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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第60話 世界会議提案

中立都市アストレア。


帝国圏と王国圏の中間に位置する交易都市。

古くから戦を避けるために「中立」を貫いてきた場所だ。


その中央議事堂に、各国の旗が並ぶ。


帝国。

ヴァルメリア王国。

商業連合都市群。

聖教国家ルーメン。

北方遊牧同盟。


そして――


三領代表として、アルト・レインハルト。



開会前。


控室でセレスティアが言う。


「あなたは国家代表ではない」


「知っている」


「でも、実質的な中心よ」


アルトは否定も肯定もしない。


「私は更新を提案しただけだ」


「その“だけ”が世界を揺らした」


セレスティアは小さく笑う。


「自覚しなさい」



議事堂。


ハインリヒが開会を宣言する。


「本会議の目的は一つ」


静寂が広がる。


「測定制度の位置づけを再定義すること」


商業連合代表が即座に口を開く。


「交易基準の再安定化を要求する」


聖教国家代表が続く。


「制度は信仰の代替ではない」


北方同盟代表は腕を組む。


「帝国独占を終わらせろ」


空気が張り詰める。



ハインリヒはアルトを見る。


「閾値更新の当事者として、意見を」


アルトは中央に立つ。


視線が集中する。


「制度は壊れていない」


一拍。


「揺れただけだ」


商業連合代表が言う。


「揺れで経済は止まる」


「止まったのは、数値依存だ」


ざわめき。



アルトは続ける。


「測定は枠だ」

「枠が絶対であるかのように扱った結果、揺れが恐怖になった」


聖教代表が低く言う。


「では、どうする」


「共有する」


北方同盟代表が鼻で笑う。


「帝国が主導する“共有”か?」


「違う」


アルトは即答する。


「管理を分散する」


沈黙。



ハインリヒが問う。


「具体案は」


アルトは三つ指を立てる。


「第一、閾値調整は単独で行わない」

「第二、各国に深度観測権を与える」

「第三、測定不能を排除理由としないことを世界基準とする」


議場がざわめく。


軍部代表が小声で言う。


「権限を分けるのか」


ハインリヒは静かに言う。


「独占は対立を生む」



セレスティアが立ち上がる。


「王国は共同管理に賛成する」


商業連合代表が続く。


「交易基準の透明化を条件に賛成」


聖教国家代表は慎重だ。


「信仰領域への干渉がないことを条件に」


北方同盟代表は腕を組んだままだ。


「分散管理は弱体化につながる」


アルトが視線を向ける。


「弱体化ではない」


一拍。


「暴走の予防だ」



その瞬間。


議事堂の水晶が揺れる。


【深度異常検出】

【発生源:商業連合港湾都市】


ざわめきが広がる。


「またか!」


商業連合代表が立ち上がる。


「港が浮いている!」


空間歪曲の映像が投影される。


海面がねじれ、船が傾く。


ハインリヒが低く言う。


「臨界だ」


アルトは目を閉じる。


視界の端で、UIが強く光る。


【領域支配】

単独制御:成功率低下

共同干渉:必要


(ここで示す)



アルトは言う。


「協力を」


セレスティアが即座に頷く。


「王国水晶網、接続」


ハインリヒも命じる。


「帝国水晶網、出力制限解除」


商業連合代表が叫ぶ。


「我が国も接続!」


三つの水晶網が共鳴する。


光が重なる。


空間歪曲が徐々に収束する。


完全ではない。

だが、沈静化。


静寂。



北方同盟代表が低く言う。


「……単独では無理だったな」


アルトは頷く。


「制度は共有基盤だ」


ハインリヒが宣言する。


「世界共同管理体制を暫定導入する」


ざわめき。


だが、反対は少ない。


皆、今見た。


単独では限界があると。



会議後。


セレスティアが言う。


「あなたは王にならないのね」


「ならない」


「でも中心にいる」


アルトは海を見つめる。


「中心ではない」


一拍。


「境界だ」


風が吹く。


世界は、帝国の手を離れつつある。


制度は、共有された。


だが――


共有は、争いの種にもなる。


視界の端で、UIが更新される。


【領域支配】

世界共同管理:暫定成立

安定度:低〜中


物語は次の段階へ進む。


制度の再定義から、


世界構造の解明へ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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