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最強は最高にわがままな証  作者: 早乙女 鰹
第11章 邂逅
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第98話 時之神

俺はルシファーに近づき手を翳す。

少し前に獲得したサタンの魂を注入する。


この世界にとってルシファーの強さは圧倒的だ。

そんなルシファーと同じステータスを持つサタン。

二つとなった力が再び一つに戻る。

たったそれだけの事なのにそれは世界を揺るがすだけの膨大なエネルギーとなる。


相反する力の鬩ぎ合いに苦しむルシファー。

聖を纏う壮絶力と邪を纏う壮絶な力。


そんな燃え盛る炎にもう一つの燃料を追加したらどうなるだろうか。

火に油を注げば燃える様に、俺はもう一つの魂を注入する。



「おい覇王!!!なにをする!!それ以上はルシファーが持たないぞ!!」



焦るヴェルナータが言うように。

ルシファーは既に満身創痍と言った様子。

そんなルシファーに再び手を翳す。


拒絶反応は起こらない。

そもそもステータスは違えど同じ魂なのだ。

だが、強引に合わせれば当然の様に力は反発する。


なんとか自分の膨れ上がる力を制御しようとルシファーは持てる力のすべてを使う。

俺はそんな光景をただ眺める。



「進捗どうかな?」



後ろから楽し気な声が聞こえてくる。

ヴェルナータでもなくゼルセラでもない。

声の正体はロキ、今まで見たことが無いほど楽しそうな表情を浮かべるロキ。



「やけに楽しそうだな」



素直に聞くとロキは嬉しそうに答える。



「僕の計画が順調に進んでるからね。ここまで行けばクリアも同然だよ」



ほんとに楽しそうな表情をしている。

ほぼ無垢な子供じゃないか。

子供が新しいおもちゃを買ってもらった時の表情はとても純粋な意志。



「ねぇマスター少し魔力を貸してくれないかな。僕だけじゃ魔力が足りなくてさ」



ロキが一体何の魔法を発動するかは分からないし知らないが俺はロキに頼られるまま魔力を貸す。



そしてロキは魔法を発動させる。

消費した魔力は大した量ではない。

いや、この世界と修羅の世界で言ったら膨大な量の魔力を消費したが俺の圧倒的すぎる魔力量からしたら微々たるものだ。

消費したことさえ意識してもわからないほどに。



そして魔法は発動する。




時之神顕魂(クロノスムードス)




満身創痍のルシファーに抵抗する力は残されていない。

光の波動と共にそれはルシファーに宿った。


宿った何かは自分の力を確かめると鷹揚と笑う。



「受肉に成功したようだな」



それは既にルシファーではない。

ルシファーだった()()()がロキに視線を向ける。



「ロキか,,,どうやら成功したようだな」


「まずは名乗ってくれないかな、まぁ大体わかってるけど」



それもそうかとルシファーだった()()は笑う。



「我は時を司るクロノス。伏して仕えよ」



俺を見下したような態度だが、自然と俺の中に怒りはない。

長年探してきたスキルの持ち主が見つかったからなのか、心の奥底から湧き上がるこの気持ち。

お前を殺せと高ぶる心。

こいつに何かされた訳でもないのに何故か俺の心に芽生えた復讐心。

自分の中にある復讐心、だがこれは俺の感情じゃない?


不思議な感覚だが、俺の考えは正しい気がする。



「僕は君に仕えないよクロノス。君はただの生贄さ」



そんなロキを見下ろすクロノスは何も言わずにロキに衝撃波を飛ばす。

衝撃波にロキは吹き飛び壁に打ち付けられる。


「返せ...その体はお前の物じゃない!ルシファーに返せ...」


時之神の絶大な聖なる力を近場で感じてしまったヴェルナータは体動かす事すらできはしない。



「そんなにこの体が返してほしいなら返してやろう。この我にこの肉体は必要ないこうして顕現する事ができたのだ。自らの手で生み出すとしよう」



無造作に肉体は捨てられ別の肉体に受肉を果たす。

生み出された肉体は美青年ではあるが、ルシファーの美しさには敵わないな。


ルシファーの魂はすでにクロノスに取り込まれてしまった。

肉体はただの器であり、力を手にしたクロノスにとっては必要のないもの。


だがすべては計算の内だ。

こうなる事は容易に想像が出来たのであらかじめ複製しといたのだ。

それをこっそりとクロノスに気付かれない様にルシファーの肉体に戻す。


するとルシファーは起き上がりヴェルナータを抱えてクロノスから距離を取る。

再び起き上がった事にクロノス自体も驚いているがわざわざ教えてやる必要は無い。



「ルシファー!ヴェルを連れてどこか行っていろ」



ルシファーは状況を理解し直ぐに転移にて移動をした。

さてと邪魔者は消えたな。



俺が前に出るとクロノスは俺の前に神を数十人召喚する。

いや、この場合は召喚ではないか。

クロノスは時の力を使い、別の時間軸から神を呼んできたのだ。


召喚された神は俺を見ると敵意を向けてくる。

その敵意に反応しゼルセラがすぐさま神達を薙ぎ払う。


まさに瞬殺。流石ゼルセラだ。


その光景にクロノスは驚愕を顕わにしている。

それもそうだろう、神とは本来強さの象徴。天使が勝てる存在ではない。

まぁそれは普通の天使ならの話だが。



「ありえん!天使が所持できる力を越えている!こんな事は在ってはならない!」



俺は肩を竦ませてみせた。



「どうだ?まだ歯向かう気があるなら俺が相手してやるぞ?」


「舐めるなよ人間がッ!!」



そう言い放ち攻撃をしてくるので軽く受け止める。

俺にただの魔法が通用すると思ったのだろうか。

不用意に接近してしまったクロノスを憐みながらも俺はクロノスを掴む。



だが、確実につかめると思って伸ばした手は空を掴む。

外した?俺があんなのに攻撃が当てれないと言うのか?


多少脳が混乱する。

攻撃を回避されるとは思っていなかったのが原因だが...


次はある程度加減をしながら魔法を放つ。

だがこれも避けられてしまった。


ふむふむ...まさか...未来視か?



「何をした」



俺の問に対してクロノスは余裕そうに答える。



「自分の攻撃が当たらないのがそんなに不思議か?まぁいい無知な人間に教えてやろう。改変してるのだよ。攻撃を喰らった未来を改変し攻撃を避けた未来にしただけの事、といっても次元が違い過ぎてわからないか」



いい能力だな...

ますます欲しくなったぞ。


だが、攻撃をしたとしても改変されたんじゃ意味がないからな...


考えても解決策は出てこない。

相手からの攻撃は避ける必要のないほど無力なものだった。



「我の相手だけをしてていいのか?」



その言葉を聞かされ正直どうでもいいと思ったが念のためゼルセラに命令を出す。


「ゼル、念のため地上に戻り世界を守護するんだ、最悪の場合フリューゲル達を使っても構わん。生命を根絶やしにされては俺の計画も意味を成さなくなる」


「はっ」


俺の命令を聞いたゼルセラは即座に転移した。

これで不安は消えた。

問題はこいつをどう対処するかだ。

一撃でも当てれれば俺の勝ちだが当たったという事実を改変される以上攻撃は当たらない。


かれこれ30分ほどが経過するが状況は完全に膠着状態。

相手は俺を倒せないし俺は相手を倒せない。



「厄介なものだな...」



クロノスにぼやきを聞き俺にも多少の怒りが芽生える。



「あぁ時の超越者は厄介だ」


「ただステータスが高いだけの人間がこれほどまで厄介とは...だが、まだ手がないわけではない」



ほう、俺になにか一矢報いる事が出来ると言うのならぜひともやってほしい物だ。


鷹揚に構えると相手に意思が伝わったのか俺に魔法を放つ。


あまりの閃光に目が眩んでしまったが体に痛みは無い。結局か....


閃光が収まり目を開くと辺りには街並みが広がっていた。

近代的な家屋が立ち並ぶ。



「こ、ここは現代?この街並み...どっかで見た事ある気が...」



当たりに人は居ない。

居なくてよかった...今の服装見られたらかなり気まずいからな...ほぼコスプレみたいなものだし...。


だが、まずい状況なのは間違いない。

こうゆう時に誰に声を掛ければいいかを俺は心得ている。


(シーラ、戻れるか?)


(魔法の模倣は済んでるのでいつでも戻れます)



流石に仕事が早い。

まさか既に魔法が使える様になっているとは...さすがを通り越して呆れてしまうほどだ。

だが、驚いても仕方がない。



(ここは恐らくお兄様の過去です)


(そうか...そっちは大丈夫そうか?)


(えぇ問題ありません、それにその世界はある程度できる事が限られている様なのでご注意を)


(力の抑制か?)


(いえ、未来に大きく影響のある事象は改変できません。)


(そうか...まぁ戻る事できるならすぐ戻るか...)


(たまにはバカンスでも楽しんでみては?)


(いいのか?クロノスが野放しになっているが...)


(問題ありません。幸いゼルセラも戻ってきてるので被害はないかと)


(わかったなら何かあれば連絡をくれ。俺は久しぶりの現世を堪能するとしよう)


シーラからの肯定を受け取り通信を遮断する。



「―――ねぇ聞いてるの?」


「ん?」



気付いたら俺の後ろには高校生が立っていた。

気付かなかった....。


いつの間に居たんだ...。気配が探れなくなっているのか...いやこれは...俺の力が強すぎる故に感じ取れないのか....



「あなた私のオリキャラよね?」


「は?俺はお前のオリキャラではない。俺は異世界の覇王グレーステ・シュテルケだ」


「なりきりかぁ~様になってるねぇ」



なんだこの女子高生...どこかで見た事ある気がするが...。



「家はあるの?」



jkすごいな...こんな得体のしれないコスプレ男を家に招くのか...いや、招いたわけじゃないか...。

まぁ家は無いが...う~む少しお邪魔するか?せっかくのjkだしな...。



「相手の魔法で転移させられたようでな。住む家は無い」


「え?魔法!?ほんとに使えるの」



これ位なら見せてもいいよね?

手のひらに炎を作り出すと、jkは嬉しそうにそれを眺める。

順応が早いな...



「じゃあ透明化とかできる?」


「あ、あぁ」



今度は透明化...【完全不可視化】だと声も聞こえないしな...【不可視化】でいいか

魔法を使うと俺の姿は消えjkは辺りをキョロキョロと見渡す。



「ほんとに消えた...これなら私の家に来てもばれないよね...」



そういい歩き始めるjk。これでどこか別の方に行こうかとも思ったが、流石に可哀想か...


俺はついて行くことにした。

向こうの世界でいい感じの状況になったら呼んでくれるらしいのでそれまではここの世界で暮らす事になる。

それからせっかく女子の部屋に誘ってもらったんだ。

行かねば損と言うもの。

期待に胸を膨らませながら透明な俺は少女の後をついて行った。

この絵面...完全にアウトだよな...

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