表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/77

第62話 安全弁の限界

北方同盟・氷原地帯。


白い大地が波打っていた。


凍りついた湖面が浮き、空中で砕け、再び落ちる。


重力が一定ではない。


中心に立つのはイグナート。


以前の暴走とは違う。


彼は叫んでいない。


ただ、立っている。


「……分かる」


低く呟く。


「抑えられてる」


空間が軋む。


「でも、押し返せる」


氷原がさらに歪む。



アストレア。


緊急報が地下資料室に届く。


「北方同盟境界で大規模深度異常」

「半径二キロに拡大」


セレスティアが立ち上がる。


「規模が違う」


ハインリヒが低く言う。


「抑制網が飽和している」


アルカが冷静に分析する。


「深度上昇速度が、想定値を超えています」


ラグスが歯を食いしばる。


「抑制装置が追いついてねぇ」



アルトは目を閉じる。


視界の端にUIが浮かぶ。


【領域支配】

世界水晶網:負荷94%

局所安定化:単独不可

共同出力:必要


「間に合わない」


セレスティアが問う。


「どうする」


「安全弁を開く」


沈黙。


ハインリヒが即座に理解する。


「局所的閾値緩和か」


「全体を守るために、局所を許容する」



北方同盟。


イグナートの周囲に氷柱が浮遊する。


「俺は危険だ」


だが、その声は震えていない。


「でも、壊したくない」


空が裂けかける。


その瞬間。


三つの光が走る。


帝国水晶網。

王国水晶網。

商業連合水晶網。


共同出力。


空間が一瞬、安定する。



アルトが干渉する。


完全制圧ではない。


緩和。


閾値を“少し”緩める。


イグナートの呼吸が整う。


「……楽だ」


彼は呟く。


氷原の歪みが収束する。


完全ではない。

だが、崩壊は回避。



アストレア地下。


アルカが震える声で言う。


「今のは危険です」


「分かっている」


アルトは静かに答える。


「だが閉じれば爆発した」


セレスティアが言う。


「抑制だけでは限界」


ハインリヒも頷く。


「制度は安全弁だ」

「だが弁は永遠ではない」



会議室へ移動。


各国代表が集まる。


北方同盟代表が低く言う。


「我々の地を実験場にするな」


アルトは視線を逸らさない。


「実験ではない」


「なら何だ」


「移行だ」


沈黙。


「抑制から、調整へ」



アルカが補足する。


「現在の制度は固定上限型」

「必要なのは可変上限型」


商業連合代表が眉をひそめる。


「分かりやすく言え」


アルカは簡潔に言う。


「深度の成長を前提とした設計に変える」


ざわめき。



セレスティアが立ち上がる。


「王国は段階的移行に賛成する」


ハインリヒも続く。


「帝国も同意する」


北方同盟代表が問う。


「失敗すれば?」


アルトが答える。


「世界が崩れる」


静寂。


「だが、停滞しても崩れる」



夜。


アルトは一人、アストレアの塔に立つ。


視界の端でUIが更新される。


【領域支配】

抑制装置:限界接近

進化構造:設計可能


(進化か、崩壊か)


背後からセレスティアの声。


「怖い?」


「怖い」


即答。


「でも止めない」


「止められない」


アルトは空を見る。


星がわずかに揺れている。


三百年前。

抑制は世界を救った。


だが今。


世界は変わり始めている。


制度もまた――


進化を迫られていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ