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最強は最高にわがままな証  作者: 早乙女 鰹
第7章 魔法学院
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第46話 姉妹の朝

新章突入です、学院は主にシエラの視点で進めようと思います

シエラと主人公の視点をいききすることになると思います

太陽が昇るよりも早く目を覚ます。

隣にはまだスヤスヤと寝ているキーラが居る。


キーラはお兄様の事を寝言でぶつぶつと言っている。

起こさないように体を起こし洗面所に向かう。



冷たい水で顔を洗い歯を磨く。


少しの間磨いた後水を一口含み吐き出した。


頬を揉み軽くマッサージをし指先で降格を上げ笑顔を作る。






「よし!!」





自分に活を入れる。



未だに眠っているキーラの布団の端を掴み勢いよく剥がす。





だが、剥がしたはずが布団は剝がれていなかった。


布団はキーラががっしりと握っている。




「いい度胸ですね...」



今度はしっかりと握り勢いよく引っ張る。


今度こそ布団をはぎ取ることに成功したが往生際悪くキーラはうずくまって寝ている。




「ほら起きなさい!今日は入学試験があるんですよ!」



「う....ん」



寝ぼけながらも起き椅子に座った、キーラはブラシを手に持つとブラシをこちらに向けてきた。



「姉様....おねがい...」



「もう...仕方ないわね...明日は自分でやるんですよ」



「う....ん....」



寝ぼけているキーラの後ろに回りブラシを掛ける。


ついでにいつもの様に髪を高い位置で二つ結びにする。

ストレートな自分とは違くツーサイドアップと言う髪形だ。


髪を結び終わるとキーラは背中越しに何かを言っている、はっきりと聞こえない為聞き直すと今度ははっきりと言った。




「姉様....この服変だよ...」



何かと思い正面からキーラを見ればシャツのボタンを掛け違えている。



「シャツのボタンの場所が違うのよ...」



流石に一つ一つ直していくと時間が掛かりそうだ...この際すべてやってしまう。




ボタンを正しい位置で止めリボンを結びスカートを履かせる。

少し長めの靴下を履かせ靴を履かせる。


すべての行動を先読みするかのようにキーラは手伝い安い様に体を動かす。

この子は.....。




「顔位は自分で洗いなさい」



「はーい...」



ちゃんと顔を洗い始めたので私も着替えを始める。



黒を基調とした軽めのドレスを身に着け髪をブラッシングした。



するとキーラは完全に目が覚めたようでいつもの元気な表情を浮かべている。




「おはよう!!姉様!!」



「おはよう...」



「姉様早く!!きっと兄様は食堂に居るはずだわ」




どうして色々と準備した私よりも先に行こうとするのだろう...。

探知系スキルを使えば確かにお兄様は食堂に居た。




「ほらほら!」



「まったくあなたって子は...」



溜息を付きキーラの後をついていく、苦労したはずなのになぜか自分の口元は緩み笑みを作っていた。




食堂に着くと既にお兄様と双子の二人が食事をしていた、その奥では昨日から新しく配下になったメトラとデフォルも食事をしていた。

他にもリーエンとエルメン、それから配下の者達が皆食事を楽しんでいた。




お兄様の座席の正面に座ると双子の一人のマーシャがベルを鳴らす。

すると目の前に料理が並んだ。



「おはよう、シーラにキーラ、お前たちにしては起きるのが遅かったんじゃないか?」



遅かったというより...キーラの身支度に時間が掛かったのだ...



「実は...」



「実は今日着ていく服装で悩んじゃったの!!」



真実を告げようとすればそれを遮る様にキーラは話を始めた。事実無根のでっち上げ話を...



「そうか...悩んだ甲斐が合って似合っているじゃないか」


(それで...何があったんだ?)


褒めてくれているがすぐさま思念通信が送られてきた。



(実は――――



全てを包み隠さず話すとお兄様は心の中で楽しそうに笑った。



(いいじゃないか、姉妹らしくて)


(はい!!)



私は元気よく返事をした。私もそう思っていたからあるいは同じことを考えていたからかもしれない。




少し話をしたあと一足先にお兄様は学院に転移した、どうやら入学試験の打ち合わせや準備があるようだ。



「さて私達も行きますか」



「姉様!せっかくだから歩いていきたいな」



「なら、私達も一緒にいいかしら?」



声をかけてきたのはミーシャとマーシャだった。特に断る理由もないので一緒に歩いて向かった。



キーラは目移りしながら王都を見て回る。



少し歩くとミーシャが小さな声で話しかけてきた。



(なんだか私達すごい見られている気がするのだけど)



(わからないのですか?耳を澄ませばわかると思いますけど)




周りの住人はまるで女神を見るかの様に美しい少女たちを眺めているのだ。

誰もが振り向く美少女それが私達なのだ。

自分で言うのも可笑しいがそれが事実なのだ。



しっかりと聞こえたらしく顔が真っ赤に染まっていくその割にマーシャは全然平気なようだ。

視線を送ればマーシャは疑問に思ったのを察したのかすぐに返答してくれた。


「私は感情抑制のスキルを使っているので羞恥心はないですよ」


「学院では抑制するつもり?」


キーラも気になったらしく問いかける。


「そうですね...私は人間関係が得意ではないので...」


なるほど....私もそうだ,,,と一人考える。


そういうやり方もありかとマーシャの意見を参考にし考える。



よし...。



「なら私は冷酷な学級委員長を目指します」



「がっきゅう?いいんちょう?」



おっと....。



「私はあえて学校では冷たく振る舞うと言う事です」




その後は皆と学院ではどう過ごすかを話あった。



「私は....」



「貴方はそのまま自分のやりたいようにしなさい、自分らしく楽しみなさい」



キーラにまでそんな学校生活を送ってほしいわけではない。

出来れば友だちをたくさん作って仲間と協力しあってほしい。

私のお兄様の様に自由に生きてほしい。



元気よく返事をするキーラに微笑み返す。

ようやく学院に着いたようだ、本気で移動すれば一瞬だが普通の少女の様に移動すればかなりの時間が経つ。


学院の入り口には橋が架かっており門の潜った所に受付があるためかなりの混雑を見せている。


その最後尾についた、自分たちの番になるまでにはそれなりの時間が掛かりそうだ。




並んで話をしているとその横の通路を我が物顔で列を乱していく男が後ろから迫っている。




「どうやら...順番仕組みさえ理解できない低能がいるようですね」




男は人込みを掻き分け列を進んでいる。



「待ちなさい!!」



声を掛けると男は足を止めた。




「この僕に何か用か?」



「貴方は列の仕組みさえ理解できないのですか?」



「なんだと?」



男の目に怒りの感情がわいたのが見て取れた。



「この僕は侯爵家だぞ、平民と同じ列に並ぶこと自体が間違っている」



男は当然の様に口にする。



「この学院において実家の権力を使うのはご法度です、入学を辞退されてはどうですか?」



煽ってみたが男は簡単に挑発に乗った。



「侯爵家である僕に向かって偉そうなことを!!!」




周りもざわつき始めたころ受付の方から2人の男が走ってきた。



「どうかしたのか!!」



私は事のあらましを警備員に説明した。




「お名前を伺ってもよろしいか?」



「僕はレメカウドス侯爵家の嫡男:リモイド・コダ・レメカウドスです」




「私はシーラ・シュテルケ」



警備員は名簿の様な物をを取りだす。

その間、男は名乗る名はそれしかないのかと言わんばかりに私を見下してきた。



「あ、ありました」



警備員が何かを見つけたらしい、それを聞くと男は鼻で笑う。




「シーラ様にキーラ様並びミーシャ様にマーシャ様、こちらへどうぞ...」



「私達はしっかり列に並んでいくのでお構いなく、実家の威を借り我が儘に行動するなど...お兄様の顔に泥を塗る様な事できませんので」



私は警備に告げる、この哀れな侯爵家の男をあざ笑うように。



「この列は試験のエントリーの受付でして....あなた方4名は既に済んでおります。どうぞ中へ進み試験をお受けください」



そこまで言われてしまえば...断る理由はない。





ただ...お兄様...私は恥ずかしいです...。


警備員に続き列を外れ学院内に進む、その最中背後で声が聞こえる。



「僕は侯爵家だぞ!!こんな受付!!」


もう一人の警備員が説得しているようだがものを借りが悪い様なので軽く手を貸す。


私は指をパチンと鳴らし男を転移させた。

列の最後尾ちょうどある少女の前だ。


男は場所を把握すると先ほどと同じ様に列を外れ学院の敷地に入ろうとしている。



「待ちなさい!!」



聞こえたその声に呆れた様に振り向き声を上げる。



「今度はなんだ!!僕は侯爵....」



男は驚愕に飲まれる。



男は即座に膝を付く。

この国おいて彼女以上の権力者はいないだろう。



「そなたはどこへ行こうとしたのだ?」



「も、申し訳ありません、陛下」



そう、そこに居たのはプランチェス・ノエルだった。

彼女はこの国のトップでありながら律儀に並んでいた。



「この学院に置いて家柄の権力を使用することは禁止されている、それが納得できないのであれば回れ右して家に帰るといいわ」



男は自分よりも身分の高い者でさえ並んでいることに反論することはできない。

侯爵よりもさらに上の公爵なのだから。



「それにそなたは侯爵だからと言っていたが、あの方達はこの私よりも遥かに高い地位に居られる」



男の顔が驚愕に染まった所で敢えて私は男に近づいて行った。



「プラン、貴方の国の貴族には呆れました」



女王陛下は膝を付き頭を垂れる。



「申し訳ありません」



「頭を上げなさい、公衆の面前で一国の王女が簡単に頭を下げるものではありません」



私の言葉を聞くとプランチェスは立ち上がる



「ありがたきお言葉、シーラ様の偉大なるご慈悲に感謝を...」



「構いません、私は先に行きます、貴方は...」



「私はこのまま列に並びます、どうぞお構いなく」



「そう」




そういい踵を返し学院の敷地に戻った。







シーラが去った後、男は女王陛下に聞いた。



「あいつ....いえ...あの方はいったい...」



男の質問に陛下は真剣な表情で答える。




「あの方は....この世界で最も高きお方の妹君よ...」



男は引き攣った顔をし列の最後尾に並んだ。

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