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最強は最高にわがままな証  作者: 早乙女 鰹
第12章 伝説の覇王
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第100話 異世界転移

シーラ達が壮絶な戦いを繰り広げている中、俺は元の世界に来ていた。


俺がシーラと現状の確認をしているといつの間にか背後に居たJK。

透明化して後を追う。


本人の要望なのでしっかりとついて行く。

妙に見慣れた街並み。

懐かしさのある駄菓子屋。

角のポスト。


その先を曲がったら....俺の家だ....。



妙な気持ちになったがここは間違いなく俺の家だ。

見慣れた玄関を開くJKについて行く。

慣れたように靴を脱ぎリビングへ向かうJK。



「ただいま~」


「お帰り|紗生(サオ)


聞き慣れた声。



親父....。


俺がガキの頃親父は死んだ。

つまり―――


自分の家に帰宅した俺の姉の佐藤 紗生(サオ)

俺より9個ほど上の姉だ。

つまりこの世界は過去の世界。



「おかえり|紗生(サオ)さおね~!!」


「ねえーちゃんお帰り」



少女の声と少年の声。


俺の妹の兎愛(トメ)


そして俺、健太(ケンタ)

兎愛(トメ)の格好は幼稚園の制服だ。

俺は小学校から帰って来た所で、紗生(サオ)は高校から帰って来た所だ。


俺は懐かしさの残る一家の団らんの場を後にし紗生(サオ)の部屋へ向かった。


JKの部屋を期待していた俺としては多少ショックだが。



流石に実の姉だしな...。


やがて話をし終えた紗生(サオ)が部屋に入り鞄を下ろしベットに倒れ込む。



「まだ居るの?」


小さく呟くので俺は不可視化の魔法の効果を切り姿を現す。

すると居ないと思ったのかとても驚いている。



「ほんとにいるのっ!!??」


「お前が付いて来いと言ったんだろうが...」


溜息を付いてみても紗生(サオ)は何故か元気だ。

それにしても兎愛(トメ)のあの魂の色...いやまさかな。



「ねぇちょっと聞いてるの!?」


「いや聞いていない」


「ちゃんと聞いてよ」


考え事をしていると言うのにうるさい奴だな全く...。

続きを話すよう首を動かすと紗生(サオ)は続きを話す。


「それであなたをみんなに教えようか迷ってるの」


「いや言ったとして信じる訳ないだろ!!」



どう考えたって俺を親父とお袋に教えるのは無しだ。

健太と兎愛(トメ)になら問題ない様な気もするが親父には無理な気がする。


そもそも俺の記憶に親父の記憶がほとんど残っていないせいだ。

どんな人だったかをほぼ覚えていない。

見ず知らずのおっさんと話すような変な感覚に近い。


ふとカレンダーが目に入る。



「今は何年の何日だ?」


「今日は1999年の3月25日だよ」



あぁそうか...よりにもよってその時代か...。



「それがどうかしたの?」


訳のわからない紗生(サオ)に浮かんだ疑問は当然だ。

おれ達家族にとってのトラウマ。それが1999年3月28日だ。


今から三日後親父と兎愛(トメ)は―――死ぬ。


浮かない気持ちを振り払い素直に説明する。



「俺は未来から来た。信じられんかもしれんがな」


「今更?全部信じるよ」



理解が早くて助かる。がこれだけ順応が早いのは逆にどうなんだ...。



「ねぇ空って飛べるの?」


「造作もない事だ」



飛べるのは当たり前の事なのでで依然と答える。

すると紗生(サオ)は身を乗り出して俺に迫る。



「私飛んでみたい!!今夜―――」


「ねえーちゃん風呂ーー」



不意に部屋の外から俺の声が聞こえる、いや俺の声と言うよりは健太の声だ。

あぁそうか風呂か...ならしばらくここで待つとするか...。

と考えていたのだが、紗生(サオ)には変に伝わったらしい。



「入ってこないでよ??」



こいつは何をいっているんだ...

わざわざ実の姉を見て何になると言うんだ...。



「さっさと行ってこい」


「はーい」



俺の言葉を聞き紗生(サオ)は風呂場に向かう。

俺はそのまま待機だ。


流石に覗きとかはしない。

実の姉だからと言うのもあるが...

どちらかと言えば倫理観の問題だ。


完全不可視化を使えばバレる事はまずない。

かなり複雑な気持ちだ...


普通のJKなら遠視やらで除くかもしれんが...


おっと....俺は紳士なのだ、それはできない。


誰も見ていないのでそっと布団にダイブする。

ほのかに香る優しい香り。

姉とはいえ紛れもない高校生。


だけど...この香りはなんだか...眠く―――



ゆっくり瞼を開くと頬をつんつんされているような感覚と眼前に巨大な幼女。

いや巨大に見えたのは近かっただろう。


兎愛(トメ)ッ!!」


「うわぁ!!お人形さんじゃなかったのー?」


「人形じゃない、只の仮眠だ」


紗生姉(さおね)ーの()()()?」



このガキは何故そんな知識を持っているのだろう...

いや俺の妹だが...園児が知っていい言葉じゃないだろうに。


「おにいさん遊ぼ!!」


「ん?あぁまぁいいが...」


俺を兄認定するの早いな...。

俺の家族は順応が早すぎる...親父たちも俺の事知ってもなんとも思わないんじゃないだろうか...。


まぁこれに関しては俺が恥ずかしいと言う理由しかないが...。


「おままごと!!」


おままごと...俺がやるにはかなり幼稚な遊びだが...兎愛(トメ)の思考はまだまだ子供だな。

兎愛(トメ)は包丁でなにかを斬る動作をし始める。


始まったみたいだな...


「今日はあなたの大好きなハンバーグよ~」


そんな事を言うので俺はこっそり親父の部屋のフィギュアを手に取りおままごとに参加させる。


「ハンバーグ...今思えば初めて食べる代物だ」


俺が人形にアテレコする様に言ったが兎愛(トメ)はピンと来ていない様子。

だろうね...と言う感情しか出てこない。


「いっぱい食べるのよ~」


「喰らえッッ!!強く―――」


「つまんないッ!!」


俺の演技を遮り兎愛(トメ)は大声を出し俺の渾身の演技を中断させる...。

せっかく楽しくなって来たのに...ぐすん...


次はなにやら箱を持ってくるので中を確認してみると小さな家具がならんでいる。

さながら人形の家の様な箱だ。

そして次は人形遊びをしたいらしく人形を動かし始める。


そこで俺は先ほどの人形を使い窓から部屋に侵入うさせる。


「おじゃま...」


吹き出しそうな俺とは違い兎愛(トメ)は目に涙を浮かべる。


「つまんなーい!!!」


子供とはよくわからないものだ...俺は少し楽しくなって来たというのに...。

どうやら期限を損ねてしまったようだ...


仕方ないあの手を使うか...。


俺は小さな俺とエミールの人形を作りだしたそしてそれをスキルを使い操作する。

もちろんこの人形は喋る。

流石にこの人形でバットエンドに導く訳にはいかないのでしっかりとハッピーエンドに導く。


これは俺の理想の体現。

こうなったら良かったのに...と思う理想のストーリーだ。


一通りの演技舞台が終わると満足したのか兎愛(トメ)は寝てしまっている。

子供とは随分とわがままだな...。


寝てしまった兎愛(トメ)と同じように俺も瞼を閉じる。



少しすると紗生(サオ)が戻ってくる。

部屋に入ると同時に大声を出す。


「ちょっとあんた兎愛(トメ)に何―――」


俺は人差指を立てて静かにするように伝える。

その後、兎愛(トメ)を魔法で浮かせ部屋まで運ぶ。


「魔法って便利ね....」


運ばれていく兎愛(トメ)を眺めなる紗生。


「なんもしてないでしょうね...」


「するわけ無いが...おままごとならしたぞ?」


隠す必要もないのでべらべらと出来事を話す。


「まさかッシチュエーションプレイ!?」


「相手は園児だろうが...お前こそ何を考えているんだ...ませガキがッ!!」


さすがにこれ以上話してるのも面倒くさいので俺は手のひらを紗生(サオ)に向ける。

理解が追い付かないのか紗生は困惑する。


「行くんだろ?空に」


「うん!!行く行く!!!」


寝巻すがたの紗生を連れて夜空へと飛翔する。

もちろん不可視化の魔法は掛けてあるのでみつかる心配はない。

かなりの高度まで上がりやがて町全体が視界に収まる。


見惚れる程美しい夜景。

それを眺める紗生(サオ)もとても美しかった。


俺の知る姉貴はもっとやさぐれていた気がするんだが....

あまりにも記憶とかけ離れている。

まぁトラウマ事件が起きる前だからなのだろう。


夜間の飛行を終え家に帰宅する。


俺は紗生(サオ)の部屋で床に座る。

紗生はベットに座っているが何かに気付いたのか俺に話しかけてくる。


「そういえばあなた何も食べてなかったよね...今何か...」


「気にするな」


俺はそれだけ伝え自分で料理を錬成する。

一流のシェフが作ったステーキだ。

部屋に満ちる香ばしい肉の香り。


俺はそれをナイフで小さく切りながら口へ運ぶ。


固すぎず肉は舌の上で溶ける。


その様子を眺めていた紗生(サオ)はお腹を鳴らす。

仕方ないな...。


「食うか?」


「いいの?あなたのご飯よ?」


「構わん」


「じゃあちょっと待ってて、私の残りがあるから!!」


急いで取りに行く紗生....残り物かよ...

こちとら最高級のステーキだぞ...。


戻って来た紗生(サオ)は小皿に食べかけのハンバーグが乗せられている。

久しぶりの実の母親の料理。上京してからはほとんど食べれてないので、かなりの年数を食べていないことになる。

正直楽しみだ。


俺はステーキを紗生(サオ)に渡し食べかけのハンバーグを口にする。

口に広がる酸味と甘味。


「どう?お母さんの味独特でしょ?このステーキには劣るけど...」


俺は懐かしい味に涙が溢れそうだった。

紗生の手前泣くことはできないが、俺はこの味を堪能していた。

俺にとっては一流のシェフとなんら変わりない。

とても美味しいハンバーグだった。


食事を終え床に布団を敷く。


さすがに同じ布団で寝るのは嫌だ。

実の姉じゃなければ喜んで寝るのだが....。


紗生(サオ)のおやすみを聞き俺も目を閉じる。

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