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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第56話 波及する秩序

帝都の空は、妙に澄んでいた。


嵐の前ほど、空は静かになる。


中央測定局の観測盤に、新たな波形が映し出される。


【外部水晶網 同期揺らぎ検出】

【発生源:ヴァルメリア王国】


測定局長が顔を上げる。


「……国外です」


ハインリヒは即座に反応した。


「詳細を」


「王国騎士団内で“成長途上判定”が七件」

「王位継承候補の第一王子も再分類対象に」


室内が凍る。


「王位継承者が?」


「はい。旧基準S、現基準“再評価中”」


ハインリヒは、ゆっくりと息を吐いた。


「来たな」



ヴァルメリア王国・王都。


巨大な測定水晶が、激しく明滅している。


王国騎士団長が怒鳴る。


「帝国は何をした!」


王女セレスティアは、静かに観測盤を見つめていた。


旧基準値と新基準値が並ぶ。


歪みは小さい。

だが、確実だ。


「……更新された」


彼女は呟く。


「帝国は制度を拡張した」


騎士団長が苛立つ。


「勝手に世界標準を変えたということか!」


セレスティアは首を振る。


「違う」


「?」


「変えられた」


沈黙。


「帝国が単独で変えられるはずがない」


彼女の瞳が鋭くなる。


「三領の男」



三領。


リアが塔の下で空を見上げる。


風が揺れる。


「……なんか、ざわざわする」


ラグスが眉をひそめる。


「気のせいだ」


だが、測定塔の水晶は微かに震えていた。


【外部同期揺らぎ検出】


アルトはそれを見る。


(広がったか)



帝都中央府。


ヴァルメリア王国から正式抗議文が届く。


――制度基準改変について説明を求める。


軍部代表が苛立つ。


「やはり外交問題だ」


測定局長も険しい顔だ。


「世界水晶網は帝国製です」

「改変責任は我々にあると見なされます」


ハインリヒは冷静だった。


「事実は?」


「閾値更新は三領起点」

「だが全水晶に同期」


「つまり」


「制度は世界共通規格」


沈黙。



会議後。


ハインリヒは独り言のように言う。


「我々は帝国制度だと思っていた」


一拍。


「違った」


窓の外を見つめる。


「世界制度だった」



ヴァルメリア王国。


セレスティアは決断する。


「準備を」


侍女が問う。


「どちらへ?」


「三領」


騎士団長が反対する。


「危険です」


「危険なのは無知よ」


彼女は言い切る。


「更新の中心に会いに行く」



三領。


アルトのもとへ、急報が届く。


「ヴァルメリア王国の外交船が接近」


ミヒャエルが報告する。


「王女セレスティア・ヴァルメリア、自ら来訪」


ラグスが苦笑する。


「世界が動き出したな」


アルトは静かに空を見る。


(来るべきものが来た)


視界の端で、UIが更新される。


【領域支配】

国際接触:開始

影響範囲:帝国圏外へ拡大



数日後。


三領の港に、白銀の船が入港する。


紋章はヴァルメリア王国。


甲板に立つ少女は、迷いなくアルトを見る。


降り立つ。


視線が交わる。


第一声は、挨拶ではなかった。


「あなたが、世界標準を揺らした人?」


アルトは淡々と答える。


「揺らしたのではない」


一拍。


「広げただけだ」


セレスティアの瞳が細まる。


「その“だけ”で、国家は崩れる」


風が吹く。


測定塔が微かに共鳴する。


世界は、三領を中心に動き始めていた。


帝国の制度は、もはや帝国のものではない。


アルトは理解していた。


境界は、国境を越えた。


物語は――


世界規模へと踏み出した。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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