第一章1『見知らぬ場所』
見慣れない天井。
(ここはどこだ?)
重たい体を持ち上げながら、頭を回転させる。
ついさっきまで部屋で寝ていたはずの自分が、なぜこんな見慣れない場所で寝ていたのか、ということを。
部屋に置いてあるもの、窓から見える風景。
どれも記憶にない。
いま、自分のいる場所は二階建ての建物らしくその二階にいる。
外に出れば何かわかるかもしれない、そう思い階段を降りる。
「あ、団長おきましたか?」
いきなり階段の脇から金髪の少女が出てきた。
てっきり人はいないのかと勘違いしていたので、かなり驚いた。
「ほんとに驚いたんですよ。急に倒れるからメアリもそれはもう泣きそうな顔で。」
金髪の少女の子がまるで知り合いかのように話してくる。
「えっと…だれ?」
今の状況に追いつけず駿は問う。
その言葉にあたかも金髪の少女はなにを言っているのか理解できない、というように首をかしげた。
「団長、何言ってるんですか?どこか頭でもぶつけましたか?」
そんなことを言い返してくるので、そっちこそ何を言っているのだ、とつい思ってしまう。
『こんな良くわからないことになってしまうなんて、ほんとに異世界転移でもしたのか』と疑問に思ってしまうくらいだ。
そんなことを頭の中で考えていると、またもや奥の方から数人の声がして、声がだんだん近づいてきているのに気づく。
「グレン大丈夫だったか」とか「団長」やらなんやらと数人に言われた。
そして、また疑問が増える。
果たしてそのグレンという名前はなんなのか。
団長とは?
この人達はなぜこんなにも馴れ馴れしく接してくる?
「団長、浮かないかおしてどうしたの?」
数人のうちの一人が問いかけてくる。
すると周りも「まだ休んだほうがいいんじゃないか」と言ってくる。
「お前ら誰だ?グレンって誰だ?」
もう1度目の前の人達に問いかけをして見る。
だがその反応はさっきと変わらず。
(何言ってるんだこいつみたいな顔をされてもなぁ……)
ひとりでに心の中で呟いた。