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畏怖

 後で解った事であるが、ハルピュアの巣穴にはもう一人のハルピュアがいた。彼女は心無い人間により傷つけられ瀕死の状態になっていたようであった。

彼女達は、元々この地を守護する、アエロ、オーキュ、ケラノー、ポタルという四姉妹の女神であったそうだ。しかし、末妹のポタルを瀕死に至らしめた人間をうらみ、あのハルピュアの姿に変わり、妹に与える食料や薬を調達していたそうだ。ポタルのキズはイオの力によってある程度まで回復する事ができた。もちろん、治療を行った後でイオはあり得ない位の食料を食べた。それはハルピュアに負けないのではないかと思われるほどであった。


 あの時、術式によって変化したヒロは敏感に回りを認知する能力が備わっていた。その力によって、地下に潜んでいたポタルの心の声が聞こえたのだ。その瞬間、ヒロには砂一粒が動く気配さえ感じる事が出来る位であった。


 そしてヒロには、オリオンの心の声も聞こえていた。彼のヒロを愛する心……、そして人成らざる者へ到達しつつあるヒロへの畏怖。それが交錯した物であった。


「オリオン……」ヒロがオリオンの目を見る。


「あ、ああ、君のお陰で解決した。ありがとう……」なぜか、その言葉によそよそしさを感じてしまった。


「ちょっと、ヒロ!酷いんですけど!!」カルディアが膨れっ面をして突っ掛かってくる。


「あ、ああ……、えっ?何が」ヒロは心有こころあらずのように答える。


「別に私の歌じゃ無くても良かったんじゃない!乙女の歌って言ってたけど、綺麗な歌声だったら男の子の声でもハルピュアは大人しくなったじゃない!さては、初めから私をからかって!!」カルディアは結構怒っているようであった。


「そ、そんな訳ないじゃないか!あれは、なんだか自然に、そう自然に歌ってしまったんだ」実際、ヒロには自分が歌を歌った自覚はなかった。本当に勝手に口が開いたというのがヒロの本音であった。


「それにしてもあの地獄から響くような声はないだっちゃ」アウラはまた青い顔をして震えていた。


「うるさい!」カルディアは腕を組んでそっぽを向いた。


「でも本当にアプロディーテちゃんの歌声、素晴らしかった。私の子守唄も歌ってよ」ディアナがヒロに体を擦り寄せてくる。相変わらず露出の多い下品な姿にヒロは呆れる。


「ちょっと離れなさいよ!なにがアプロディーテちゃんよ!」カルディアがディアナの体をヒロから引き離す。


「なによ!」「なによ!」女の戦いが始まったようだ。


「それでは、僕は一足先に町に戻るよ……」オリオンはそう言うと馬に飛び乗り帰っていた。


 そのオリオンの表情はヒロが初めて見るものであった。

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