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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 山奥たける


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第26話 誰の領域でもない場所

異変は、静かに始まった。


「……直轄地から、難民が出ています」


ミヒャエルの報告は、淡々としていた。


「数は?」


「現時点で百を超えました。

 増え続けています」


地図の上で、赤い点がいくつも灯る。

帝都直轄地――

三領の外側。


「理由は?」


ラグスが、腕を組んだまま問う。


「暴動です」


ミヒャエルが答える。


「配給の遅延。

 治安部隊の出動判断が遅れ、

 小競り合いが拡大しました」


「帝都は?」


「……指示待ちです」


その一言で、

空気が重くなった。


アルトは、黙ってUIを開いた。


【領域支配】

警告:

当該地域は管理単位が未確定です

支配不可



(……完全に、外か)


今までは、

境界を広げれば届いた。


だが、ここは違う。


「助けないのか?」


ラグスが、率直に言った。


責める声ではない。

確認だ。


アルトは、すぐには答えなかった。


地図を見る。


直轄地は、

帝都の“中心”のはずだ。


だが――

責任の空白でもあった。


「助けたい」


アルトは、静かに言った。


「だが、

 俺が介入すれば――」


一拍。


「帝都は、

 永遠に判断しなくなる」


その言葉に、

ミヒャエルが目を伏せた。


難民は、増え続けた。


子供。

老人。

荷物を抱えたままの家族。


「……ここは、安全だ」


誰かが、そう言った。


三領の安定は、

すでに噂になっている。


ラグスが、低い声で言う。


「……このままだと、

 溢れます」


「分かっている」


アルトは、頷いた。


「だが、

 境界を広げるだけじゃ、

 解決しない」


夜。


アルトは、一人で地図を見ていた。


直轄地の中心部。

そこには、

領主の名も、責任者の名もない。


視界の端で、UIが淡く光る。


観測結果:

統治主体不在



(……誰の領域でもない)


それが、

最大の問題だった。


翌朝。


帝都からの連絡が入る。


「……現地は、

 調整中とのことです」


調整。


それは、

何もしないという意味だった。


アルトは、静かに言った。


「……なら、

 判断できる場所を作るしかない」


ミヒャエルが、顔を上げる。


「まさか……」


「介入しない」


アルトは、はっきりと言う。


「判断を“渡す”」


視界の端で、

UIが初めて、見慣れない警告を出した。


【領域支配】

注意:

外部領域との接続を試みています

結果は保証されません



(……危険だな)


だが、

何もしない方が、

もっと危険だった。


難民の列を、アルトは遠くから見た。


誰も、彼に助けを求めていない。


まだ――

判断する主体が、そこにないからだ。


アルトは、静かに呟いた。


「……次は、

 “責任を持てる人間”を

 見つける話だな」


帝都。


報告書を読んだ官僚が、苛立った声を上げる。


「なぜ、

 辺境が対応していない!」


別の者が、疲れたように言った。


「……対応できないんです。

 あそこは、

 誰の領域でもない」


その言葉が、

帝都の制度を

そのまま表していた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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