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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 山奥たける


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第25話 失敗を制度にする

集落の被害報告は、帝都にも届いていた。


「ほら見ろ」


鼻で笑う声がある。


「結局、完璧じゃない」


だが、アルト・レインハルトが見ていたのは、

その“笑い”ではなかった。


彼が見ていたのは、

同じ失敗が繰り返される未来だ。


領主館。


三領の代表者と幹部が集まっていた。


空気は重い。

しかし、誰も逃げない。


ミヒャエルが、静かに切り出す。


「……今回の被害は、

 “介入しなかった”ことが原因ではありません」


ラグスが、眉を寄せる。


「判断が遅れたから、だろ?」


「そうです」


ミヒャエルは頷く。


「つまり、問題は“管理”ではなく――」


視線をアルトに向ける。


「判断の仕組みです」


アルトは、黙って一枚の紙を机に置いた。


タイトルだけが書かれている。


《判断履歴規程》


ラグスが、目を見開く。


「……規程?」


「制度にする」


アルトの声は、淡々としている。


「今回の失敗を、

 “個人の反省”で終わらせない」


一拍。


「仕組みに埋め込む」


エーリヒが、慎重に尋ねる。


「……具体的には?」


アルトは、指を三本立てる。


「一つ。

 非管理領域で起きた事象は、

 必ず記録し、共有する」


「二つ。

 同種の兆候を見つけたら、

 “助けを求める基準”を明文化する」


「三つ」


ここで、少しだけ間を置く。


「失敗した判断の責任者を、隠さない」


室内が、静まり返った。


ラグスが、低い声で言う。


「……それ、

 人が逃げませんか?」


正論だった。


失敗の責任が明確になれば、

人は判断を避ける。


アルトは、首を横に振った。


「逃げる前提の制度なら、

 作らない」


そして、続ける。


「代わりに――

 責めるために使わない」


ミヒャエルが、理解したように頷く。


「……評価のためではなく、

 改善のための記録」


「そうだ」


アルトは、淡々と言う。


「責任者を晒すのは、

 吊るすためじゃない」


一拍。


「次の判断者に、同じ穴を避けさせるためだ」


エーリヒが、目を伏せたまま呟く。


「……俺なら、

 責められるのが怖い」


アルトは、即答しなかった。


そして、静かに言った。


「怖いのは、正しい」


誰もが顔を上げる。


「だから、

 怖いまま判断できる仕組みにする」


アルトは、新しい条文を示した。


判断が遅れた場合、

その理由を記録する


理由が合理的であれば、

責任追及を行わない


ただし、

同じ理由による遅延が繰り返された場合、

制度を改訂する


ラグスが、目を細める。


「……罰じゃない」


「学習だ」


アルトは、頷いた。


その瞬間。


視界の端で、UIが静かに更新される。


【領域支配】

新機能:

《自己更新》



アルトは、息を止めた。


《自己更新》

・判断履歴を蓄積し

・制度を改訂し

・次回の最適解を更新する



(……来たか)


これは、無双の強化ではない。

長編の強化だ。


数日後。


例の集落で、小さな会合が開かれた。


「次に魔獣の兆候が出たら、

 ここで“助けを求める”と決める」


決めたのは、村長でも領主でもない。

住民自身だった。


アルトは、その議事録を受け取り、

ただ頷いた。


夜。


ラグスが、ぽつりと言う。


「……強くなりましたね」


「強くなったのは、制度だ」


アルトは、静かに答える。


「俺が強くなる必要はない」


一拍。


「俺がいなくても、

 次が回るようにする」


それが、

本当の責任だった。


帝都。


報告書を読んだ官僚が、顔をしかめる。


「……失敗を記録して、

 制度を改訂している?」


「はい」


「意味が分からん」


その言葉が、

帝都の限界を示していた。


帝都は、失敗を隠す。

辺境は、失敗を使う。


深夜。


アルトは灯りの下で地図を見つめた。


視界の端には、静かなUI。


【領域支配】

統合率:86%

次段階:

・外部領域との接続



(……次は、領域の外だ)


管理できないものが、

必ず来る。


だが、今なら分かる。


「管理できないなら、

 設計すればいい」


アルトは、静かに呟いた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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