プロローグ
新作です。宜しくお願いします！
迷宮都市バイテンド。
東大陸北西部にあり、マレー海峡を挟んで北の大陸と睨み合う扇状地となった場所に位置する。その間には伯爵の統治する諸島や原住民族によって交流を断固として拒まれる秘境が存在する。
人口六〇〇〇〇人以上を誇り、鉱山や油田の近い事から豊かな土地となっている。何よりも、数々の未知を内包する神秘の世界――迷宮が各区域に点在するという、極めて珍しい地勢である。
そのため、未知を探求する命知らずを職業とする人間――冒険者が集い蟠る界隈。野蛮な人柄から穏やかに薬草採取などを中心とする穏やかな気色の人間まで広く混在する。
冒険者組合の出す依頼に挑み、命を懸けて戦い報酬を得る事もあれば、商いの手伝いや薬草や鉱物の収集などの簡易な任務もある。それを生業とする冒険者が迷宮都市バイテンドに集中するのは当然の理だった。
冒険者の職業が何故に命の危機を伴うのか。それは、迷宮内や町の外部に跳梁跋扈し、常に人肉を貪る怪物の存在があってのこと――俗に魔物と呼ばれる生き物だ。
少なからず、迷宮の内部以外にも世界には町の外、辺境や僻地の付近には魔物が存在する。これは人の外敵であり、人類が存在する原始から共に争い続ける天敵であり、冒険者にとっては食い扶持であった。魔物を率いるのは魔族であり、それを統制するのが魔王。
魔王は世界的に、自然の摂理として存在する魔物と存在して何ら可笑しくは無いが、それでも人類を脅かす為に戦争を仕掛けたり、或いは国家に刺客を嗾けるという兇手を平然と講じる絶対的悪。これに挑む数々の戦士は居たが、並大抵では斃せない。
魔王は西大陸
これを斃すべく、数十年に一度だけ東大陸に生まれる希望の光――『勇者』が居る。魔王と唯一拮抗する力を備えて生まれるそれは、何処に存在するかも定かではない神々が人類の中より選出したという風聞で、幼少期から並外れた身体能力と魔力を併せ持ち、ある程度の実力を身に付けると自ら故郷を発って魔王との死闘を演じる。
何度も魔王は転生し、その復活に呼応して勇者の存在が現れるのが条理。
その重責を見事に全うする者は、死後も英雄として語り継がれ、人々の中に物語として書籍になったり、或いは碑石に名を刻まれる。成功と共に生涯安定した暮らしを保障される程に偉大な功績を得る資格のある、逆を言えば魔王と戦わざるを得ない勇者という役柄は、冒険者の間でも憧れであった。
そしてこれは、最近魔王が再び討伐され、北大陸から勇者が戻って来る頃の迷宮都市での話ある。
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次回も宜しくお願い致します。
