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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第69話 抑制の真実

アストレア地下観測層。


世界核の存在が明らかになってから、観測室の空気は明らかに変わっていた。


誰もが理解している。


これは制度の問題ではない。


世界そのものの問題だ。


ドクン。


ドクン。


地下深層から伝わる振動が、確かに存在している。


観測水晶の光が、その周期に合わせてわずかに揺れる。


アルカが計測板を見つめながら言う。


「振動周期……さらに短くなっています」


ミヒャエルが呟く。


「加速しているのか」


カルディアは静かに頷いた。


「はい」


「封印層が薄くなっています」


ラグスが腕を組む。


「三百年前はどうだった」


カルディアは少し考え、答える。


「記録によれば」


「最初は同じでした」


「振動の加速」


アルカが言う。


「つまり」


「当時と同じ段階に来ている?」


カルディアは否定も肯定もしない。


「可能性は高いです」


沈黙。



アルトが問う。


「三百年前、人類はどうした」


カルディアはゆっくりと古い金属板を一枚取り出す。


そこには、封印設計の記録が刻まれていた。


「当時の文明は二つの選択肢を議論しました」


アルカが興味深そうに身を乗り出す。


「二つ?」


カルディアは頷く。


「進化を受け入れるか」


「抑制するか」


ラグスが低く言う。


「結果は分かってる」


カルディアは淡々と言う。


「抑制が選ばれました」



アルカが板を読み取る。


「理由は……」


彼女の声が止まる。


「どうした」


ミヒャエルが問う。


アルカはゆっくりと言った。


「“個の崩壊”」


沈黙。


カルディアが補足する。


「深度が上昇し続けると」


「人は世界核と強く接続します」


ラグスが言う。


「それが何だ」


カルディアは静かに答える。


「接続が強すぎると」


一拍。


「人と世界の境界が消える」


観測室の空気が凍る。



アルトが言う。


「同化か」


カルディアは頷く。


「はい」


「深度過剰者の一部は」


「世界の一部になりました」


ミヒャエルが息を呑む。


「消えたのではなく」


「吸収された?」


カルディアは肯定する。


「世界核へ」



ラグスが呟く。


「つまり三百年前の連中は」


「人類を守るために抑え込んだ」


アルカが言う。


「進化を止めた」


カルディアが静かに言う。


「そうです」


「抑制装置は」


一拍。


「人類を人類のまま保つ装置」


沈黙。



その時。


ドクン。


強い振動。


観測室の床が大きく揺れた。


観測員が叫ぶ。


「深層振動急上昇!」


「振幅三倍!」


アルカが画面を見る。


「……あり得ない」


カルディアが低く言う。


「世界核が強く脈打っています」



アルトは水晶に手をかざす。


視界の端でUIが強く光る。


【深層接続反応】


【対象:世界核】


【接続共鳴率:上昇】


(共鳴している)


アルトはゆっくり手を引いた。


ラグスが問う。


「どうだ」


アルトは答える。


「……遠くない」


「何が」


「世界核」


沈黙。



カルディアが言う。


「封印層は複数あります」


「最上層は水晶網」


「その下に古代封印」


「さらに深くに」


一拍。


「世界核」


アルカが問う。


「距離は」


カルディアは少し迷う。


「正確には分かりません」


「ただし」


観測図を指す。


「振動波形から推定すると」


「ここから真下」


「数十キロ」


ラグスが吹き出す。


「……地底探検か」


カルディアは真顔のまま言う。


「違います」


「封印層探索です」



アルトが言う。


「入口はあるのか」


カルディアは頷く。


「古代文明は整備していました」


「封印点検用の通路」


ミヒャエルが驚く。


「そんなものが」


カルディアは床を指す。


「この都市の地下にあります」


ラグスが笑う。


「つまり」


「世界会議の真下に」


アルカが言う。


「封印の入口」


ドクン。


鼓動がさらに強くなる。


観測水晶が赤く光る。


【深層振動レベル:上昇】


【封印層安定度:低下】


アルトは静かに言った。


「時間がない」


カルディアが頷く。


「はい」


沈黙。


そしてアルトが言う。


「地下に行く」


ラグスが笑う。


「決まりだな」


アルカは小さく息を吐く。


「……歴史が動きますね」


カルディアは静かに言った。


「もう動いています」


ドクン。


世界の鼓動が、はっきりと響いた。


三百年前。


人類は進化を止めた。


今。


その封印が、再び揺れている。


物語はついに、


世界の最深部へと向かう。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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