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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第70話 覚醒の兆し

アストレア地下観測層。


観測室の中央水晶は、これまでにない強さで脈動していた。


ドクン。


ドクン。


鼓動はもう錯覚ではない。


観測室の空気すら、その振動に共鳴している。


観測員が叫ぶ。


「深層振動、再上昇!」


「封印層安定度、さらに低下!」


アルカが画面を見つめたまま言う。


「……振動源、拡大しています」


ミヒャエルが問う。


「拡大?」


「はい」


アルカの声が低くなる。


「一点ではありません」


「世界核全体が活性化しています」


沈黙。



ラグスが腕を組む。


「つまり」


「封印が一部じゃなく、全部弱まってる?」


カルディアは頷く。


「可能性は高いです」


アルトが問う。


「原因は」


カルディアは静かに答える。


「世界核の覚醒」


観測室が凍りつく。



アルカが記録をめくる。


「三百年前の終盤記録に似ています」


「振動加速」


「封印層不安定」


ミヒャエルが言う。


「その後どうなった」


アルカはゆっくり答える。


「封印が完成しました」


ラグスが笑う。


「つまりギリギリだったってわけだ」


カルディアが補足する。


「はい」


「封印は世界核の完全覚醒直前に完成しました」



その時。


ドクン。


今までで一番大きな振動。


観測室の床が揺れる。


観測員が叫ぶ。


「深層振動レベル更新!」


「危険域接近!」


アルカが画面を見つめる。


「……これは」


「完全に加速しています」


カルディアが低く言う。


「覚醒の前兆です」



アルトは水晶に触れる。


その瞬間。


視界が揺れた。


暗い空間。


果てしない深さ。


その中心で。


巨大な光がゆっくり脈打っている。


ドクン。


ドクン。


まるで星の心臓。


アルトは思わず手を離した。


視界が元に戻る。


ラグスが問う。


「何が見えた」


アルトは静かに答える。


「……心臓だ」


沈黙。


カルディアが言う。


「世界核ですね」



アルカが震える声で言う。


「つまり」


「今の深度上昇は」


カルディアが答える。


「覚醒の波」


ミヒャエルが呟く。


「世界が目覚めている」



アルトは観測図を見る。


深層振動の波形。


世界規模で広がっている。


「止められるのか」


カルディアは少し考える。


「止めることは」


一拍。


「できないかもしれません」


ラグスが眉をひそめる。


「じゃあどうする」


カルディアはアルトを見る。


「再設計するしかありません」


沈黙。


アルトはゆっくり頷く。


「壊すのではなく」


「作り直す」



その時。


観測員が叫ぶ。


「新しい反応!」


アルカが画面を見る。


「……何?」


「個体深度」


ミヒャエルが問う。


「誰だ」


観測員が答える。


「北方同盟」


「イグナート」


ラグスが笑う。


「またあいつか」


アルカが首を振る。


「違います」


「もう一つ」


沈黙。


「未知の深度反応」


カルディアの目が細くなる。


「……来ましたね」


アルトが問う。


「何が」


カルディアは静かに言う。


「原初接続者」


観測室の空気が凍る。



ドクン。


ドクン。


世界の鼓動がさらに強くなる。


深層振動は止まらない。


封印は揺れている。


三百年前。


人類は進化を止めた。


だが今。


その進化が、再び始まろうとしている。


アルトは静かに言った。


「地下に行く」


カルディアが頷く。


「はい」


ラグスが笑う。


「世界の心臓探検だな」


アルカが呟く。


「歴史の転換点です」


ドクン。


世界が脈打つ。


物語はついに、


文明の深層へ踏み込む。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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