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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第53話 増える余白

閾値更新から七日。


帝都測定局の観測盤には、赤い印が増えていた。


【深度不安定】

【成長途上判定】

【再分類対象】


「……四件」


測定局長が低く言う。


「一週間で四件です」


ハインリヒは、目を閉じた。


「三件から、四件」


「増加傾向です」


「違う」


ハインリヒは静かに否定する。


「可視化された」


沈黙。


「これまで存在していた」

「だが、切り捨てられていた」



地方州では混乱が起き始めていた。


「うちの息子が“成長途上”だと?」

「昇進はどうなる!」


「今までの適性は誤りだったのか?」


制度は壊れていない。


だが、揺れている。


安心が、薄くなった。



三領。


リアの周囲に、子どもたちが集まっていた。


「本当に表示出なかったの?」

「怖くなかった?」


リアは少し考えてから言う。


「怖かったよ」


「じゃあなんで残ったの?」


「……逃げたら、ずっと怖いままだから」


子どもたちは黙る。


遠くで、ラグスがその様子を見ていた。


「象徴だな」


「本人は望んでいない」


アルトは答える。


「だが、象徴になる」



帝都強化部隊。


ダルクは報告書を読み終え、机に置いた。


「増えているな」


副官が言う。


「閾値更新の影響です」


「排除命令は?」


「保留」


ダルクの目が細くなる。


「甘い」


「ですが、局長は――」


「局長ではない」


ダルクは遮る。


「ハインリヒ殿だ」


沈黙。


「……どう動きますか」


ダルクは立ち上がる。


「動かない」


副官が驚く。


「監視する」


一拍。


「更新が秩序を壊すなら、止める」

「壊さないなら、様子を見る」



三領の測定塔。


エルデンが、水晶を見上げていた。


「拡張は連鎖する」


ミヒャエルが問う。


「制御は可能ですか」


「可能だ」


エルデンは頷く。


「だが、止めることはできない」


「なぜ」


「恐怖が薄れたからだ」



夜。


アルトは一人、塔の最上階に立つ。


視界の端で、UIが更新される。


【領域支配】

深度分布:再編中

制度安定度:変動


(制度は生きている)


壊していない。


だが、固定もしていない。


背後で足音。


リアだ。


「ねえ」


「何だ」


「もし、また怖い人が来たら?」


アルトは少し考える。


「来る」


「え」


「必ず来る」


リアの顔が強張る。


「でも」


アルトは続ける。


「怖いから閉じるか」

「怖いまま広げるか」


「どっちがいいの」


「選ぶのは、お前だ」


リアは唇を噛む。


そして、ゆっくりと言った。


「……広げる」


アルトは小さく頷く。



帝都。


ハインリヒは、設計図を広げていた。


古い測定制度の原図。


そこには、小さな余白がある。


「……本来は」


彼は独り言のように言う。


「余白を残す設計だった」


測定局長が驚く。


「ではなぜ」


「戦乱の記憶が濃すぎた」


ハインリヒは目を伏せる。


「恐怖が、余白を削った」



遠く、雷が鳴る。


ダルクは空を見上げる。


「秩序は守る」


小さく呟く。


「だが、何から守る」


彼の中にも、わずかな揺れが生まれていた。



三領。


アルトは静かに言う。


「制度は、敵ではない」


ラグスが頷く。


「帝都もな」


「だが」


アルトは続ける。


「恐怖を絶対にする者は、敵になる」


視界の端で、UIが再び点灯する。


【領域支配】

社会的緊張:上昇中

対立軸:明確化


測れない者たちは、増えていく。


恐怖もまた、増える。


だが同時に――


余白も広がる。


檻は壊れていない。


しかし、その内側に、

確実に風が入り始めていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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