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最強は最高にわがままな証  作者: 早乙女 鰹
第12章 伝説の覇王
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第104話 混沌

混沌(カオス)は強かった。

いや、強すぎた。



圧倒的な力は自分に勝るとも劣らない。

ほぼ互角だ。


そんな勝負は案の定、長期戦になってしまった。

俺からは攻撃せずにすべてを相殺する戦い方をしている。

お陰でと言うか...魔力の消費が激しい。

今迄ほとんど減る事の無かったMPが減ったという実感が持てるくらいには減少している。


そもそも混沌(カオス)エネルギーを扱うのにかなりの魔力を消費する。

そりゃあ他の神達も遠ざける訳だよ...


こんな破壊のエネルギーを無尽蔵に放出し続ける奴など危険と言うほかない。

だが...これだけの力を持つ混沌(カオス)を神達が追い出せるだろうか...。

俺と並ぶほどの力を持つのなら神達を滅ぼすこともあっさりとできる....はず...。



混沌(カオス)...お前は俺のスキルの中で何をしてたんだ?」



混沌(カオス)は攻撃の手を休めることなく俺の問に答える。



「我輩は探していたのだ...我輩と同程度の力を持った存在...」


「それが俺と言う事か...」


「いい機会だから教えておこうお前の力と我輩の力は同じだ」



混沌(カオス)の言葉を何度か転がしてみるがいまいちピンと来ない。



「超簡単に説明するのならば...我輩の相棒とお前の相棒が同じと言う事だ!!」



相棒....そう言われてなんとなくだが理解が出来た。


シーラ。


今思えば最初からシーラは変だったのだ。

不意に俺のスキルになっていたしスキルが進化した瞬間から自分の名前を持っていたし...

だが、もしそれが元々混沌(カオス)のスキルで混沌(カオス)と共に俺に宿ったと考えれば意外と辻褄が合う。



「つまり...俺の力は元々混沌(カオス)の物だったと言う事か?」


「まぁそうなるな、お前が願った願いはステータスの上限解放とステータスの最大化だ、つまり私と同じステータスだ。だが流石にロキはこの力を与えられる程強くない

そして我輩の半身であるシーラをお前に宿したのだ」


「となるとロキも裏で繋がっていたと言う事か...」



混沌(カオス)は攻撃の手を止め指を鳴らす。

すると何もない空間から少女が現れる。

獣型の耳をしたフードを被った少しファンキーな紫髪の少女。ロキだ



「ありがとね~グレース。君のお陰で計画通りマスターをこの世界に顕現させる事ができたよ」



屈託のない笑みを浮かべるがロキの腹の底は読めない。

今迄読めていたと思ていたのは腹の上辺だけだったようだ。


嬉しそうなロキはそのまま混沌(カオス)に抱き着く。

混沌(カオス)はやさしく微笑み頭を少し小突く。



「無茶しすぎだ」



やさしく小突いた様に見えたがそれなりに威力が合ったのかロキの表情が曇り涙を浮かべる。

痛がるロキに慌てる混沌(カオス)



「す、すまん...できるだけ加減はしたはずなのだが....」



混沌(カオス)は回復魔法を使いロキの減ったHPを回復させると天から銀髪の少女が二人舞い降りる。



「相変わらずですね混沌(カオス)....」


「その感じシーラだな?」


「おぉ!!肉体を貰ったのだな!!いいじゃないかシーラに似合ってるぞ!!!」



舐めまわすように全身を隈なく見た混沌(カオス)は嬉しそうに笑う。

まるで自分の事の様に。


だが反対にシーラは寂し気な表情で話し始める。



混沌(カオス)...気付いてるのでしょう...その状態で魔力を使い過ぎると消える事」



シーラのその言葉に混沌(カオス)から笑顔が消えた。



「やっぱシーラには隠し事出来ないな」


混沌(カオス)...」



ふと見れば混沌(カオス)の身体が少し薄くなっている。


精神生命対が魔力を使い過ぎれば消滅する。

混沌(カオス)は俺と戦った事により魔力を消費しすぎたのだ。




「流石に力を使い過ぎてしまったようだな」



「私に宿って!!!」



急に声を上げたのは俺でもシーラでも無くキーラだった。

決意を固めたキーラを俺は止める。



「だめだ!混沌(カオス)を宿らせた場合確実にキーラの意識は奪われる。俺と同等の魂が宿るんだぞ....元々の魂は忽ち浸食され喰われてしまう」


「でも...このままじゃ...」



優しいキーラの決意を無下にしたくはない...それに過去に行った時に色々気付いてしまったのだから....

ふと混沌(カオス)に視線を送れば混沌(カオス)は優しくキーラに笑いかける。



「我輩にも優しいのだな...安心しろこれからは我輩が力を貸そう。それとグレース!!我輩はそんなに野蛮ではない!!」


「あの世界の創造主だからなつい...」


「恩人を裏切るような真似我輩はしない!」



混沌(カオス)....もっと攻撃的で手に負えない奴だと思っていたが、意外と優しい様だ。



「我輩はそなたの相棒となろう」


「うん!!!これからよろしくね!」



固い握手を交わした混沌(カオス)とキーラ。



「それとシーラ、我輩もサポートに回ったことがあまりないからな...わからないことがあったら色々教えて欲しいぞ」



混沌(カオス)はシーラの方を向き儚げに笑う。



「まぁ世界を創造した仲ですからね。何かあれば頼ってください。力なら貸します」



シーラとも頷き合い最後に俺に視線を飛ばす。



「それからグレース!!我輩はお前と子孫を残す日を楽しみに待ってるぞ!!きっととんでもなく強い子が生まれるのだ!!」



は???



「ちょっ!待っ―――」



俺の静止も聞かずに混沌(カオス)はキーラに宿る。

あの口振りからして大丈夫だと思うがどちらかと言えば問題はさっきの発言だ。

混沌(カオス)と子作りするの?たしかにどんな子が生まれるか楽しみではあるが...。


完全にキーラに宿ってるじゃないか...どうするつもりなんだ....。


っとそれよりもキーラだ。



混沌(カオス)がは宿った事により衝撃波が生まれる。

瞳は白と黒の明滅を繰り返しやがて白に落ち着く。



「どうだ?どこか違和感はないか?」



俺の質問に対しキーラは自分の身体を触り確かめる。

しばらく待ってみたが首を傾げるキーラ。



「わからない...何も変わってない」


「うむ...なら俺の腹でも殴ってみるか?」


「え?」



まぁ違和感がないなら力を試した方が早いと思い俺は手を広げ多少ではあるが腹に力を込める。


「い、行くよ?」


「さぁ―――来いッ!!!」




来なければよかった....

迷いながら放たれたか弱そうなパンチは俺の腹を突き抜けた。

あまりの痛みに俺は膝を付く。



「い、今のは私じゃなくてその.....」


「ぐ...いいんだ....俺が言い出したことだしな...これで力が宿った事は証明できたな...」



「クックっクック我輩をなめて貰っては困る!我輩クラスになれば一瞬だけ意識を表に出すことも可能なのだ!ガハハ」



キーラの口調が変わり高らかに笑う。

よく見れば白目の部分が黒くなっている。

どうやら混沌(カオス)が表に出た時は混沌(カオス)の特徴でもある反転目がキーラん容姿に出てくるようだ。

まぁ分かり安くていいが....。



腹の痛みに苦しんでいるとキーラが寄ってくる。

目は通常に戻っているので今はキーラ本人だろう。


兄としての威厳を護るためにもここは平然と...ぐ...



どれだけの力で殴ったんだ...



俺のHP....半分は持ってかれたぞ....


数分が経ち痛みが治まった頃クロノスが俺たちに話しかけてくる。


「どうしたのかはわからんが混沌(カオス)を身に宿し平然と入れるわけがなかろうに」


どうやら、キーラが乗っ取られたと思っている様だ。


安易に近寄って来たクロノスを【覇王之御手(オーバーハンド)】で掴む。


「ありえん!!改変ができない!!」


「そんなに不思議か?少し考えれば結構単純だぞ?」



俺がしたことは単純だ。

それを実行できるものは少ないかもしれないが、簡単に言えば未来予測を上回っただけ。

シーラによりこいつの能力は解析が済んでいる。

攻撃を喰らった時に過去に戻り攻撃その物を喰らってない事ににする?

これは間違いだった。


こいつの真の能力は未来予測。

先の未来を見てそれを回避する。

あとは未来からとか適当な事を口にするだけでいい。

シーラを前に騙し事なんてできるわけがないのだ。


俺はクロノスの力を奪う。

そして俺の能力へと還元されたクロノスのスキルをシーラが解析し上位のスキルに昇華させる。

時渡(ときわたり)】から【時之神(クロノス)】へと進化した。クロノス


よしこれでひとまずの俺の目的は達成だな。


あとはこの残った神達をどうするかだな....。



良い事を思いついた俺はゼルセラにクロノスを預け全フリューゲル及びその他の俺の配下を退避させる。



「さて、この戦争を終わらせるとしよう」



俺はシーラとキーラを連れて戦場の上空へと向かった。

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