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最強は最高にわがままな証  作者: 早乙女 鰹
第9章 覇王の追憶
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第77話 もう一人の従者

 ゼルセラを作り出した俺とジュバンは部屋から飛び出て外の新鮮な空気を吸った。


「ゼル!!俺は出るぞ!!まずはエミィの故郷に行く!」

「はい、どこまでもお供します」


 俺はゼルセラに笑いかける、つい先日まで塞ぎ込んでいたとは思えないほどに。

 そして俺とゼルセラはエミールの故郷、ノエル王国へと足を運ぶ、既に魔王軍に占領され魔物が跳梁跋扈する土地へとなり果てている。

 これはエミールへの手向けでもあるがゼルセラのスキルを獲得する為の侵攻だ。

 いや、ゼルセラのステータスを考えればただの虐殺に他ならない、多少魔王クラスも居たようだがゼルセラの敵ではない。

 ゼルセラが蹂躙を開始した頃、俺はエミールの母親と妹が眠る丘まで来ていた。

 街からは悲鳴のようなものが聞こえてくるが極力気にしない様に心がける。


 あの時刺した【誓いの聖剣】と交わる様に【断罪之聖剣】を大地に突き刺した。

 エミールの肉体は消滅してしまったので存在しない形見なんてこの剣くらいしか存在しない。

 だからこそ最後は家族と共に。と思ったのだ、俺は静かに黙禱を捧げる。


 少しの間、黙禱を続けると背後に気配を感じる。

 薄目を開け確認してみればゼルセラが黙禱を捧げていた。


 返り血をポタポタと垂らしながら手を合わせる。真っ白だった翼も真っ赤になってしまっている。

 そんな姿で黙禱を捧げて欲しくはないが...。

 黙禱を捧げ終わった俺は改めてゼルセラに向き直る。


「いいスキルは獲得できたか?」


 俺の問に対してゼルセラは首を横に振る。


「残念ながらこれといって目ぼしいスキルは見つかりませんでした」

「そうか...なら次だな」

「次...ですか?」

「魔王軍はまだ大量に残っているからな、皆殺しと行こうじゃないか」


 俺は怪しく微笑むとゼルセラは嬉しそうに笑う。


「これでいいのかしら...」


 そんな俺達を見ていたマナが疑問を口にした。


「俺は楽しくて仕方がなかったからな目的と復讐が同時にできるんだからな...エミールの仇を打てば討つほど俺の目的は近づいて行く。これが楽しくないわけがないだろう?」

「殺戮が楽しい...ね...少しグレースの見方を変えるべきかしら...」


 そして俺は時を進める。ゼルセラとの魔王軍蹂躙も終盤に差し掛かる。魔界にまで出向き魔王達を殺して回った。


 そして俺はゼルセラに一度しか見せないと言う制約を付けてある魔法を発動させる。


混沌之覇王(カオスオーバーロード)


 何故このスキルを習得できたかは知らないがいつの間にか扱えるようなったのだ、だが、この時の俺にはシーラが居ない、結局...力の制御に失敗し魔界は跡形も無く消し飛ぶ事になった。

 もし魔界ではない下界である普通の世界で使っていたらと思うと今でもゾッとする。


 亜空間でそれを見ていたゼルセラは俺に【伝言(メッセージ)】を使い思念を飛ばしてくる。


「流石です...ですが少しやりすぎちゃいましたかね...」

「だが面白いスキルを手に入れたぞ、【神格枢創造(マナスクリエイト)】、これで俺は人格を作り出せるようになったぞ!!」

「ほんとですか!!なら私!もう一人部下と言うか...妹...と言うか...ライバルと言うか...友達...と言うか...」

「あぁわかっている用は、俺の配下だろう??早速作ろうじゃないか」


 俺は廃城となったノエル王国に行きゼルセラと共に第二の配下を模索していた。

 髪形、性格、顔、納得のいくまで話し合い、それは完成した。


 名前はルノアール、桃色の髪をしたロングツインテールの少女だ、俺とゼルセラはルノアールに新スキルを習得させる為に3人でまた旅にでた。


 といっても主な敵であった魔王軍はもう存在しない、なので俺たちが相手にしたのは知性を失った魔獣だった。

 たいして面白みは無かった...。唯一ゼルセラとルノアールが仲良くなっていく姿だけが楽しみだった。


 旅を続ける過程で野宿をする事になった。

 なので俺は【創造】のスキルを使い仮拠点を建てた。仮拠点とは名ばかりの豪邸だ。


 風呂はもちろん大抵の設備が整っている旅の疲れを癒すために俺はゼルセラとルノアールに一緒に風呂でも入ってくるように伝えたのだ。


 2人そろって湯船に浸かる。


「ねぇゼル~どんなスキルだったらご主人様は喜んでくれるのかなぁ~」

「さぁ、でも、ルノらしいスキルを見つければ喜んでくれるんじゃないかしら?」

「ん~そうかな~じゃあ私らしいスキルって何?」

「それくらい自分で考えなさいよ」

「もう....ゼルのいじわる...」

「ヒントを出すなら...そうね~...魔獣みたいな使い魔なんてどうかしら?」

「たしかに熊とかの魔獣さえ撫でにいった時はどうしようかと思ったけど...」

「特にネコ科は好きなんじゃないかしら?」

「そういえばネコ科の神獣って居なかったっけ?」

「たしか...四神の白虎とかかしら...」

「それだよゼル!!恩に着るよ~!!」


 俺は初めてこの二人の会話を聞いた。


「ちょっとグレース...一応レディの入浴中よ?」

「あ...あぁすまない...」


 多少怒りぎみのマナの視線に俺は時間を進める。

 時は進み次の日、ルノアールは俺に進言する。


「ご主人様!!私聖龍と戦ってみたいです!!」


 ふむ、とだけ答え俺はジュバンを顕現させる。


「聖龍がどこにいるか知って居るか?」

「お久しぶりです主よ!!聖龍ですか?奴ならば我の魔法で即座に会えますよ」

「そうかならば、さっそく行くとしよう」


 そして俺はジュバンのスキルを発動させ転移門を開いた。


「さぁ行くぞゼル!ルノ!」

「ちょ...ちょっとお待ちください!!」


 妙に辛そうなゼルセラとルノアールの荒い息遣いに振り向くと二人は地を這い蹲っていた


「二人とも何してるんだ?」

「その剣ですよ...ご、ご主人様...」


 あぁそういえば...。


「ジュバンよ、力を吸うのをやめるのだ...」

「すまない主よ...我も吸収の効果を切っては居るのですが...顕現された瞬間だけは制御できないのです...」


 そう...ジュバンはかなり頑張って力を制御しようとしているのだ、普段は別の空間で保管されているが意識は眠っている、顕現とは眠っている状態から起床させるような行為。


 だからこそ、ジュバンは急に起こされると反応出来ないのだ、それがこの剣を普段使いとして使用できない点だ、ずっと顕現させとけばいいと思うかも知れないが魔力を吸わない状態はジュバンにとっての一種の集中状態、継続は本人曰くしんどいそうだ。


 以前それで一度悲劇が起きたのだ顕現させていたら急にジュバンが『主よ...もう限界です...」とか言い出し瘴気を全開放その結果その辺り一帯は生命の存続が不可能となり侵入禁止エリアとなってしまった。


 なので、ジュバンはこうして次元空間に収納し休ませているのだ。


 ルノアールと聖龍との戦いを見届ける、ほぼルノアールの一方的な暴行と言わざるを得ない。


 結果、ルノアールは聖龍を従える事に成功したそれに伴い四神の朱雀、玄武、青龍、白虎が使い魔としてルノアールに従った。

 それからの旅はテイマーとしての能力を身に着けるための冒険だ。


 不死鳥である朱雀、万年亀の玄武、この世界で5匹しか存在しない龍種の青龍、そして俺のお気に入りの白い虎。


 お気に入りの白虎は俺がかなり愛情を注いでいるせいか他の四神よりも圧倒的に強い、聖龍に圧倒出来てしまうほどに。


 そしてルノアールを創造してから1年俺たちがエルフの里の家にいるとチェルディスの吉報が飛び込んできたのだ。


「ようやく転移する方法が分かったわ!!グレース!!」

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