表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 山奥たける


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/27

第7話 刃の向き

グラーデン領・南の平原。


朝霧の中、兵たちは整列していた。

――いや、整列している“つもり”だった。


隊列は歪み、間隔はバラバラ。

武具の手入れも不十分。

号令がかかっても、反応速度にばらつきがある。


「……ひでぇな」


ぼそりと呟いたのは、古参兵の一人だった。


「数はいる。

 だが、軍じゃない」


その評価は、正しかった。


アルト・レインハルトは、少し離れた場所から兵たちを眺めていた。


視界には、いつものUIが重なっている。


【領域支配:軍制分析】

・総兵力:412

・即応可能:38

・実戦耐性:低

・損耗予測(対魔獣):62%



「……これは」


想定より、悪い。


(数で安心して、

 構造を作っていない)


アルトは、静かに息を吐いた。


「全員、解散」


突然の命令に、兵たちがざわつく。


「え?」

「解散って……訓練は?」


「聞こえなかったか」


アルトの声は低く、だが通った。


「今の訓練は、意味がない」


ざわめきが、一段階大きくなる。


「な、何言ってるんだ!」

「俺たちは、ずっとこのやり方で――」


アルトは、視線を一人の兵に向けた。


「君。名前は?」


「……ラグスです」


「ラグス。

 魔獣と、何度戦った?」


「三回……です」


「生き残った理由は?」


ラグスは、言葉に詰まった。


「……運、ですかね」


「違う」


アルトは即答した。


「配置だ」


ざわ、と空気が揺れる。


アルトは、地面に一本の棒で線を引いた。


「この領地の軍は、

 “全員が前に出る”前提で組まれている」


棒で、乱雑な円を描く。


「だから、強そうに見える。

 だが――」


次に、線を整理して描き直す。


「誰も、守っていない」


沈黙。


「魔獣は、

 強い相手より、

 隙のある相手を狙う」


アルトは、兵たちを見る。


「今のお前たちは、

 全員が“隙”だ」


誰も、反論できなかった。


「再編する」


その一言で、空気が変わった。


【軍制最適化 開始】

・部隊再編

・役割固定

・戦線分割



兵たちの視界には、何も見えない。

だが、体が勝手に動く感覚があった。


「……あれ?」

「立ち位置が、分かる……?」


自然と、前列・中列・後列が形成される。


前列:盾役

中列:攻撃

後列:支援・回復・索敵


誰も指示していないのに、

自分の立つべき場所が分かる。


「これが……軍?」


ラグスが、息を呑んだ。


その瞬間、警報が鳴った。


「魔獣だ!

 北の森から、群れ!」


最悪のタイミング。

――だが。


アルトは、少しだけ口角を上げた。


「実戦だ」


森の縁から現れたのは、

牙を剥いた魔獣の群れ。


以前なら、


突撃


混乱


死傷


が確定していた。


だが、今回は違う。


「前列、止めろ!」


誰が叫んだわけでもない。

だが、盾が揃う。


魔獣がぶつかり、

勢いが削がれる。


「中列、叩け!」


刃と魔法が、

最も効果的な角度で叩き込まれる。


後列では、

回復と補助が、必要な場所にだけ飛ぶ。


「……減ってる」

「押し返してる……!」


魔獣の群れは、

十分も経たずに撤退した。


死傷者――ゼロ。


静寂。


兵たちは、自分の手を見下ろした。


「……生きてる」

「俺たち……勝った?」


アルトは、UIを見る。


・損耗率:0%

・戦闘効率:最大



「これが、軍だ」


淡々とした声。


「勇気でも、根性でもない。

 配置と役割だ」


ラグスが、震える声で言った。


「……俺たち、強いんですか?」


アルトは、首を横に振る。


「まだだ」


だが、続ける。


「ただし――

 正しく使えば、負けない」


その言葉は、

兵たちの背筋を、まっすぐにした。


夜。


領主が、信じられないものを見るように言った。


「……軍が、

 “軍”になっている……」


アルトは、淡々と答える。


「今までが、

 ただの“武装した民”だっただけです」


視界の端に、通知が浮かぶ。


【領域支配】

軍制安定化 完了

次の最適化候補:

・指揮官育成

・外部防衛線



(次は……)


アルトは、遠く帝都の方向を見る。


この軍は、

もう“辺境の兵”ではない。


そして帝都は、

この変化を、必ず恐れる。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ