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最強は最高にわがままな証  作者: 早乙女 鰹
第9章 覇王の追憶
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第78話 戦争開始

 慌てて入ってくるチェルディスに多少の警戒を向けるゼルセラとルノアールだったが俺が言葉を聞こうとすると警戒を解く。


「なんだと!!それは本当か!!」


 チェルディスは呼吸を整えて真剣な表情で俺にそれを語る。


「良い?まず転移する為には【混沌之転移門(カオスゲート)】っていうスキルが必要よ」

「【混沌之転移門(カオスゲート)】か...聞いたことないな...」


 そしてチェルディスはさらに真剣な表情で話を続ける。


「それもそうよ、そのスキルは神の中の神、最高神と言われる存在が所持していると言われているわ」

「一人しか持っていないのか?」

「もう一人は魔の頂点と言われている超魔王が所持していると言われているけど、もう、封印されてしまっているわ」

「封印?」

「え、えぇたしか魔界に封印されていると聞いたけど...」


 あぁ...魔界は既に消してしまったので超魔王は存在しない。あの時の俺には探索系スキルが存在しないので超魔王が生きているとは思わなかったのだ。

 だからこそ、このスキルを手に入れる為には最高神である、ゼウスを倒しスキルを奪うしかないと俺は考えた。


「その最高神は神界に居ると言われている...行き方はまだわからないけど....」

「いやそれだけ分かれば十分だ、神界か...神達を相手にするとなると、軍隊が必要だな...」


 この時の俺は神界に行くなら軍団が必要だと考えた、これからも配下が居ると便利だと思い、ゼルセラやルノアールの様な存在を増やしておきたいと考えたのだ。

 神達は大量にいるならばそれだけスキルの大量獲得が可能だと考えた俺はさらに198人の神格枢(マナス)を宿す人口生命体を作りその種族の名前を【死ヲ齎ス天使(フリューゲル)】フリューゲルと名付けた。


 神格枢(マナス)を宿す人工生命体は普通の生命体となんら変わりはない、その身に魂を宿し感情を持ち自分の意思で物を考え行動する、だがその根底にあるのは造物主、つまりフリューゲルを創造した俺にたいする揺るぎない忠誠だ。


 そんな子達を作る時にゼルセラとルノアールはかなり大活躍だった、端的に言うとアイデアを出してもらったのだ、「ママみがある方が良い」とか「お姉ちゃん系」とか「三つ子」とかだ。


 思いのほか作業は順調に進み数ヶ月程で目標数のフリューゲル200が完成したのだ。


 神界への行き方は通常ではまず行けない、そもそも一度神界に行ったことがある者の協力が必要だ。


 その者の協力を経て回廊と言われる【天界之転移門(エデンズゲート)】なる門を潜らなければならない。


 そして丁度いい所にフレイヤと言う女神が下界に居るではないか、俺達は準備を整えフレイヤの元へ行き協力を願った。

 もちろん肝心な部分をはぐらかして...だが


 俺たちが千寿の森に着くとそこにはフレイヤしか居なかったのだ、フレイヤと違いロキは転生者の管理をしているので色々と仕事と言うかやることがあるのだ。


「畏まりました、神界への門を開けばいいのですね」


 そして俺達はフレイヤの開いた【天界之転移門(エデンズゲート)】から神界に侵入することになる。

 神界は雲の様な場所だった、地面は雲に覆われ大地があるかはわからない、遺跡のような建物が遠くに見えるので俺は整列したフリューゲル達に指示をだした。


「準備はいいか?お前たちに命ずるは皆殺しだ、ただしここに居る女神フレイヤとロキは殺すな、それから最高神ゼウスは生け捕りだ」

「マスター!?私はマスターの従者になると契約しましたが神達を殺すなんて聞いておりません!!」


 俺が言った事にフレイヤは驚きを顕わにする、それもそうだ、同僚たる神達を皆殺しにすると言っているのだから、そして【天界之転移門(エデンズゲート)】を開いて俺達をこの神達が住む世界に招き入れてしまったのはフレイヤなのだから。


「エミールが死ぬ原因となったのは魔族だ、それに俺の不注意でもある。だが、それを静観していた神達を俺は許しはしない、お前は助けようとした。だからこそ生かす、ロキもそうだ。お前には責を負わせる事になるが、それを責める者達はこの世からすべて消す、何も問題はあるまい?」


 俺はあたかもそれが正しいと言わんばかりに主張した、どう考えたって俺の我が儘であり理不尽な侵略に他ならない、いじめは見ていた者も揃って加害者なのだ。


「でしたら私はマスターをお止めします!!主が間違った道へ行かぬ様にする義務があります!!」


 フレイヤは俺の前に立ち塞がった、その敵対とも言える行為にフリューゲル達は怒りを顕わにしフレイヤを抑え込む。


「放しなさい!!」


 フレイヤは必死に抵抗するがフリューゲルの圧倒的な力になす術はない。


「ご主人様、あれを」


 ゼルセラの言葉に視線をやると、そこには天使の軍勢が迫っていた、俺たちと言う異分子を排除するためだ。


 フレイヤもその軍勢を確認したのか目に涙を溜めながら俺に請願する。


「わかりました!!もう神達を殺す事をお止めはしません!!ですから、あの子達だけは!!天使のあの子達だけにはご慈悲を!!」


 美しい女神の尋常ならざる剣幕に俺は若干動揺したがフレイヤはゼルセラの不興を買う事になる。


「さっきから聞いて居ればベラベラと...女神とやら...貴様が生きて居れる事自体がご主人様の慈悲だと知れ!!本当ならこの私が真っ先に...」

「よせ、ゼル」

「はっ...出過ぎました...」


 俺は殺気を振りまくゼルセラを止めた、生かすと言ったらフレイヤは生かすのだ、そしてロキも。


「フレイヤお前には10分やる、ロキと合流しろ、天使は生かしてやるそれでいいな、お前がもし他の神達と協力して歯向かってきた場合こいつらは容赦なくお前を殺す、それは確実だ、だから下手な真似はするな、それと...どうしても助けたい者が居る場合それを伝えろいいな?」

「は...はいわかりました...」


 涙を堪えながら俺たちに背を向けフレイヤは転移していった、俺はその姿に罪悪感を覚えた、あきらかに悪者は俺だ...。


 ―――だがもう戻れない...


 そして俺はフリューゲル達に命令を下す、実に残酷な2文字だ俺の放つ2文字で世界から秩序は消える事になり多くの生命が失われる例えどんな結果になろうとも...俺が齎したことの責任は取らなければならない。


「やれ」


 俺の合図を筆頭にフリューゲルによる虐殺が始まった。


 そんな光景を見ていたマナは何も言わずただ俺の顔じっとを見つめる。

 少し照れくさい俺は、昔の俺の後に続いていく。


「どこに行くの?ゼルセラ達とは別の方向だけど」

「フレイヤの所だ」


 ―――――――――――――――――――



 フレイヤはロキの元へ転移した、真っ暗で何も無いような所だがここも一応神界だ。あのフリューゲル達が見つけ出すのに時間は掛からないだろう。


「どうしたの?なにかあった?」


 取り乱す私にいつもの口調でロキは笑う。


「マスターが軍勢を率いて攻めてきています」

「ふ~んやっぱり敵対するんだね...あの方の言っていた通りだったよ」


 不敵に笑うロキに不安を感じる、あの方が誰なのかはわからないがよからぬことを企んでいるのに間違いはない、マスターの強さはこの世界の生命が勝てる存在ではない。


「だめよロキ!!敵対なんて...」

「敵対なんてしないよ?どうせ勝てないし、ボクは降~参」


 いつもの様に、掴み所がない彼女は笑う。


「それに安心して、概ねあのお方の予想通りだからさ」

「あなたの言うあのお方っていったい誰なの?」


 私がそう聞くとロキは柔らかい笑みを浮かべる。


「えへへ、それは内緒、僕だけの秘密だよ」

「その人は信用できるの?」

「信用出来る出来ないの話じゃないよ~そもそもこの世界は元々あのお方の物なんだから、でもあのお方はまだ姿を現さない...でもね、あのお方が出てきてくれたら世界はもっと面白くなるよ!!」


 いつになく元気で楽し気に笑う彼女に対する不安は募るばかりだ、私達みたいな神は最高神のゼウス様を頂点に置いている、そのゼウス様よりも尊敬している人を私は知らない...。


「敵襲らしいぞ、相手は天使の様な見た目をしているが...ん?女神フレイヤが何故ここに居る」


 不意の声に振り向いてみれば太陽を司る神太陽神アポロがロキの元を訪れていた。

 筋骨隆々とした金髪に褐色の、この男こそ神界でも絶対的な強者と言われる最強の神の一角だ。


「アポロ...どうしてあなたがここに?」

「たまたま寄っただけに過ぎん、ほら行くぞ、身の程を知らぬ愚か者には死をくれてやらねばな」


 やはりこの男神は敵対する、わかってはいたが止めるしかない。


「だめよアポロ....あの人には勝てない!!」

「戦う前から臆したか...神ともあろう者が情けない、俺は敵の首魁を打ちに行く」


 それだけ言い私達を残してアポロは行ってしまった。


「どうしよ...ロキ...アポロは間違いなく殺される...」

「それが嫌なら止めに行けば?どうせあの脳筋は戦わないとわからないよ」

「わかりました...私は行きます」


 覚悟を決め私はアポロの後を追った。

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