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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 山奥たける


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第8話 境界線の外から

異変は、静かに始まった。


グラーデン領の南門。

見張りの兵が、遠くの街道に砂煙を見つけた。


「……馬車?」

「いや、多いな」


やがて現れたのは、旗も紋章もボロボロの一団だった。

護衛の兵は疲弊し、鎧は傷だらけ。

馬車の中から降りてきた男は、明らかに“領主級”の装いをしている。


「ここが……グラーデン領か?」


その声には、焦りが滲んでいた。


応接室。


男は深く頭を下げた。


隣接領ローデンの代官、ミヒャエルと申します」


領主が戸惑いながら言う。


「なぜ、わざわざ我が領地へ?」


ミヒャエルは、唇を噛みしめた。


「……噂を、聞きました」


部屋の空気が、微かに変わる。


「魔獣被害が止まった」

「暴動が一夜で沈静化した」

「兵が死ななくなった」


アルトは、黙って聞いていた。


ミヒャエルの視線が、自然とアルトに向く。


「……あなたが、噂の“管理補佐”ですね」


その言葉に、領主が目を見張る。


(もう、外に漏れている)


アルトは、頷いただけだった。


「助けてください」


ミヒャエルは、そう言って頭を下げた。


「我が領地は、もう限界です」


説明は、短く、だが深刻だった。


魔獣が増え続けている


兵は疲弊し、逃亡者も出ている


税が集まらず、傭兵も雇えない


帝都に要請しても、返答はない


「……切り捨てられたのですね」


アルトの言葉に、ミヒャエルは苦笑した。


「ええ。

 “現地で対処せよ”と」


同じだ。

グラーデンと、何一つ違わない。


「なぜ、帝都ではなく、ここへ?」


アルトが尋ねる。


ミヒャエルは、少し躊躇ってから答えた。


「……帝都より、

 あなたの方が信用できる」


その一言が、重かった。


「帝都は、命令しかしない。

 だが、あなたは――

 “結果”を出している」


領主が、息を呑む。


それ視線は、もう“補佐官”を見るものではない。

統治者を見る目だ。


アルトは、UIを開く。


【領域支配】

外部領域接触を検出

・ローデン領

・状態:崩壊(74%)



(……来たか)


スキルは、既に反応している。


だが、アルトは即答しなかった。


「条件があります」


ミヒャエルが、顔を上げる。


「あなたの領地に、

 俺の管理を受け入れる覚悟はありますか」


一瞬、沈黙。


それは、支援ではない。

介入だ。


ミヒャエルは、歯を食いしばり――

そして、頷いた。


「……あります」


「領地の一部ではなく、全体です」


「構いません」


その答えに、嘘はなかった。


アルトは、ゆっくりと息を吐く。


「分かりました」


その瞬間、UIが更新される。


管理対象拡張を検討中

領域重複の可能性あり



(……まだ、完全には無理か)


だが、確実に一歩だ。


夜。


兵の一人が、ぽつりと呟いた。


「……気づいてますか?」


「何を?」


「他の領地の人たち、

 もう帝都を見てません」


視線の先にあるのは、

領主館の灯り。


そして、その奥にいる男。


アルト・レインハルト。


辺境の“管理補佐”だったはずの存在。


今や、

境界線の外から、助けを求められる者。


帝都は、まだ知らない。


自分たちが遠ざけた空白が、

辺境同士を繋ぐ“核”になり始めていることを。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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