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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 山奥たける


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第27話 判断を渡す場所

帝都直轄地には、領主がいない。


それは制度上の欠陥ではない。

設計思想だった。


すべては帝都が判断する。

地方は、従う。


そのはずだった。


「……現地は、完全に止まっています」


ミヒャエルの報告は、重かった。


「配給の判断も、

 治安部隊の出動も、

 すべて“上に確認中”です」


「上って?」


ラグスが、苛立ちを隠さず聞く。


「……帝都です」


その場に、ため息が落ちた。


アルトは、地図を見つめていた。


直轄地の中心。

行政庁舎。


「……あそこに、人はいるか?」


「います」


ミヒャエルが答える。


「役人も、部隊長も」


「だが」


アルトが、静かに続ける。


「判断する権限は、ない」


それが、すべてだった。


アルトは、筆を取った。


新しい書面。


臨時判断権委譲規程(案)


ラグスが、目を見張る。


「……帝都の領域に?」


「違う」


アルトは、即答した。


「帝都が判断できていない場所にだ」


内容は、驚くほど単純だった。


現地で最も上位の行政官


現地部隊の指揮官


住民代表一名


この三名を、

“臨時判断会議”の構成員とする。


「決定は、多数決」


「判断の責任は、

 三名全員の連名で記録する」


ミヒャエルが、慎重に言う。


「……それは、

 帝都の許可が要る」


「要らない」


アルトは、静かに否定した。


「これは、

 帝都法を使わない」


ラグスが、眉を寄せる。


「反逆じゃないか?」


「違う」


アルトは、はっきり言う。


「帝都が判断しない以上、

 判断しない場所は生まれる」


一拍。


「それを埋めるだけだ」


視界の端で、UIが反応した。


【領域支配】

外部領域への判断補助を検出

支配権限は発生しません



(……よし)


これは、支配ではない。

設計だ。


使者が、直轄地へ向かった。


命令書ではない。

お願いでもない。


選択肢だった。


数日後。


直轄地から、初めての報告が届く。


「……臨時判断会議、開催されました」


ミヒャエルが、少し驚いた声で言う。


「内容は?」


「配給優先順位の決定。

 治安部隊の即時展開」


「結果は?」


「……暴動、沈静化傾向です」


室内が、静まる。


ラグスが、ぽつりと呟く。


「……判断しただけで、

 こんなに違うのか」


「判断できなかっただけだ」


アルトは、静かに答える。


だが、UIは冷静だった。


【注意】

当該領域は

責任境界外です



(分かっている)


失敗すれば、

責められるのは

現地の三人だ。


それでも――

彼らは、決めた。


夜。


アルトは、一人で報告書を読み返していた。


署名欄に、

三つの名前が並んでいる。


逃げていない。

責任を、引き受けている。


アルトは、小さく息を吐いた。


「……これでいい」


帝都。


報告を聞いた官僚が、顔を青くした。


「誰が、

 判断を許可した?」


「……許可は、

 出ていません」


「では、なぜ動いた!」


答えは、出なかった。


帝都は、

判断しないことを選び続けてきた。


その空白を、

辺境の設計が埋めただけだった。


視界の端で、UIが新たな表示を出す。


【領域支配】

新概念:

《判断委譲》



説明は、短い。


・支配しない

・介入しない

・判断できる場を設計する



(……ああ)


アルトは、確信する。


これが、

《領域支配》の外側だ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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