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最強は最高にわがままな証  作者: 早乙女 鰹
第7章 魔法学院
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第48話 実技試験

次の試験は実技試験だ。



試験の項目は個々の適正属性の確認と運動能力の確認。




試験会場の入り口には試験官が立っており紙を配っている。

渡されるものは真っ白だが既に配られた人が持っている紙はそれぞれ色が異なる。


「魔力測定お疲れ様です、それではこちらをお持ちください」



女性の試験官がそれぞれに紙を配る。

その紙を手に取ると徐々に色が変化していく。



ミーシャの紙は2色に分かれておりその2色は赤色と光を放っている黄色。

ミーシャの紙を見た試験官がメモを取り次の工程へと案内をする。



「ミーシャ・ストロニアさん、炎属性と聖属性に適正があるようですね、あの列へお進みください」



女試験官が指を差す先は赤い色の紙を持った人たちが並んでいる、あそこは火属性の適正者の列なのだろう。

次にマーシャだ。マーシャの紙は水色と緑とうっすら光を放つ黄色と普通の黄色だ


「えっと...マーシャ・ストロニアさん...すごい...3つも適正をお持ちだなんてしかも聖属性もちだなんて....」


「ん」


無機質な返答をしてマーシャは案内に従い氷属性の適正に並んだ。



そして次に私、私の紙は....。




「黒....えっと...少々お待ちください」



女試験官はどこかに連絡を取りに行き少しした後速足で帰ってきた。



「えっと...全属性の適正であり属性ごとの優劣が無いと言う....ことだそうです...」



「それで...お兄様は何と?」




「好きな属性の列に並べとおっしゃっていました....」



「そうですか...なら私は雷属性に並びます」



最後はキーラだ。


だが、キーラの紙は真っ白のままだった。


「変化なし....少々...」


「これは、全属性の適正です、どんな属性でも扱えるようになります」


「でしたら何故....黒ではないのでしょう?」


「それは...私が全属性を極めているからです、キーラの場合はどれもレベルが低いのでどの属性にもなれる白なんです」


「成る程....同じことを言われるのですね...」


「これもですか...」


すべてはお兄様の想定通りなのだろう。


「なら私は火属性かな....」


キーラはミーシャと同じ火属性の列に並んだ。

お兄様の好きな属性でもあるのでそれもあるのだろう。



少し待っていると見覚えのある女性がこちらへ駆けてきた。



「覇王様の妹様でいらっしゃいますよね?」



ご機嫌取りか....走ってきたのはエルメンだ、目がよすぎるのも問題のようだ。



「それではこちらにどうぞ!」



私だけ丁寧に雷属性の列に案内された。

実家の権力云々言っていたのに...。




自分の番まで少し待ち時間があるので他の受験生の魔法を見てみる。


大半の受験生は長い詠唱を唱えた割に的に当たらない事や届いていないことの方が多い。

初級魔法でこのていたらく....と思わなくもないがこれから学ぶのだ、属性を扱えるだけ学び概があるというもの。


この程度の初級魔法ならミーシャやマーシャはもちろんキーラも...。




あれ?


キーラを見れば詠唱はしているものの....魔法が発動していない。

よく見ると魔法陣は組み立てられているがそれが形になっていない。

魔法をしっかりとイメージできていないのだ。


「炎の精よ...火球となりて....敵を穿て...【火球(ファイアーボール)】】


やっとの思いで出たかと思えば数メートル程進み【火球(ファイアーボール)】は消えてしまった。

流石に見てるだけは忍び無いので助けに行こうとするとお兄様から【思念通信】が届いた。



(構わん、これは試験だ、今持ってる力で試してこその試験だ)


(わかりました、見守るだけにしておきます)


それだけ告げると【思念通信】を切断する。



もう1度視線を戻すとそこにはブロンドヘア―の少女がキーラに魔法を教えている。



あ....せめて私が教えたかった....。

姉としてキーラに教えたかった...なのに...。



溜息を付くと隣のエルメンが体をびくつかせる



「ど、どうかなさいましたか?」



「いえ、お気になさらず」



一言だけ伝え自分の列を見直す。

大勢居た受験生は居なくなっており要約私の番が来たようだ。




「雷属性は他の魔法よりも位階が高く最初のものでも中級の魔法となっています、ですので、【電撃波(ライトニング)】をあちらの的に向かい放ってください」



所定の位置に立ち特に意識することも無く魔法を脳内で思い浮かべる。

魔法陣は完璧に組み立てられ雷がバチバチと音を立てて真っすぐ飛んでいき的に命中する。


苦労したのは的に当てる事でも魔法を発動させることでもない....。


手加減....出鱈目な魔力を制御するのは極大魔法を使うよりも大変なのだ。


その点私は慣れたものだ。もう()()()()やってきているのだ、万が1....いや...可能性はゼロなのだ。




「はい、【電撃波(ライトニング)】の発動と命中を確認しました。この後は午後から模擬戦がございますのでそちらにご参加ください、それと、シーラ様及びその随伴者の皆様を学院長がお呼びです。なので学院長室にお立ち寄りください」


それだけ告げるとエルメンは次の受験生の相手をする。



「今言った通り学院長室に向かいますよ」


「はーい」


「ん」


「覇王様から呼び出しだなんて一体何かしら....」


「恐らく、先ほどの試験の際にミーシャがキーラに魔法を教えたことでしょう」


「そんな....うそでしょ?」


「確かに、試験で教えるのはルール違反」


マーシャが無機質な声で正論を言い少し落ち込むミーシャ、軽く冗談のつもりだったのだが...



「冗談です」



「からかってる?」



「多少....」




その後も冗談を言ったり試験の話をしながら学院長室に向かう。

ドアの前にはリーエンが立っておりこちらの姿が見えると一礼した。


「お疲れ様です、学院長様がこちらでお待ちです」


軽く頷きドアをノックする、すると直ぐに入れと声が返ってくる。



ゆっくりと扉を開くとそこには椅子に座った学院長、お兄様と秘書たるゼルセラがそこで待っていた。



「まずは(ろう)労う(ねぎらう)としよう、それと午後は模擬戦があるからな、一度昼食をと思っていたのだ」



それだけの為に呼んだのだろうか?お兄様がそれだけの為にわざわざ全員を呼ぶことなど無いはずだ。


「それだけですか?」


思惑が読めないので素直に聞いてみると、首を傾げたようにお兄様は言う。




「それだけだったような気がするが...ダメだったか?」



「嬉しい...」


私が答えるよりも早くマーシャが口にする。

すると秘書たるゼルセラがそっとお兄様に耳打ちをする。


「あぁそうだった午後の模擬試験の相手を説明する、まずは



―――シーラから、相手は総合科のSクラス担当のユリウスという男だ。





―――キーラの相手は武術科のSクラスの責任者のガイルと言う男だ。




―――ミーシャの相手は以前会ったと思うが勇者の娘のユウカだ。




―――マーシャの相手はこの国の王女、プランチェス・ノエルだ」




それぞれの組み合わせが発表される。



どう考えても私たちが有利だろう。



「さてと、食事にしよう、あぁそれとここでいい成績を残したら学院長への挑戦権を一回やろう」



よくわからない、と言った者が多くお兄様がそれの説明を始める。



「この学院では模擬戦やランキングバトルと言った仕様が適用される、基本教師達となら誰でも戦えるが俺だけは別だ。

なにかあれば特別な賞として俺への挑戦権を生徒は獲得することができる。

その券を使用し俺に挑みある一定の条件をクリアすることで装備やアイテムといった好きなものを渡そう」



それを聞くとミーシャもマーシャも俄然やる気を出している、キーラでさえワクワクしているのか跳ねている。


お兄様に挑むと言う事がどうゆう事か理解できていないのだろうか...。




いや...おそらくは理解しているのだろう、ただ純粋に強者と戦いたいのだろう。

それに....一定条件でなにか調度品を受け取れるのならそれはそれでありなのだ。



私の相手は...ユリウス...これから私の担任になるであろう男と戦う事になるなんて...。




マーシャがベルをならすと学院長室の長机に料理が並ぶ。

それを食べているとお兄様が指を鳴らし魔法で液晶を作り出した。


そこには闘技場の様な風景が映し出される。


「さて、他の試験者の様子でも見ながら食事としようではないか」



画面に映し出されるのを見ると中々に興味深い組み合わせだったので皆食い入るように見ている。



「それでは模擬試験を開始します



―――受験者プランチェス・ノエル対するは第2学年主席サカグチ・ユウカ。




王女VS勇者。本来やってはならない組み合わせが第一試合として開始されるのだった。

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