表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/77

第63話 暴走の選択

北方同盟・氷原。


異常は沈静化した――はずだった。


だが、静まり返った氷原の中心で、イグナートはまだ立っている。


「……抑えられてる」


彼はゆっくりと拳を握る。


「でも、完全じゃない」


空気が歪む。


地面に走る亀裂が、再び微かに光る。



アストレア。


観測盤が警告を発する。


【深度振動 再上昇】

【発生源:北方同盟】


アルカが息を呑む。


「自己制御に移行していません」


ハインリヒが言う。


「外部出力は限界だ」


セレスティアがアルトを見る。


「今度は?」


アルトは短く答える。


「直接行く」



氷原。


アルトが一人で現れる。


護衛はない。


イグナートが振り向く。


「また抑えに来たのか」


「違う」


アルトは静かに言う。


「選ばせに来た」


沈黙。


「何を」


「暴走するか」

「制御するか」


イグナートが笑う。


「簡単に言うな」


空間がわずかに歪む。



アルトは近づく。


視界の端でUIが淡く光る。


【領域支配】

個体深度:過剰

自律制御可能性:38%


「お前は抑制に反発した」


「当然だ」


「だが、破壊したくはない」


イグナートの瞳が揺れる。


「……分かるのか」


「分かる」


アルトは迷いなく答える。


「私は抑制を壊さなかった」


「じゃあ何をした」


「境界を広げた」



イグナートが叫ぶ。


「俺は檻の外に出たい!」


空間が一瞬、大きく歪む。


氷柱が浮く。


アルトは動かない。


「外は崖だ」


「……」


「崖を橋にする」


沈黙。



アルトは手を差し出す。


「共同干渉ではない」


「?」


「自律制御だ」


イグナートが眉をひそめる。


「どうやって」


「深度は力じゃない」


一拍。


「接続だ」


「またそれか」


「世界と繋がっている」


アルトは続ける。


「だが、世界は敵ではない」


氷原がわずかに静まる。



アストレア。


観測盤の数値が微妙に安定する。


アルカが呟く。


「干渉していない」


セレスティアが息を詰める。


「彼自身が……」


ハインリヒが低く言う。


「選んでいる」



氷原。


イグナートが目を閉じる。


「……怖い」


「怖くていい」


アルトは答える。


「恐怖を絶対にするな」


空間の歪みが、ゆっくりと収束する。


完全ではない。

だが、自律的だ。


イグナートが膝をつく。


「俺は……壊れないか」


「壊れない」


アルトは言う。


「だが、責任はある」


「責任?」


「深度は進化だ」

「だが進化は孤独ではない」



氷原の歪みが消える。


観測盤が安定を示す。


【深度異常:収束】

【自律制御確認】


アストレアで歓声が上がる。


アルカが震える声で言う。


「初の自律安定例」


ハインリヒが目を閉じる。


「抑制以外の道か」



氷原。


イグナートが立ち上がる。


「……俺はどうなる」


「観察対象だ」


アルトは淡々と答える。


「だが、排除はしない」


イグナートが小さく笑う。


「面倒な男だな」


「そうかもしれない」



アストレアへ戻る。


セレスティアが言う。


「あなたは檻を壊さなかった」


「壊さない」


「でも鍵を渡した」


アルトは否定しない。



会議室。


アルカが記録をまとめる。


「抑制から自律へ」

「制度は補助装置へ移行可能」


北方同盟代表が低く言う。


「ならば制度は不要か」


アルトは即答する。


「不要ではない」


一拍。


「主役ではなくなる」


沈黙。



夜。


アルトは空を見上げる。


星が以前よりはっきりしている。


視界の端でUIが更新される。


【領域支配】

個体自律制御:成功例1

進化構造:実装可能性上昇


抑制だけの時代は終わりつつある。


世界は崩れていない。


だが、確実に変わっている。


制度は安全弁だった。


これからは――


進化の補助輪になる。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ