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最強は最高にわがままな証  作者: 早乙女 鰹
第12章 伝説の覇王
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第103話 伝説の覇王

俺の登場に神達、主にクロノスの動揺が著しい。


気持ちは分からなくはない。

過去、それも別世界の過去に送ったのに、いとも簡単に戻ってきたのだから。


俺は辺りを見渡しある一つの確信を得た。



「因果は巡るものだな....」



キーラの魂の色。

それは...



「随分と早いな覇王」



クロノスは驚きながらも俺に話しかけてきた。

冷静な俺とは裏腹にクロノスの額からは汗が流れる。

帰還手段はないと思い込んでいたクロノスは滑稽と言わざるを得ない。



まだ大量の神が残っている、だが、ふとフリューゲル達の獲得スキルを覗いてみるとみんないい感じにスキルを獲得しているようだ。

神の固有スキルを多数獲得しスキルそのもののレベルアップも果たしている。

この結果に俺はもちろんシーラやゼルセラも大満足だ。


だが一番の成長はエミールだ。

たしかし時空の狭間に行ったがそんな数万年で強くなるとも思えない。

装備を加味したうえでのステータスならまだしも、素のステータスでゼルセラと同等。

あきらかに異常なスピードで進化している。

マナの教えかたが意外といいのだろうか..


まさか暴飲暴食に毎日戦闘をさせてたわけではないだろうな...



10000年と言う普通ではまず体験できないであろう時間。

それすべてを戦闘で費やせばたしかに力を手にすることが出来る、それも食べるだけで強くなれる世界ならその年数を普通に過ごすだけでステータスはかなり高くなる。

だが、それでは精神面がかなり疲労してしまう、だからこその日々の休息が必要なのだ。


性格変わってたりしないよな...


そう思いエミールの思考を読もうとするが全く読めない....


【心想看破】が効かない...。

これが効かないやつと会ったのは二人だけだ。

それもシーラとゼルセラ。


シーラは何故か俺に隠しごとをする。

ゼルセラは何故か読めなかった。

シーラでも原因は解明できなかった。


そしてここに来てエミール。


俺の視線を感じてかエミールは誇るように笑う。

俺のスキルを抵抗してみせるとは中々やるではないか...


いつまでもそのどや顔を見ていると腹が立ってくるので見ない様にする。


神達は俺の登場に戸惑っているが戦闘意欲はあるようだ。



そろそろこの戦争も終わりにしよう。


俺はフリューゲル達全員に聞こえる様に声を張り上げる。



「血祭りだぁッ!!!!」



俺は指示を出すとともに最前線に飛び出し神達の軍勢の中心部にまで潜り込んだ。

そしてそこで【覇邪聖王神斬 刃皇(ヘリド=ジュバン)】を顕現させる。


出現した剣は周囲の魔力を吸収したのしそうに喜ぶ。



「必死ぶりの戦闘!!少々張り切りすぎてしまいますぞ!!」


「やりすぎてもいいさ、変わりはいくらでも居る」



辺りには俺を取り囲む。

数は圧倒的にこちらが不利。

普通の戦争ならこの質の兵に対し僅か数百人で対抗するなどあり得る話ではない。


だが、現状は違う。

一人一人が一騎当千以上の化け物達。


その圧倒的に開いた能力値の差は人数で埋めれるものではない。

例えば1億人、ひとりひとりが1ポイントのダメージを与え続ければ最終的には1億ポイントのダメージを与える事ができる。

だが、これは一人一人が1ポイントのダメージを当てた場合だ。

そもそも攻撃を当てたとしてもダメージは入らないのだから最終的に与えられるダメージもありはしない。



飛び交う魔法とスキル。

そのすべてを【覇邪聖王神斬 刃皇(ヘリド=ジュバン)】で斬り伏せる。

ぶっちゃけ超特大の斬撃やスキル【覇王之威光(オーバーロード)】で全員を即座に冥界に送る事が可能だ。

だがそれをやってはつまらない。


みんなの戦闘も見たいしそれに何より。


俺にも試したい技があるからだ。



俺の持つスキル。


【伝説之覇王】

一度も使ったことが無いしシーラからは使わない方が良いと言われている。

世界を揺るがす可能性があると言う。


だが、さっきから俺はこのスキルに呼ばれている気がする。

使え使えと声が聞こえる。


俺の中の天使と悪魔が葛藤を繰り返す。

使ってみて周囲の生命体を消滅させるとかだと取り返しのつかない事になってしまう。



だがやってみないとわからない。

うーむ...使うかを躊躇われる。


俺の中で天使と悪魔が俺に声を掛ける。



(使ってみろよ...案外たいしたことないかもだぜ?)


悪魔は笑う。

それも楽しそうに。

実際その可能性はある。だがそれを俺の中の天使が必死に止める。


(いけません。大切な仲間が近くにいるのです。またあの悲劇を繰り返すのですか?)


あの悲劇。

大丈夫だと過信した事で起きた【エミールの死】あれを繰り返すくらいなら俺はスキルをつかわない。



(我輩そこまで馬鹿では無いのだ!!)



そうそう我輩...我輩....ん?



誰だ今の????!!!



俺の中に天使と悪魔以外の何者かが存在する。

まさか...スキル?シーラの様に自我を持つスキルだろうか。


最上位のスキルなのだから自我を持っていても可笑しくはない。



俺の中で争う三者。

スキルの発動を止める天使。

スキルの発動を促す悪魔。


そしてその二者を強引にねじ伏せ発動させようとするスキル。


俺はふと遠くで戦っている仲間達を眺める。



ゼルセラは達フリューゲルは周囲か攻めるように神達の圧倒していく。


エミールはと言うと真っすぐこちらに突き進んできている。

剣戟は以前試験で相手をした時とは別物だ。

瞬きすら許さない一瞬の間に閃光の様に戦場を駆け抜ける。


そしてデフォル。

自らの大太刀は使わずカラカラと車輪を転がしながらゆっくりと歩いてこちらに向かってきている。

自分では戦わない代わりに暴れる二体の巨大な鬼。

巨人族を思わせる体格の赤鬼と青鬼。

二体は特大サイズの金棒を振り回し暴れデフォルの行く道を切り開く。


そしてメトラ。

メトラはデフォルの横をのんびりと歩く。

デフォルが鬼を召喚しているのに対しメトラは死神騎士を召喚している。

骨馬(スケルトンホース)】に騎乗した騎士は戦場を駆け抜ける。

地上からの攻撃では飽き足らず空中戦をも展開する。

骨馬(スケルトンホース)】は宙を駆け道を斬り開く。


シーラとキーラを見てみると戦場の一角でまさかの魔法の修行をしていた。

的に神を利用し魔法の発動させる。

だが、キーラは魔法がうまく扱えないのかしっかりと発動しない。




シーラとキーラだけは少し異質だがみんな大丈夫そうなので...



―――とりあえず使ってみるか。


(我輩を使う気になったのだな!!)



俺の中のスキルは嬉しそうに答える。

勝者は天使でも悪魔でも無く。


―――能力だった。



後は野となれ山となれ。



半ばやけくそになりながら俺は初めて使うスキルの名を口にした。




「【伝説之覇王】!!!」




世界は赤く染め上げられた。


【伝説之覇王】は攻撃などのちゃちなものでは無かった。

それは召喚魔法。

膨大な魔力を消費し称号として覇王を冠する者が発動するスキル。


俺が召喚した存在。

生まれたばかりの肢体を晒し深紅のツインテールがを靡かせた

()()は地上に襲来した。



「ククク...雁首揃えて我輩の贄になりに来るとは殊勝な事だ」



服を着てないと言うのに堂々と俺の前に立ち豪快に笑う。

膨大なエネルギーがその身を包んでいるがほとんど見えている。

洗練された肉体だ。

美しくしなやかでそれでいて雑さがない。

まさに【美】を象徴するかの如き肉体。



「やはり我輩の目に狂いはなかったのだ!!覇王!いや、グレーステ・シュテルケ!」


「やはりお前だったか混沌(カオス)...うわさには聞いていたが流石の貫禄だな」



おれ達は互いに見つめ合い豪快に笑った。



「それで服は!?」


「我輩の身体に恥ずべきものは無いッ!!!見たければ見ると良い!!」


俺は混沌(カオス)の言葉に頷き来ていた服を脱ぎ去った。



わけではない。



そんな変な状況にしたりはしない、

痴女が体を見ろと言うのならこっそり見るまで。

その了承を貰えただけの事。


突如混沌(カオス)が覇王覇気を放つのでこちらも負けずと覇王覇気を放つ。

周囲には途轍もない衝撃波が吹き荒れ近くに居た神達は近づく事さえ出来はしない。



「我輩とやりたいか?」


「いいだろう」


俺と混沌(カオス)は不敵に笑い合う。


最初に動いたのは混沌(カオス)だった。

いや動いたのは俺だ。

混沌(カオス)は自身の身に纏う黒いエネルギー体を操り、手を形成し俺に向かて攻撃を放つ。



圧倒的な速さ。

当たればひとたまりもないし避けるのもそう簡単ではない。


これが混沌(カオス)エネルギー。

すべてのエネルギー体の頂点に位置するエネルギー。

それは俺が持つ虚無エネルギーをも軽く凌駕する質量を誇る。


物質エネルギー

精神エネルギー

生命エネルギー

虚無エネルギー


そして最後に

混沌(カオス)エネルギー


一般的に使われる魔法は物質エネルギー。

どんなに頑張っても肉体への影響しか存在しない。


そして悪魔や精霊などが扱う精神エネルギー。

肉体のみならず精神生命体にまで影響を及ぼすほどの威力のエネルギー。

精神世界の住人である悪魔が好んで扱う。

精神攻撃耐性が無ければ受ける事が出来ない。


次に生命エネルギー。

魂を贄として扱う分威力も高い。

悪魔などの長き時を生きる種族はあまり使用せず。

短命種である人間のなかでも勇者や賢者と称された者達が最後の手段として自身の命と引き換えに扱うエネルギ――。


そして虚無エネルギー。

ありとあらゆる物を無に帰す威力を持つ。

また虚無を代償に練成する事が可能になる。

神ですらがまともに扱えないと言われるエネルギー。


そして最後に混沌(カオス)エネルギー。

混沌(カオス)が扱うエネルギーで世界そのものが生み出されるとされる原初のエネルギー。

世界が始まったエネルギーでありその威力は絶大。

魔法と組み合わせれば最上級の魔法へと昇華する。



さてそんな最上級の混沌(カオス)エネルギー。

実は俺も扱える。


混沌(カオス)の繰り出すエネルギーの塊を同じエネルギーで相殺する。

膨大な魔力を消費するが。なんら問題はない。


混沌(カオス)はと言うと多少驚きはしたようだ。

腕を組むのを止め物理攻撃に移る。


圧倒的なスピードとパワー。

ガードしてもだいぶダメージが入った。


避けるのが間に合わなかった。

と言うより気が逸れたのだ。


彼女が選んだ攻撃方法は蹴り。

それが一番有効なのはわかっている。

だが...全裸の今やるべきことではない。


全て丸見えになったことにより気が逸れてしまったのだ。



もし仮にこれも想定していたのだとするとかなりの策士だな混沌(カオス)...。

挿絵(By みてみん)

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