表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強は最高にわがままな証  作者: 早乙女 鰹
第10章 覇王城攻略
90/110

第87話 ゼルセラVSゼルセラ

「私の勝ちですね」



ゼルセラは笑いながら問いかける。


それは相手のゼルセラが言ったものではなくオリジナルのゼルセラがマナに向けて放った言葉だ。

愉悦の笑みを浮かべマナを煽るゼルセラ争いは起きないはずも無く....



「は?まだ生きてますけど?なにか?」


「貴女が惨めにも私の名を呼ぶので仕方なく助けてあげたのですが?それが無ければあなたは今頃...」


「結果はどうであれ私は生きているわ!!」


「その結果を生み出してあげたのが私と言う事に気付かないのですか?」


「なにィ?!」「なんですか?」



相手のゼルセラがいると言うのにバチバチと喧嘩を始める二人



どうしてこんなことに....ありがとうの一言で済む話を...



「敵の前で何を争っているんだ....いままで獲得してきた覇王級アイテムを没収されたいのか?」



俺の言葉を聞きゼルセラは一気に大人しくなる、張り合っていたマナが完全に置いてけぼりだ。



「では、私はあれを倒してこようと思います」


「ひとりで行けるか?全く同じ条件だぞ?」


「同じではありません、だって私にはご主人様が居ますから、負けられません」



そうか....なら任せるとしよう。



「安心してください、私は日々進化していますから」



満面の笑みで相手のゼルセラに向き直るゼルセラを少し哀れな目で見る。



だから相手も同じように成長するんだけどな...



そしてゼルセラは激しい戦闘を繰り返す。

事象の改変を改変する、そんな争いが続く。



ゼルセラは大鎌を使った戦闘方法も得意だが体術もかなり得意だ、事戦闘に関しては変態レベルで詳しいのだ。

一発一発がかなりの速度と重量を誇る、その様子を見ていた一同はドン引きだ。



「ちょっと怖いんだけど...」


「余もこわいのだ...」


「ゼルセラって私が思ってる以上にやばい奴なの?」



マナの引き攣った表情を俺はそっと横目でながす。


そうだよ~ゼルセラはやばい子なんだよ~あはは~


と告げる事が出来たらどんなに楽な事か....


 ゼルセラは楽しそうに笑う、ただその笑顔は優しそうな微笑とは違う。

瞳孔は開き口角は上がり目は淡く光を放つ。ゼルセラの事を知って居れば楽しそうに見えるが知らなければそれは狂気の笑みに他ならない。


 少しがだゼルセラの頬は赤くなっている、まさに変態。戦いが好きで愛していて戦いに恋をしているそれがゼルセラだ。

どこまでも強さを追い求め俺の元へたどり着こうとする、そんな姿に俺もシーラも関心している。


武器術、体術、それに加え魔術もゼルセラの得意とする事の一つだ。


ゼルセラの扱える最高位の魔法は覇王級魔法【混沌之隕石(カオスメテオ)】メテオ系の魔法の最高位の魔法を扱える、だがそれは一回のみ【混沌之隕石(カオスメテオ)】は使用MPが膨大過ぎて乱発はできない。

だからこそ、最善のタイミングを伺う、外した方が負けるのだ。


超級魔法を乱発しタイミングを計る、吹き荒れる極大魔術の旋風に立つことさえままならない一同。

だが、戦闘のプロフェッショナルのゼルセラ相手では致命打にはならない。


 俺とシーラ以外には恐らくテレポートとしたように見える程の速度を誇る。

ゼルセラは既にシルビアを圧倒するステータスを得ている、ステータスだけで言えば俺とシーラの次に強い存在だろう、それほどまでにゼルセラは圧倒的に強くなっていた。

俺が力を与えて強くなったのではなく自力で強くなりよくぞここまで上り詰めたものだ。


俺とシーラはゼルセラを既に認めている。彼女は俺達を覗いて最強、頂に至ったのだ。



 戦闘に視線を戻せばそこには満身創痍になっている二人のゼルセラが未だ戦闘を繰り広げている。

すでに最初の頃に合った余裕は失われており真剣な表情で戦闘をしている。

自分自身を超える事はそう簡単な事ではない、ゼルセラは簡単に言ったが大変さは本人が一番知って居るだろう。

他のフリューゲル達も過酷だと知りながら自分自身と戦う事で強くなっていく。

自分自身と戦い自身の弱点を見極めその対策を模索する。

だからこそ、フリューゲルは強いのだ。


フリューゲルは達の完成形。それこそがゼルセラだ。


だが、全員にそれを求めている訳ではない、別の部門に特化してくれても構わないと思っている。

それこそリーエルの様に生命を尊重し戦いを拒む存在だってあるべきだ、それに関してはゼルセラに怒られてしまっているが...



そして戦闘は最終局面。

相手のゼルセラに魔法を乱発させオリジナルは相手に【混沌之隕石(カオスメテオ)】を使えない状況に陥らせることで勝利を目指したのだ。


 オリジナルのゼルセラも魔法は使用する、だがそれも消費魔力の少ない物を使用する。

だが流石に分が悪い、徐々にではあるがオリジナルが押されてきている、それも当然の結果と言える。

魔力の消費量が多ければ多いほど威力は高くなり回避は困難となる。



そして戦闘は終わりを迎える。

相手のゼルセラの魔力が一定値を下回ったのだ。

それを確認したゼルセラは最高位の魔法を発動する。



混沌之隕石(カオスメテオ)



赤黒いオーラを纏う隕石は辺りを赤く染め上げその圧倒的な大きさと破壊力ですべてを蹂躙した。



閃光が収まった後、立っていたのは既に虫の息のゼルセラと元気なゼルセラだ。

元気なゼルセラは倒れているゼルセラの喉元に手を当て力を込める


苦しむエルセラと愉悦の笑みを浮かべるゼルセラ。

そして最後の魔法が発動された。


混沌之吸生(カオスギアド)



満身創痍だったゼルセラはすべてを吸収しHPとMPが全回復し満面の笑みを浮かべている。


かなり良い装備アイテムでも獲得できたのだろう。



「ちゃんと見ててくれましたか?」



なんて俺に問いかけてくる



「もちろん見てたさ、それでどんなアイテムを獲得できたんだ?」



よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに自信ありげな表情を浮かべ俺にそれを見せてきた。

純白だった翼は徐々に漆黒へと変わっていく。



混沌之翼(カオス=シーズ)



「どうですか?白と黒どちらが私に似合うでしょうか」



俺はその姿を吟味した。

漆黒の翼は力強さの象徴ともいえる、いままでの様なかわいらしさや清純さと言うものは残念ながら感じられない。

うむ....個人的には今まで通りの白が良いと思っている。...が...



「俺としては白だな、元々作った時点で俺の理想だったか...」



おっと、何を口走っているんだ俺は....


俺の言葉を聞き頬を紅潮させるゼルセラ。


やってしまった...完全にスイッチを入れてしまった。

翼を元の純白に戻したゼルセラは翼をフリフリとさせながら俺の元ににじり寄ってくる。



「やっぱり私はご主人様の理想だったのですね、嬉しいです...であれば....」 


「ゼル...」



興奮しきったゼルセラもシーラの一言で素に戻る。

どうやら既にシーラへの反抗の意思はないようだ



「はい!心得ております!!」



さっきまでの表情が嘘のような態度をとるゼルセラをかわいくも思う



「ラストバトルと行きましょう」



シーラの言葉で俺たちは正面へと向き直る、その先には俺自身が待っている。

さて....どう攻略したものか...



すでにミーシャ達に戦闘の意思はない、完全に傍観に徹するようだ。

ゼルセラは当然の様に戦うつもりなのか先陣を申し出る



「おすすめはせんぞ?」


「わかっています、ですがせっかくここまで来たのですから、戦わないと損じゃないですか」



 当然の様に笑うゼルセラ、だがゼルセラにも案があるようだ。

茶々丸を呼び出したゼルセラは忍術を発動させるよう命じる

そうして生み出されたのがもう一人のゼルセラだ。

どうやらこの分身体はオリジナルと全く同じステータスを誇り能力も同じようだ。



「分身体を先行させます、一割くらい削れると嬉しいのですが...」



俺の忠告も聞かずに分身体を俺の居るエリアに侵入させる。



だが時間にして刹那。

轟音と共に分身体消滅。



「う...初撃を回避できませんでした...」



 どんだけ死地なんだよこのエリア...あのゼルセラを瞬殺とか....と言う表情を俺含めシーラ以外の全員が浮かべている。

そこで俺は疑問に思った、ゼルセラは覇王級装備の大鎌を所持している、所得条件は俺に触れる事。

だが今のを見る限り触れれるとは思わない、今のステータスで触れることすら出来ないのならかつてのゼルセラでは不可能だとも思える。

そのゼルセラが一体どうやって条件をクリアしたのか...



「どうやって俺に触れたんだ?」


「えっと...たしかご主人様からの攻撃ですかね、あれはたしか....156万8764回目の戦闘ですね」



その戦闘回数はさておき、俺からの攻撃で獲得?それは?



「ご主人様は【混沌之吸生(カオスギアド)】と言う魔法をお持ちですよね、あれを【覇王之御手(オーバーハンド)】で発動されましたね」




 納得だ...【混沌之吸生(カオスギアド)】は相手に触れて発動する魔法だ、だが【覇王之御手(オーバーハンド)】に関しては空間を越え対象に干渉することが出来る。

つまり俺は動かなくても手で相手を掴むことが出来るのだ。

俺が触れた判定に入るのか。


まぁいい、思考を切り換え俺との戦闘の事を考える、弱点なんて全くと言っていいほど思いつかない。

話を聞く限り俺程理不尽な存在はいないだろう。


そんな理不尽な俺と対面する。


俺は初めて俺と対する。

俺自身の攻略イメージがまるで掴めない...さてどうしたものか...

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ