というよりも、そんな事を考えたこともなかった。ヒロも自分は男だって言っていたし、子供の頃からそういう風に接してきたし……、師匠もヒロの事を男の子として扱っていたし……」カルディアは更に膝を強く抱いた。


「彼の事が……、ヒロの事が本当に好きなんだね……」オリオンは真っ直ぐに火を見つめている。


「う、うううう」カルディアから嗚咽が漏れる。


「……」彼女にかける言葉が見つからない。


「私、ひとりでずっと馬鹿みたい……。ヒロの事を追いかけて里を逃げ出して……、ヒロの事を追い詰めて……」カルディアはうつむいたままであった。


「これは気休めかもしれないが、性別を越えた愛もある……、と僕は思う。君達は君達のままだ。君の前からヒロが消える訳ではない。そして、ヒロを好きになった君の心に偽りはないだろう」


「……」カルディアはオリオンの顔を見つめる。


「慰めにもなってないか……」オリオンは頭を掻いた。それは彼にしては珍しい行動に見えた。


「私はヒロを好きなままでいいんですか……ね?」カルディアは少し顔をあげて、そばで寝ているヒロの顔を見る。イオのお陰で体が癒えたのか安らいだ顔をしている。


「それでも好きならば……、それは誰にも君の気持ちを変える事は出来ないし、変える権利も無い」


「ディアナと取り合いになっちゃうかな……」小さな声で呟く。


「えっ?」オリオンは彼女の声が小さくて聞こえなくて聞き返す。


「もう、オリオン様にも、私は負けませんよ」カルディアは少し無理をして笑っているようであった。


「解った、望むところだ」オリオンも彼女の心を理解するかのように微笑んだ。


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