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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第76話 世界の心臓

封印層・第三階層入口。


巨大な縦穴の縁に、アルトたちは立っていた。


下から吹き上げる熱と振動。


ドクン。


ドクン。


鼓動は、もはや音ではなく圧力だった。


世界そのものが呼吸している。


ラグスが低く言う。


「……これが世界の中心か」


カルディアが静かに答える。


「外殻です」


「本体ではありません」


ラグスが苦笑する。


「まだ前菜かよ」



アルトは縦穴を見下ろした。


赤い光。


巨大な結晶層。


そしてその奥で、何かが脈打っている。


視界の端でUIが点灯する。


【世界核外殻】


【深層接続領域】


【干渉可能率:上昇】


アルトは小さく呟く。


「……近い」



ゼノスが静かに言った。


「あなたは感じている」


アルトは振り向かない。


ゼノスは続ける。


「世界核は生命ではありません」


一拍。


「だが、意思に似たものはある」


カルディアが眉をひそめる。


「意思?」


ゼノスは頷く。


「接続を求める」


アルカが呟く。


「……だから深度が上がる」


ゼノスは静かに笑う。


「そうです」



ミヒャエルが問う。


「なぜ今になって」


ゼノスは縦穴の奥を見た。


「封印が長すぎた」


ラグスが吐き捨てる。


「それで文明が保たれた」


ゼノスは否定しない。


「ええ」


一拍。


「だが進化は止められない」


沈黙。



アルトが言う。


「進化ではない」


ゼノスが目を細める。


「では?」


アルトは静かに答えた。


「暴走だ」


ラグスが笑う。


「その通りだ」


ゼノスは首を傾げる。


「恐怖の言葉ですね」


アルトは言う。


「個体が消えるなら文明は消える」


ゼノスは少し考えた。


そして言った。


「文明とは何ですか」


沈黙。


アルカが小さく呟く。


「……哲学ですね」



ドクン。


第三階層の空間が大きく揺れた。


アルカが叫ぶ。


「振動急上昇!」


カルディアが装置を見る。


「外殻が開きます!」


縦穴の下。


巨大な結晶層が割れる。


赤い光が吹き出した。


世界核の外殻。


ついに露出した。



全員が息を呑む。


そこには巨大な球体があった。


直径数キロ。


無数の光の線が流れている。


星のような結晶。


ドクン。


ドクン。


世界の心臓。


ラグスが呟く。


「……でけぇ」


アルカは言葉を失っている。


カルディアは静かに言った。


「世界核外殻」


ゼノスは微笑む。


「美しいでしょう」



アルトは一歩前に出る。


その瞬間。


世界核が強く脈打った。


ドクン!!!


視界の端のUIが激しく光る。


【深層接続率:急上昇】


【世界核共鳴】


アルトは思わず膝をつく。


世界が流れ込んでくる。


海。


山。


都市。


生命。


無数の意識。


ラグスが叫ぶ。


「アルト!」


カルディアが言う。


「共鳴です!」


ゼノスは静かに見ている。



アルトの視界。


世界核の内部。


光の海。


そこに無数の影。


アルトは理解した。


「……人間」


ゼノスの声が響く。


「三百年前の接続者たち」


沈黙。


アルトは言った。


「同化したのか」


ゼノスは答える。


「そう呼ぶ人もいる」


アルトはゆっくり立ち上がる。


「違う」


一拍。


「取り込まれた」


ゼノスの瞳が細くなる。



ドクン。


世界核がさらに強く脈打つ。


アルカが叫ぶ。


「外殻振動限界!」


カルディアが言う。


「このままでは」


ミヒャエルが続ける。


「封印が崩れます」


沈黙。


ゼノスが静かに言った。


「それが進化です」


アルトは答える。


「違う」


ゼノスを見る。


「設計ミスだ」


世界が静まった。


一瞬。


ゼノスが小さく笑う。


「面白い」


一歩下がる。


「ならば見せてください」


世界核を指す。


「あなたの設計を」


ドクン。


世界の鼓動が響く。


文明の未来は、


今この場所で決まろうとしていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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