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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第73話 封印の記録

封印通路・第一階層。


原初接続者の姿が消えた後も、空気は張り詰めたままだった。


通路の奥からは、変わらず世界核の鼓動が伝わってくる。


ドクン。


ドクン。


ラグスが低く言う。


「……逃げたわけじゃねぇな」


カルディアが答える。


「完全接続者は、空間に重なります」


「消えたのではありません」


アルカが震える声で言う。


「世界核と接続しているなら……」


「この通路全体を見ている可能性があります」


沈黙。


アルトは通路の奥を見つめた。


「構わない」


一歩進む。


「進む」



第一階層は、想像以上に広かった。


天井は高く、黒い結晶柱が規則的に並んでいる。


壁には古代の導線が走り、水晶が淡く光っている。


アルカが呟く。


「まるで都市……」


カルディアが頷く。


「封印層の管理区画です」


ラグスが周囲を見回す。


「三百年前の設備がまだ動いてるのか」


カルディアは壁の水晶を触る。


「古代文明は、我々よりはるかに高度でした」


ミヒャエルが言う。


「だから三百年も封印を維持できた」


カルディアは静かに言う。


「ええ」


一拍。


「ですが、維持は限界に近い」



通路の奥に、大きな扉が現れた。


半円形の黒い扉。


その中央に巨大な水晶。


アルカが息を呑む。


「……封印文字」


カルディアが近づく。


「記録庫です」


ラグスが眉を上げる。


「記録?」


「封印管理のログ」


カルディアは水晶に手を置く。


だが光らない。


アルトを見る。


「あなたの深度が必要です」



アルトが水晶に触れる。


視界の端でUIが起動する。


【古代記録装置 検出】


【アクセス権限:深度接続】


アルトは接続を許可する。


その瞬間。


水晶が強く光る。


ゴォォ……


扉がゆっくりと開いた。


内部は巨大な円形空間だった。


壁一面に、水晶記録装置。


中央には巨大な柱。


アルカが呟く。


「……封印ログ」


カルディアが頷く。


「三百年前の記録が残っています」



アルカが記録を起動する。


水晶に映像が浮かぶ。


古代都市。


巨大な水晶塔。


そして空に広がる歪み。


アルカの声が震える。


「……深度暴走」


カルディアが言う。


「当時の世界です」



映像の中。


人々が浮かび上がっている。


空間が歪み、建物が崩れる。


一人の研究者が言う。


「接続が強すぎる!」


別の声。


「世界核が活性化している!」


ラグスが呟く。


「今と同じか」


カルディアが頷く。


「はい」



映像が変わる。


研究会議。


古代の学者たちが議論している。


一人が言う。


「進化を受け入れるべきだ」


別の者が叫ぶ。


「文明が崩壊する!」


アルカが呟く。


「……分岐」


カルディアが言う。


「当時も同じ議論でした」



最後の映像。


巨大な水晶装置。


世界中の塔が接続される。


研究者が宣言する。


「世界核振動を抑制する」


「深度上限を固定する」


ラグスが低く言う。


「抑制装置」


カルディアが頷く。


「現在の測定制度の原型です」



映像が途切れる。


最後に残った記録。


研究者の声。


「我々は進化を止める」


一拍。


「人類を守るために」


沈黙。


アルカが呟く。


「……歴史の決断」



その時。


ドクン。


世界核の鼓動が強くなる。


記録装置の水晶が揺れる。


ミヒャエルが叫ぶ。


「振動強度上昇!」


カルディアが低く言う。


「封印層に負荷がかかっています」


アルトは記録柱を見る。


「三百年前は」


「ここで封印を完成させた」


カルディアが答える。


「はい」


ラグスが笑う。


「今はどうする」


アルトは静かに言った。


「同じことはしない」


沈黙。


カルディアが問う。


「封印を壊しますか」


アルトは首を振る。


「違う」


一拍。


「再設計する」



その瞬間。


記録装置の一つが突然強く光った。


アルカが驚く。


「新しい記録?」


ミヒャエルが画面を見る。


「違う」


一拍。


「現在ログ」


沈黙。


画面に浮かんだ文字。


【封印層第二階層】


【原初接続者 活動確認】


ラグスが剣を抜く。


「……待ち伏せか」


カルディアが低く言う。


「第二階層に」


アルトは通路の奥を見た。


鼓動が強くなる。


ドクン。


ドクン。


世界核が確実に目覚めつつある。


アルトは言った。


「行く」


ラグスが笑う。


「世界の心臓まで、だな」


カルディアが頷く。


「はい」


封印層探索は、


さらに深い階層へ進む。


そしてその先には――


世界の心臓が待っている。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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