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最強は最高にわがままな証  作者: 早乙女 鰹
終章 
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最終話 もう一つの世界

 聞き慣れた鴉の鳴き声。

通り過ぎる列車の音。


頭部に感じる柔らかな感触。


薄目を開けると笑顔でこちらを見守る綾香さんの顔が広がっていた。

状況が理解できて鼓動が早くなるがせっかくの美人の膝枕。

起きてしまうのは勿体ない。


開けたのは薄目なのできっとばれていない。

しっかりと瞼を閉じ静かに呼吸をする。



「寝ないの!」



ぺチンと額を叩く音が聞こえ慌てて目を開ける。

どうやらばれていたらしい。



「おはよう健太君」


「えっと...おはようございます」



起き上がろうとする僕を綾香さんは引き留める様に頭を撫でる。



「いいよ。もう少しこのままで。まだ休憩時間は残ってるから」


「なら...お言葉に甘えて...」


綾香さんの言葉に甘え再び目を閉じる。

やたらとリラックス効果のある綾香さんの太ももは非常に落ち着く。


少しゆっくりしていると寝ていた時の記憶が脳内を擽る。

なんだよッ覇王ってフフッ。



長い夢をみていた気がする。

僕が美少女に囲まれてやりたい放題する夢。

そんなことあるわけないのに....どこか鮮明な夢はいつまでも僕を楽しませてくれた。


つい、笑みがこぼれてしまった。



「どうしたの」



不思議に思ったのか頭を撫でるのを止め顔を覗き込んでくる。

流石にここではぐらかすと悪い方行に捉えられそうなのでしっかりと訳を話す事にする。



「夢を見ていたんです。最近話題の異世界に転生する夢を」


「健太君は異世界好きだよね...この世界は嫌い?」



不思議な質問に一瞬戸惑いもしたが素直に答えた。



「今はそうでもないです」



こんな美人さんに膝枕して貰ってるのに不満はない、あったら誰かに殺されそうだ。



「そっか...私ね...健太君の事が好きなんだ~」


「奇遇ですね。僕....ん?」



え?今なんて言った?



「僕も....なに?」



綾香さんからの問いかけに思わず恥ずかしくなり顔が赤くなる。

え?そんなにさりげなく好きなんて言葉出てくるの?!つい条件反射で返しそうになってしまったが...。


でも好きってそういう事だよね...


僕は綾香さんの事が好きなんだと思う。

美人だし仕事もできるし....部下の事もしっかりと気に掛けてくれるしなにより優しい。

僕からしたら悪い所なんて一つもない。


いや...そんな世間が人を好きになる条件なんてどうだっていい。

僕は....



「僕も...綾香さんの事―――好きです」


「両想いだね...」



綾香さんは僕の両頬に触れると唇を近づける。

鳴り響く鼓動。

跳ね上がる心拍数。

僕が落ち着けるはずもなく...



飛び起きた僕は誤魔化しながらも職場に戻るように走った。




僕のバカ!!あのままじっとしてれば初めて女の人とキスするチャンスだったのに!!!


根性無し!!!アホ!!


何度脳内で自分を罵倒したことか。


エレベーターに乗り扉が閉まるのを待っていると不意に後ろから肩に手を置かれる。

誰かと思い振り返るとそこには綾香さん。


あり...えない...。



「私の身体能力を見くびってもらっては困るね」


自身有り気に言う綾香さんに戸惑う。

だって....エレベーターに乗る時は誰も居なくて閉まった時には誰も居なくて....え...どうして?



エレベーターと言う密室に両想いの男女。

なにも起きないはずもなく。



「今度は逃がさないよ」


「ちょっちょっと!!」



僕を壁まで押される。

俗にゆう壁ドンと言う奴だ。それをされてる僕。



徐々に赤くなっていく綾香さんの顔が近づいてくる。


ほんとにこのまましちゃうの?!

まだ...心の準備が....。



チーン。



エレベーターが到着し扉が開く。


そこに立つ男の姿(北村 実)を見ると僕は思わず男に抱き着いた。



「きたむらぁぁぁぁぁッ!!!」


「おわッ!!ちょ綾香さんこいつに何したんすか!!確かに耐性つけてやってと言いましたけど強引すぎたんじゃないっすか?こいつ耐性ないんですって!」



(みのる)に引き取られるように職場の自分の席に戻った。



「もう!また逃げられた!!でも...そうだね...私も焦りすぎたかな....」



綾香さんがそんな事を言っていた気がしたがそんな事はもう忘れ仕事に戻る。


自分の席に座りパソコンにプログラムを入力していくと隣で仕事をする実に声を掛けられた。



「なにがあったんだよ。ういうい~」


「なんもねーよ!!」



なんだこいつウザイ!!!


ふと綾香さんの方を見れば普段通りきびきびと仕事に励んでいる。

目が合うとこちらをみてニコッと笑う。

慌てて目を逸らすがそれを実に見られてしまう。



「綾香さんってあんなに笑顔を見せる人だっけ?やっぱなにかあったろ?」


「実は....膝枕して...もらった...」


「はぁ~~~~ッ!!!???」



口籠りながらも言った僕に対し大声を出す実。


なにこいつ!!ほんとにウザイんだけど!!!



流石に周りの目もあるので後で話すと実を作業に戻し自分も作業に戻る。




仕事を終えた後は直ぐに帰宅した。

実にいろいろと聞かれる前にさっさと帰ることにしたのだ。


いつもの道を通りマンションの階段を上る。

3階まであがり2つのドアを通り過ぎた先の部屋が自分の家だ。


鞄を開き鍵を....取りだし自分の部屋ん鍵穴に差し込む。


あれ?カギ閉めてなかったっけな?



疑問に思っているとなにか視線を感じるので来た方を見てみれば見慣れた女性が居た。



「ちょっと綾香さんそこまでしたらストーカーですよ!!!」



バレた事に弁明をする様に近づいてくる綾香さんに多少の警戒をしつつも話を聞くことにした。



「私の家ここなの...」


「そんな訳ないじゃないですか!!」


「ほんとなの...だってほら...」



綾香さんがカギを穴に差し込むと玄関は開いた。

あっ...ほんとだったんだ...。



「え?でもいつから????今まで...会った事ないですよね!?」


「うん...だってここ会社から近いじゃない....色々と便利だったのよ...」




「―――ちょっと兄さん玄関前であんま声出しちゃだめだよ!!」



え?



僕の家の玄関から出てきたのは女性だった。

あれ?どうして....



「兄さんが...あの兄さんが...女の人を連れて来た...」


驚く女性。


遠い昔に死んだはずの妹。

あれ自体も夢だったのかもしれない。



「あっこんにちは!私兎愛(とめ)って言います!兄さんと仲良くしてくれてありがとうございます。よかったら上がっていきますか?」


「ならお言葉に甘えさせてもらおうかしら...」



え?どんどん話が進んでいく...


兎愛(とめ)が生きて居た...いや...死んでいなかった。


家に入ると兎愛が部屋のかたずけをしている途中だった。


食べ終わったカップラーメンのタワー。

読み終えた本のタワー。


奥には姉の姿も合った。



紗生姉(さおね)ーも来てたのか...」


「なんだ?女連れ込むから来るなってか~?」



軽い冗談を言う姉の言葉をはぐらかす。



「まぁここに来たのはネタ探しなんだけどな~」


「なんのネタだよ...」



俺の問に対し答えたのは片付け中の兎愛の方だった。



「なんか結構前にキレイな男の人に助けられたんだよね...その人の事兄さんなら覚えてるかなって」


「言われた見ればそんな記憶もあるような...あれだろ銀髪の...」


「そうそう!!私と紗生姉(さおね)ーでその人の小説を書こうと思ってるんだよね」



目をキラキラさせながら言う兎愛(とめ)をみてたら自分も夢の事を話したくなった。



「異世界転生系の話になるけどそれでもいいなら俺の夢を話そうか?」


「ふむふむ...あの人が無双してるのはなんとなく想像できるな...」



俺が話始めようとすると紗生姉(さおね)ーはパソコンを開いた。

それに続くように兎愛も自前のノートパソコンを開く。

そして何故か綾香さんはそれのアシスタントをしようとしている。


夢の男のキャラクター設定とかを話すとそれを兎愛(とめ)が纏め物語の舞台となる異世界を紗生姉(さおね)ーが文字として綴る。

綾香さんは設定の細かな所を調整したり主人公の性格などを付け加えたりしている。

何故詳しいかは知らないが...というか俺の夢のはずなんだけど...。



「夢だからなんでもありだからな?笑うなよ?



おれの夢の中の話、それを本で残すとしようこの俺、佐藤健太。



―――最強(俺が)が最高にわがままだった証」



―――著者:紗生兎愛(早乙女)

長い事読んでくださりありがとうございました!!!


本編は終りましたが続編はでるのでお待ちください!!

異世界に居る主人公:グレースにはまだいろいろな出来事が待っているのでそちらも書く予定です!!

個人的には良い終わり方をしたと思いますがどうだったでしょうか。


初めての作品なのでとても愛着があるので感想お待ちしております。

改めて、この作品に目を通してくれてありがとうございました。(*´ω`)


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