ありがとう
涼は夜の街をひたすら走っていた。
「おーい!蓮!どこにいるんだー!?」
そう叫びながら
商店街、公園、学校を見回る。
「っは…っは……どこに…いるんだ…」
「ははははは!」
突然何処かで男の声が響いた
「…?」
声のする方へ歩いていく
たどり着くと小さな狐の尻尾が
見えた
「なっ…!?」
数人の男が蓮に詰め寄っていたのだ
「お嬢ちゃんー、お兄ちゃんたちと
楽しいところに行かない?」
「…」
「ねえ?」
「…」
蓮はただひたすら黙っていた
「ッチ…」
男が舌打ちをして蓮の近くでしゃがみ込む
ヤバイと思った
「やめろよ!」
涼はいつの間にか男に叫んでいた
「…あ…」
「なんだ?お前」
「り…涼…」
蓮は震える声で名前を呼んだ
「あ、あの…」
大量の冷や汗を流しながら
「スイマセンしたあ!!!!」
そう叫びながら蓮を抱えて走り出した
「追いかけろ!」
男たちが追いかけてくる
だが、途中で見失ったのか男たちの声は聞こえなくなった
「ふー…大丈夫か?」
「なんで……助けに来たの?」
そう低い声で聞いた
「そんなの…俺の勝手だろ」
「でも、私は涼にあんなことを言って
傷つけたのに!」
「…ああ…でも…お前が現れなかったら俺は今、外にいない。
俺が外に出れたのは…蓮、お前のお陰だ。」
「…うぅ…」
「どうした!?」
「ホッとしたんだっ…、涼が助けてくれたから…っ…ありがとう…っ!」