電話の主
「涼?」
蓮はいきなり静かになった涼の顔を覗き込む。
「…もしかしたら…お前たちの組織の
奴らが蓮の親を連れ去ったのかもしれねぇぞ。」
「なっ…!」
「そうとしか考えられない。」
「そんな…わけ…」
突然家の電話が鳴る
「!?」
「誰だ…?」
「はい〜?」
「おい!?真白!?」
真白がなんの躊躇もなく受話器をとっていた
「し〜…」
唇の前で指を立てて黙らせる
「…間宮お兄さん、ですよね〜?」
『その声は真白かい?一体どこにいたんだ?』
「蓮とアイルと一緒にいるの。でも何で
蓮のお家に電話してるの?」
『すまない、少し蓮と代わってくれないか?』
「…はぁい」
蓮に受話器を渡して代わる
「…蓮だ」
『久しぶりだね、蓮。元気にしてたかい?』
「…お母さんとお父さんは?」
『あれ?もう気づいたのか…君のお母さんとお父さんは私の隣にいるよ』
「なんで!?返して!私のお母さんとお父さんを!」
『じゃあ、取引をしようか。今夜八時
○○公園でー』
「おい、あんた」
いきなり涼が蓮の持っていた受話器を
取り出し、話し出した
『…なんだい?君は?』
「黒蓮涼。…あんた、何者だよ」
『何者だと?失礼だな、…私は間宮 秋夜…君の周りにいる三人の子供たちの、育て親だよ』
「…じゃあ何で蓮をこんなに困らせてるんだ?」
『困らせる?何を?』
「蓮の親を連れ去ったんだろうが。」
『ああ、それだけのことか。』
「…は?」
『私はただしなければいけないことを
しただけだよ。』
「それで蓮が困ってんだろうが!」
『君は何も知らない。彼女が今ここにいる理由を』
「!?」
『長話をしてしまったね。真白とアイルに帰ってくるように言ってくれ』
それだけ言い捨て、電話はガチャリと
切れた
「…涼さん…?」
アイルが何があったのかと心配そうにする。
「…蓮…」
「…」
「必ず、お母さんとお父さんは探してやる。」
「!!」
「涼さん…?間宮お兄さんは何を?」
真白が恐る恐る聞く
「なぁ、蓮。…あいつに何をされたんだ?」
「…」
蓮はただ黙るだけだった。