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第4話 邂逅


微妙な空気が流れているのが耐えられず、そそくさと外へ出てきたルシフェル達。

 

 主に召集をかけられ大神殿に入ってからは、人形のように付いてくるだけだったラファエルさんも、先程元に戻ったのか意思のある瞳をしている。

ふと、ラファエルさんと目が合う。

やっぱり普段の雰囲気というか…感覚?にもどっている。

視線が気になったのか、怪訝そうな顔をしながら普段通りに話しかけてきた。


「…ルシフェル様?どうしました?戻り次第戦の準備としましょう。ボケッとしている暇はありませんよ?」


記憶はちゃんとあるんだな…

やっぱり俺と同じように、意識が沈んだようになってしまっていただけなのだろうか?

 

そうだ、ラファエルの話を聞いて思い出したが、戦いが始まるのだ。


(戦いって…やっぱり、なんか武器持ってやるんだよな…俺出来るのか?)


 日本と言う身近に戦争の無い平和な所から突然くれば実感がわかないのは当然だと察して欲しい。


 そんなことを立ち止まって考えていると、気が急いているのか若干ソワソワしながらラファエルが問いかけてくる。


「?…どうしたんですか?お部屋へ戻らないのですか?」


「…どうやって帰るんだっけ?」


日本人の本領、作り笑いので聞いたら、どこから取り出したか分からないスリッパを目にもとまらぬ速さでスパーンと頭にたたき落とされたのは言うまでもない。

…俺、偉いんじゃ無いの?気のせいなの?…いえ、なんでもないです…




 大神殿に着くと、早速パタパタと慌ただしく支度を始めるラファエルさん。

だが俺に出来ることは少ない…というかほぼ無いのでソファで寛いでいる。

むしろ何もしないのは良いことなのだ!余計な仕事を増やしたりすることはないし、作業の邪魔をしていないと言うことなのだから!


そんなを俺の気持ちを感知したかは解らないが、大荷物を抱えたラファエルさんがスッと近寄ってきた。


「…ルシフェル様?寛いでないで武器と防具の手入れでもしてきたらどうです?」


そこにいるのは邪魔なので。


にっこりと笑顔で付け加えられ、俺を追い出しにかかってきた。


…なんたることだ…存在すら邪魔だと!?

様付けしてる筈なのになんだこの扱われようは。


だが準備をして貰っている身で文句など言えるはずは無い。そんなわけで寝室…で良いんだよな?先程寝ていた部屋へ戻ってきた。

起きたときは突然で思考が回らなかったが、今見てみると槍やら鎧やらが置いてあった。むちゃくちゃ光輝いてる。よくこれで気がつかなかったものだ。朝のテンパりようが分かるな。


「手入れか…やったことないからやり方分からないな…いや、それ以前に手入れの必要ないだろ!これ!」


うっすらと光を放ち続ける槍は傷一つ見当たらない。むしろコレ使ったことあるの?と疑問にすら思う。

とりあえず手に持って馴染み具合を確かめてみる。その途端、まばゆい光を放った。

驚きとともに閉じていた目を開けると槍が形を変えていた。十文字槍に…。



「光の割に変化が小さいわ!!」



思わず地面に叩きつけそうになってしまった。

だって最終形態にでもなったかのような派手な光だったんだぞ!?

 

しばらくブツブツと文句を言っていたが、目的を思い出し一通り槍を振り回してみた。

物凄く体になじむ。俺の武器だというのは嘘では無いようだ。

ていうかずっと十文字槍なのか?ってうおッ!?一文字に戻った!へー考えれば変わるんだ…もう一度十文字槍に………今度は光らないの?ひょっとして意思があるとかじゃないよね?さっき文句言ったから拗ねたの?そうだったらごめんなさい槍さん…


そんなこんなで、槍という無機物をおだてると言う変態は封印して、と。

もうやることもなくなってしまったので外に散歩に出ることにしよう。鎧も一度着けてみたが槍のような変化もなく、ちょっとガッカリした。…ハッ!?槍に引き続きさっきの二の舞になるところだった…危ない危ない。

 


ふらりと当てもなく外に出てみたが、どこを見ても美しい光景ばかりだ。元いた世界では絶対に見ることのできない世界。

 本当に見知らぬところへ来てしまったようである。

段々そう実感してくる度に不安になってしょうがなくなる。

こんな訳の分からない世界で、ルシフェル様、なんて呼ばれる自分はまだ受け入れられない。……流されちゃってるけど。

それでも、やはり死んだことは間違いない。

それについては諦めもあるし納得している。だけど…


不安に押し潰されそうになったとき、ふと、鳴き声が聞こえた気がした。声のする方へ歩を進めると視界の隅に泣いている子供を見つける。

 

ーーーこの少年との出会いがルシフェルの運命を変えることになる。


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