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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第68話 世界核

アストレア地下観測層。


観測室の中央にある主水晶が、先ほどよりも強い光を放っていた。


ドクン。


ドクン。


鼓動は、確かに存在している。


観測員たちが緊張した声を上げる。


「振動周期、さらに短縮しています」


「深層波形、明確化」


アルカが静かに呟いた。


「……もう隠れていません」


カルディアは頷く。


「はい」


「世界核が、はっきりと活動を始めています」



ラグスが机を叩く。


「待て」


「世界核ってのは、つまり何だ?」


カルディアは少しだけ考え、言葉を選んだ。


「簡単に言うなら」


一拍。


「この世界の“接続点”です」


ミヒャエルが眉をひそめる。


「接続?」


アルトが静かに言う。


「世界と人を繋ぐものか」


カルディアはアルトを見る。


「その通りです」



カルディアは古い設計図を広げる。


そこには三層構造が描かれていた。


第一層

地表文明


第二層

水晶網


第三層

巨大な球体構造


カルディアが指差す。


「ここ」


「世界核」


アルカが息を呑む。


「……巨大すぎる」


カルディアは頷く。


「直径は数百キロと推定されています」


ラグスが思わず吹き出す。


「山どころじゃねぇ」



カルディアは説明を続ける。


「世界核は“接続媒体”です」


「世界と生命を繋ぐ」


アルカが言う。


「つまり」


「深度とは」


カルディアが答える。


「世界核への接続強度」


沈黙。



アルトが言う。


「だから人類全体で上昇している」


カルディアは頷く。


「はい」


「世界核の振動が強くなるほど」


「接続も強くなる」


ミヒャエルが呟く。


「じゃあ」


「抑制装置は」


カルディアは淡々と言う。


「振動減衰装置です」



ラグスが頭を抱える。


「つまり」


「世界が強く鼓動すると」


アルカが続ける。


「人の深度も上がる」


カルディアが頷く。


「その通り」


沈黙。



その時。


主水晶が強く光る。


ドクン。


今までより重い鼓動。


観測員が叫ぶ。


「深層振動レベル上昇!」


「下層干渉域、さらに拡大!」


アルトは水晶を見る。


視界の端でUIが激しく更新される。


【深層接続検出】


【対象:世界核】


【接続可能性:確認】


(……繋がる)


アルトの呼吸がわずかに変わる。



カルディアが気づいた。


「あなた」


アルトを見る。


「感じていますね」


アルトは否定しない。


「鼓動が聞こえる」


ラグスが顔をしかめる。


「俺には聞こえねぇ」


カルディアは静かに言う。


「深度が高いほど聞こえます」


アルカが震える声で言う。


「……共鳴」



ドクン。


ドクン。


今度は観測室の床が微かに揺れた。


ミヒャエルが叫ぶ。


「振動強度更新!」


アルカが画面を見つめる。


「……こんな数値」


「あり得ない」


カルディアが低く言う。


「封印が弱まっています」



ラグスが問う。


「封印が壊れたらどうなる」


カルディアは一瞬沈黙した。


そして言う。


「三百年前と同じことが起きます」


アルカが息を呑む。


「世界暴走」


カルディアは首を振る。


「いいえ」


一拍。


「もっと大きい」


沈黙。


「世界が“接続”されます」


ラグスが眉をひそめる。


「何に」


カルディアは答えない。


代わりに、ゆっくりと言った。


「それを知るために」


視線が床に向く。


「地下に行く必要があります」



観測室の空気が変わる。


アルトはすでに決めていた。


「行く」


アルカが言う。


「深度暴走の中心ですよ」


「分かっている」


カルディアが静かに言う。


「入口は一つ」


観測室の床を指す。


「この真下」


ラグスが笑う。


「つまり」


「世界の心臓の真上に立ってるってわけか」


ドクン。


鼓動がさらに強くなる。


視界の端のUIが赤く点灯する。


【深層接続領域拡大】


【世界核:覚醒兆候】


世界は今。


確実に目覚め始めていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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