表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強は最高にわがままな証  作者: 早乙女 鰹
第11章 邂逅
96/110

第93話 邂逅

マナはルノアールとゼロの二人と別れ王都の下半分を捜索する。

血の匂いを辿り王都を駆ける。


だが、時間がたっているせいか血の匂いがする場所がバラバラなのだ。



なにやってんのよエミール....



心の中でぼやく...エミールが出ていったのは自分のせいでもあった。

どうしてあんな風に煽ったか自分でもわからない。


本当は羨ましかった...何をしててもグレースはエミールの事を考えている...

エミールの事を話す彼は本当に楽しそうだった....




噛みちぎれそうな程唇を噛みしめて街中を爆走する。

吸血鬼の特殊移動である【影移動】を使い影の中を素早く移動するが成果はあまり無かった。



そんな時ゼロから思念が届く。



(母さん見つけたよ。ここ来れる?)


(今行くわ)



転移した先でゼロは中の様子を伺っている様だった。

そんなゼロの影を利用し移動する。



「ここで待ちなさい」



嫌な予感がするのでゼロは入り口で待機させる。

恐れる事は無いのでそのまま扉を開ける。


ボロ小屋の様な家の扉を開けると男が二人で迎えた。



「邪魔よ」



押しのける様に手を動かし首を切断する。

これをするからゼロは連れて来なかったのだ。


取れた首は血飛沫をまき散らしながら倒れる。


残された男は建物の奥へと逃げて行くのでそれを追いかける



「案内するなんて親切なのね」



地下への入り口まで辿り着いた男の首を切断する。

血は地下へ続く階段を滝の様に流れて行く。



階段をゆっくりと降りて行くと男が二人....それから...エミー...




男二人は下半身をむき出しにした状態でエミールに近寄っている。



その瞬間に私は怒りに我を忘れた。



2人の男をエミールから遠ざける様に吹き飛ばす。


血を操り苦しませながら殺す。

血管の一部を固めそこに止めどなく血液を流し続ける。

すると体は弾ける。

それを一部づつやって行く。


右足。


左足。



四肢が徐々に弾けて行く。

男は苦悶の表情を浮かべ痛みに悶絶する。


だが、まだ死なせない。


脳への血は送る。

痛みでまともな思考は出来ないはずなのに冷静に痛みを理解できる。

そんな苦しみの中でゆっくりと死んで行け。



爆ぜた男の血を解析し記憶を読み取る。

脳内を駆け巡る凌辱の記憶....


苛立ちと共に安堵で胸を撫で下ろす。



「ひとまずは大丈夫なのようね...」



涙を流すエミールを抱き覇王城へと転移する。



(ゼロ、エミールは私が連れ帰るわ...一人地下に残っているから生きた状態で捕えなさい。もうすぐお父さんが来るはずよ)


(わかったよ母さん。エミールさんは大丈夫?)


(大丈夫...とは言えないわね)



覇王城の浴室に転移しエミールの服を脱がし体を綺麗にするべくシャワーで髪を洗う。

エミールを綺麗にし湯船に浸ける。



その間、エミールは一言も喋らない。

あんなに元気だったエミールはずっと俯き涙を流している。

私には掛ける言葉が見当たらなかった。


ただ一緒に湯船に浸かり傍に居てあげる事しかできなかった。



「....とう...」



ようやく聞こえて来た声は微かな声だった。



「いいわ別に。それよりごめんなさい...もっと早く...助けられなくて」



首を横に振るエミールに優しく微笑みかける。



「怖かった?」



エミールは頷く。



「辛いよね...」



エミールは頷く。



「もうお嫁に行けないと思ってる?」



エミールは頷く。



「なら私が紹介してあげようか?」



エミールは首を横に振る。



「貴女がお嫁に行けないって思ってるなら私がお嫁に連れて行ってあげる」



「何それ」


そういい笑うエミール。

自分でも何を言ってるんだろうと思う。

人を励ますのは初めてだから....どう声を掛ければいいかがわからない....。


「あの人なら絶対受け入れてくれるわよ」


「ううん....グレースは私の事なんて...」


再び蹲るエミールをからかう様に笑いかける。



「誰もグレースだなんて言ってないけど?」


「だって今の流れは確実に!!」



顔を真っ赤にし照れたように怒るエミールにまた笑いかける。



「ようやくちゃんと笑った」



私の言葉に驚いたエミールは戸惑う。



「まさか私を笑わせる為に?」


「だって私の知ってるあなたは笑顔が似合う人だったから。見てられないわ」


「もっとましな励まし方あるでしょ...」


「だってわからないもの....私は泣く子も逃げ出す吸血鬼の魔王よ?人間の...それも乙女...恋敵の励まし方なんて知るわけ無いでしょ?」


「恋敵って言うなら...私は敗者ね...」



エミールは天井を見ながらつまらなそうに言う。

違うよエミール...あの人は...。



「敗者は私よ...あの人と出会った時からね」


「それってどうゆう?どう考えても貴方が勝ちよね?子供までいるし...」


「いい機会だから言うわ。私は時空の狭間でグレースと共にグレースの過去を追体験した。あなたも知ってるでしょ?別の次元の自分自身の事」


それから私はエミールに説明をした。


「別世界の私は貴方に殺されてるのよ?あの人にとって私は目にも止まらぬほどに矮小な存在だった

あの人はわがままでなんでもやりたい放題で...色んな女の子にちょっかい出すし...」



私の目からは自然と涙が流れていた。

自分でも理由は分からない。



「でもね、あの人の行動は元を辿れば全部貴方の為なのよ...あの人が世界を統治したのも....世界を渡ったのも...全部...全部...あなたの為なのよ...」



その事実に驚いたのか或いは泣いてる私に驚いてるのかエミールは困惑する。



「たとえエミールがどんな姿になったとしてもあの人はきっと好きになるわよ。それが今のあなたでもね」


「それはスカーレットさんが...」


「マナよ....私の名前はマナ。これは特別よ」



誇る様に笑うとエミールはいつもの様に笑う。

これで少しは安心。



「なら...なんで来ないのよ...私を助けに来てくれたのはマナじゃん,,,」



贅沢な悩みに悩むエミールを笑う。



「私も初めて見たわ。あの人のあんなに必死な顔。当番のフリューゲルちゃんにも怒鳴ってたし。それにシーラちゃんにも。ルノアールに皆殺しを命令したときはどうしたのかと思ったわ」


「グレースが私の為に?シーラちゃんに怒るなんて...」


「それだけ余裕が無かったのよ。死者を蘇らせれるし新たに肉体を生み出せる程の力を持ってるのにね」



2人で笑いあう。私がその時のグレースの物真似をハイクオリティーでやったのもありエミールはいつものエミールに戻った。



「似すぎよ」


「そう?」


「そろそろ上がるわよ、きっとあの人が待ってる」


「うん」



湯船から上がり脱衣所に行く。

その途中で突如脱衣所の扉が開く。


「ちょ!ちょっとグレース!!」


脱衣所に入ってきて早々グレースは裸のエミールを抱きしめる。

エミールの顔は真っ赤になっているがそれはお構いなしだ。

強く抱きしめられるエミールが少し羨ましくも思う。



エミールは抱きしめられているから見えてないだろうけど...ちょっと茶化しちゃおうかな。



「なに?泣いてるの?グレース」



薄く微笑む。



「泣いてるわけがないだろう!」



エミールを放したグレースは一瞬、顔に手を翳すと涙の跡は一切残っていなかった。



ようやくエミールが何も着ていない事に気付いたのかグレースの顔はみるみる内に赤く染め上げられていく。

焦ったグレースは指を鳴らさずにエミールに服を着せる。



「ちょっと....まだ体拭いてなかったのに....」



グレースが滅多にやらない事。ミステイクだ。

いつもの様にグレースは指を鳴らす。


身体を乾かした上で新しい服を着せる。



「もういいわグレース。ありがとね」



笑顔を向けるエミールにグレースはタジタジだ。

あれのどこが敗者なのよ!!と私の嫉妬心は置いといて。



「グレースは何してたの?」


「あぁ色々とな。マナこそゼロを置いていくなんて可哀想だぞ」


「あ...そういえば...」


「ゼロ...王国の衛兵に囲まれて大変そうだったぞ...」


「なんとかなったのよ...ね?」


「まぁ一応な...」



不安が拭えないが...ちょっと聞かせてもらわないと...

まずは何をし始めたか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ