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友情という名の関係  作者: ありま氷炎
Chapter 8 美しき同盟
34/50

8-1

眞有まゆ


 名前を呼ばれ顔を上げる。すると武が愛しげに私を見つめ、髪を優しく撫でていた。

 そうしているうちに彼は私を抱きしめる。その端正な顔が近づき、自然と目を閉じる。するとふわりとキスが落とされた。


眞有まゆ

 名を呼ばれ、再び目を開けると、そこにいたのは青い瞳に金髪の美しい男だった。


 リリリリーン


 がばっと体を起こした。携帯電話が鳴っているのがわかる。胸がどきどきしていた。


 なんで、撫山…さん…みなとが……


 リリリリーン


 動揺している私に構わず、携帯電話が鳴り響く。

 ベッドから降りると、電話を取った。


「もしもし?」

「……俺だけど」


 かすれた声でそう言ったのは武だった。


「ごめん。本当に。でも、眞有を好きなのは本当だから。説明しなくてごめん。本当……」

 

武は声を詰まらせる。



 胸を突かれるのがわかった。

 こんな風に苦しげな武の声を聞いたのは初めてかもしれなかった。


「……武。私はあんたに振られてすごく傷ついた。でも……」


 そう口にしながら、なんて言っていいか、わからなかった。

 胸に痛みが走る。

 武になんと言葉をかけていいか、わからなかった。


「眞有……」


 私達はそれ以上言葉を発せられなかった。

 何を言うべきがわからず沈黙が訪れる。


「池垣さん、電話をかしてください」


 沈黙を破ったのは港で、遠くから彼の声がした。


「眞有。このまま池垣さんが結婚するのは、私も納得がいきません。何か対策があるはずです。それを考えましょう」

「……うん」

「そうですよね、池垣さん。あなたもこのまま、結婚してもいいんですか?眞有へのあなたの気持ちはそんなものなんですか?」

「そんなことはない。俺は眞有が好きだ。あんたには負けない」

「なら、何か考えてみてください。じゃ、眞有。そういうことで、私の推測はあたりです。あなたはゆっくり休んでください。あとは私と彼が話し合うことですから」

 二人の会話が電話越しに聞こえ、最後に港がまとめて電話は切られた。

 ツーツーと通話が切れた携帯電話を握り締める。


 武が私を本当に好きだという事実は嬉しかった。


携帯電話を机の上に置くとごろんとベッドの上に横になる。

 仕事から帰り、電話を待っていたらいつの間にか寝ていた。


 昨日の無理がたたって体が疲れていた。でも頭が妙に冴え、眠れなかった。


 リリリリーン

 

 再び電話がなり、体を起こす。


「もしもし?」


 覚えのない着信番号だと思い、電話に出る。


「安田さん。私です、永香えいかです」


 それは加川くんの姉だった。




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