第49話 王女と勇者
ワクチン2回目の接種...打ってから2時間程で痛みが....
次の試合も書きたいけど掛けそうにない....無念
闘技場の舞台にブロンドヘアーのツインロケットロールの少女と黒茶髪の凛とした顔立ちの少女が立つ。
「プランがどうして....こんなのユウカが勝つに決まってるじゃない」
ミーシャがそう言う本当にそう思うのだろうか。
「ミーシャ....ここでプランが負けるなら何故私の対戦相手がプランだと思う?」
ミーシャはしばらく考えそこから答えを導きだす。
「プランの方が強いってこと?歴代最強と言われた勇者の力を完全に引き継いでいるのに?」
「まぁよいではないか、試合を楽しむぞ」
俺は二人にそう告げ話を打ち切る。
画面を見ればちょうど二人の紹介が終わり試合開始の合図が鳴らされた。
試合が始まっても一向に戦闘を開始しせず二人は見つめ合っている、ここからでは会話が聞こえないため画面を音声対応の物に切り換える。
「まさか、この剣を護るべき王女に向けることになるとは思いませんでした、ですが陛下は魔法はお得意ではなかったはず、本当に私と戦われるのですか?」
ユウカが剣を抜き正面に構える、それを悠然とした態度でプランは眺める。
「いつから私を弱いと錯覚していたの?いいわ...素手で相手をしてあげる」
「正気ですか!?」
プランが怪しく微笑み魔法陣を組み立てる。
「【悪魔召喚】!!」
魔法陣が光始めると魔法陣から一人の少女が浮かび上がる。
「まさか悪魔を呼び出すとは...ですがそれは淫魔のサキュバス、戦闘には不向きです」
「本当にそうかしら?ヴェルちゃん!お願い」
「お、おう」
淫魔の少女は返事をするとプランに身体強化魔法を使用した。
「なるほど....陛下の作戦がよくわかりました」
「わかっているのなら、これにも対応できるのよね?」
「なっ!!いつの間に...」
プランはいつの間にかユウカの背後に立っている。
いつの間にかと言ったが恐らく俺の回りに居る子達にはしっかりと視認できているはずだ。
そしてユウカが剣を薙ぎ払うよりも早くプランは元の位置に戻る。
「さぁ私とあなたの差を理解させた所で始めましょうか、本当の闘いを」
プランが踏み込みそれをぎりぎりの所でユウカが躱す、それは集中していたからこそギリギリ回避できたのだ。
「このままでは防戦一方のようだけど」
「そうですね、陛下勇者には大抵奥の手がある物なんですよ....ハァァァァ!!!【限界突破】!!!」
ユウカの魔力が溢れる様に流れ始めやがてそこは聖域となった聖なる者の力を増大させ反対に魔の者の力を著しく低下させる。
踏み込むプランをさらりと躱すユウカ、先ほどまでのギリギリではなくその表情からは焦りは感じられない。
穏やかであり真剣にプランを見据える。
ユウカが消えたかのような速度で移動し剣をプランに振り下ろす。
それを躱しユウカと距離を取る。
「この体は聖と邪を扱う事が出来る、それも若干ではあるけど邪の方が強い、そのせいで私の体は弱体化を受けてしまっている...でもね....負けられないの、それに使い魔に戦闘をさせてはいけないなんてルールないもの」
「ですが所詮は淫魔です」
ユウカが剣を正面に上げる。
その剣は魔力も帯びていない訓練用の剣だ、だが....
ユウカが剣の刀身に手を翳し【浄化】の魔法を掛けると訓練用の剣は聖剣へと昇華した。
「聖剣....なるほど、貴方も本気の様ね...でも、負けられないの、ヴェルちゃん!お願い!!」
「はぁ...わかったのだ....まったく試験とはいえ魔王に勇者の相手をしろとは....だが....
―――出直してこい」
ユウカは瞬きすらしていないだが弱体化した淫魔の少女を目でとらえることは出来なかった。
魔王のデコピンをまともに喰らいユウカの体は吹き飛び闘技場の壁にめり込んでいる。
―――勝者!!プランチェス・ノエル!!
「楽しみ....」
無機質な声と少女が言う。
「プランちゃんと戦うのが?」
「うん」
次の対戦相手に胸を躍らせるマーシャ、確かにこの中の対戦相手だとプランしか楽しそうなのは居ないだろう。
プランと言うか...召喚された超魔王ヴェルナータだが。
だが....おもしろそうな奴はまだまだいるぞ?そう思い俺は怪しく微笑む。
次の試験者――――メトラVSデフォル
「嘘...」
「メトラ達も受験するんだ..」
「ああ、昨日ミーシャ達は明日から学院に通うというのを伝えたらあいつらも行きたいと言ってな」
「言ってな...って覇王様...あの子達は仮にも魔王....もし正体でもばれたら....」
バレたとしても問題は無いが....ミーシャは何か思うところがあるようだ、マーシャも同じようにうんうんと頷く。
そうこう話していると二人の少女が舞台に上がる。
観客達からはあまり歓声が少ない、おそらく少女同士の戦いにあまり興味がないのだろう。
だが、学院室の少女たちは食い入るように見ている、だが、シーラだけは勝者がわかっているかのように興味は薄そうだ。
「メトラは確か死霊系統だったよね...だとしたら、妖術と体術メインのデフォルが有利な気がするけど...」
「覇王様...」
無機質な声で俺に答えを求めてきた。俺が答えてしまうのはつまらないだろう。
「俺に結末を求めるのか?なら少し賭けをしようか」
俺は指を鳴らし紙をそれぞれに配る、そして一緒に配ったペンで誰が勝つかを予想してもらう。
「さぁ好きに書くといい、書き終わったら伏せておいとくのだ、試合が終わってから一斉にめくり誰が当たっているか見る」
俺は迷わず紙に書いた、そもそもどうして俺がデフォルのステータスを弄ったと思う?本当の意味での好敵手になってもらう。
キーラは迷いながらもどうにか決断し紙に記入する。
ミーシャとマーシャは未だに迷っている。
存分に悩んでくれ....。
すると紹介が終わったのか試合開始のゴングが鳴らされる。
それと同時に俺はミーシャ達に紙を伏せる様に指示をだした。
「賭けた...たぶん大丈夫」
「よし、ならば何を賭けようか....まぁ学院長への挑戦権でいいか...」
「嬉しい....」
「兄様...私、修行部屋行きたい」
キーラの意見はよくわかる...なるほど...たしかにそれも有りか...戦力アップも見込めるし俺にマイナスは無い。
「いいだろう、当てれたら【時空の狭間】1時間利用権をやろう」
「覇王級もまだ取れてないのあるから、それはちょっとうれしいかな」
当てれたときの褒美も考えたし試合に集中しよう、おそらく俺の予想が的中するだろうが....。