表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

第1章 1話 目覚め

改投稿です再度よろしくお願いします。

~プロローグ~


何てことない日常、そんな日々が続くと思っていた。

俺こと西野健也は、地元の高校を卒業し、運良く某大手へ入社できた事以外は、誰もが送るような日常を過ごしていた。


これから、だった。

今のご時世、大卒でも大手なんて入社出来ないのに、何のコネも無くすんなり入れた事に一番驚いたのは俺自身であり、一番喜んだのは家族だった。


これから、だったんだ。

そんな家族に、これから…



だが、今俺は炎に包まれている。

家族の泣き声、悲鳴はもう聞こえない。

ガラガラと燃え崩れた家の残骸に阻まれて外への逃げ道は…ない。

悔しさすら感じる暇も無い程に呆気なく自分の命が終わると悟り、目を瞑る。

熱い。

火が自分に移り、燃える。

もうとっくに聞こえなくなっていると思っていた耳に届いた呻き声が、自分の口から発せられたものだと気づく。

服が焼け、肌が焼け、

その臭いを感じながら西野健也はその世界での命を終えた。



-魔界にて-


「クソ!やられた!」

長い蒼色の髪をかき上げながら苦々しく顔を歪め、蛇のような瞳孔をした金色の瞳が怒りで揺れる。

ソロモン第18柱バティンである。

「あの人間はあり得ない魔力を宿していた。寿命で命尽きれば必ず大悪魔へと転生できるはずであったのに!」

バティンは動揺していた。

人間の、しかも赤子のうちから膨大な魔力を宿していた健也にバティンは目をつけていた。

寿命を迎えた後は主君として向かえるつもりですらいた者が突然の死を迎え、気付いた時には魂は天界へと(すく)い上げられてしまった。

本来なら彼の寿命は80年は先だったのだ。

そんな彼の、人間の事象を自由に変えることができる存在は1つしかない。


「己の脅威を摘み取りまさか自らの力に変えてしまうとはな…」


バティンは、神を改めて『敵』と認識する。


「邪魔されたが…必ず我らの主として迎えて見せる…!」


呟かれたその言葉は、暗い一室に溶けて、声の主とともに消えた



-天界にて-


辺り一面きらびやかな花に囲まれる鏡のような泉を覗き、少年のような笑みを浮かべる一人の男


「ふふ…目障りな悪魔が余計なことをしようとしていたようだが…ボクには無駄さ」


用を終えたのか泉から視線を外しその場に寝転んだ。


「健也くんの魔力は確かに驚きだけど、先に転生させた者勝ちだよね♪」


目を閉じてそのまま寝入ろうとするも、ふと何かを思案するようにん~と唸る。


「ま、第1柱にうつせばいーかな?本来の運命とはかけ離れちゃってるけど、純粋な人格は使わずにいるのはもったいないし…ね…」


つらつらと思案を終えると、今度こそ、と目を閉じ、すやすやと眠りにつくのだった。



  ………何者かが誰かを呼ぶ声がする。

  ルシ…………    ルシ……ル……  

 聞いた事のない美しい声が、脳内に響き渡る。

  …シフェル様…  ルシフェル様…

つい聞き惚れてしまうその声にしばらく耳を傾けていた。

 しかしスパーン!と軽快な音とともに軽い痛みが襲ってきて、驚きとともに意識が覚醒する。

 「ルシフェル様!いい加減起きてください!いつまで寝たフリをしてるんですか!」

 美しい声が一転怒号に変わり、俺は恐る恐る目を開けた。

 「全く、何度お呼びしても起きないんですから!ご自分で起きれるようになさってください!そもそも、我々は本来眠る必要などありませんのにルシフェル様は…」

 と何故か説教が始まった。

 (しかしルシフェル…?俺西野健也なんだけど…完全に人違いじゃ…)


「ちょっとルシフェル様?聞いてるんですか?」


ややキレ気味で顔をズイっと近付けてくる女の子…


「え、えっと、俺の事?なにか人違いしてるみたいじゃ…」


「なにいってるんですか、あなたはルシフェル様でしょう!…え、まさかバルバトスの変身…いえ、感じ取れる聖力はルシフェル様そのもの!…フフフ…私はだまされませんよ!?まさかルシフェル様の従者として長い期間お供したというのに忘れてしまったのですか?ルシフェル様?」


…完全に怒っていらっしゃる。

にっこり笑顔かこんなに恐ろしいなんてどういうことだ。笑顔に謝れ。

どうしようかとキョロキョロしていると部屋にある鏡に自分の顔を見て視線が止まる。


「誰だこれ…」


そう、全く見たことのない顔が写っていた。流れる金髪、キリッとした二重、通った鼻筋、透き通るように輝く白い肌。

 日本人の典型的な黒髪黒目とは似ても似つかない美形となっていた。

 自分であろうルシフェルというこの体(顔)に感心していると、ついに話を無視され続けた目の前の女性は額に青筋を浮かべながら言い放った。


「わかりましたもう話は聞かなくていいのでさっさと寝床から出てくださいーー!」


目にもとまらぬ速さで耳をひっぱられる。

俺はいだだだだ!と声をあげながら、引きずられるようにその部屋をあとにするのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ