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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 山奥たける


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第17話 従属ではない協力

第三の辺境領――《ベルク領》からの使者は、昼前に到着した。


派手な随行も、威圧的な態度もない。

むしろ、その顔には疲労と覚悟が滲んでいた。


「ベルク領代官、エーリヒと申します」


深く頭を下げる。


「お願いがあります」


その言葉に、居合わせた者たちは身構えた。

だが、アルトは座ったまま、静かに促す。


「話してください」


説明は、簡潔だった。


魔獣被害が増加


物流が止まりつつある


帝都への要請は、未返答


「……隣が安定しているのを見て、

 正直、羨ましくなりました」


エーリヒは、そう言って苦笑した。


「従属するつもりはありません」


その言葉に、空気が一瞬張り詰める。


だが、アルトは頷いた。


「それでいい」


周囲が、意外そうな顔をする。


「誤解している人が多い」


アルトは、ゆっくりと言った。


「俺は、

 従わせたいわけじゃない」


エーリヒが、顔を上げる。


「なら、なぜ……?」


アルトは、地図を広げた。


三つの領地が、並んで描かれている。


「境界を越えて動いている問題は、

 一つの領地じゃ解決できない」


指で、三領をなぞる。


「だから、

 一緒に考えたい」


エーリヒは、慎重に言葉を選んだ。


「……条件は?」


「三つあります」


アルトは、指を立てる。


「一つ。

 軍事と物流の情報は、共有する」


頷き。


「二つ。

 相互防衛はするが、

 内政には干渉しない」


少し、表情が緩む。


「三つ」


ここで、アルトは少し間を置いた。


「判断を丸投げしない」


「……どういう意味です?」


「責任を、

 一緒に持つという意味です」


沈黙。


それは、支配より重い。


エーリヒは、しばらく考え込んだ。


やがて、静かに言う。


「……厳しい条件ですね」


「はい」


アルトは、否定しない。


「でも、

 “安全だけ欲しい”なら、

 ここには来ない方がいい」


エーリヒは、ゆっくりと頷いた。


「分かりました」


立ち上がり、頭を下げる。


「その条件で、協力を」


その瞬間。


アルトの視界に、UIが浮かんだ。


【領域支配】

外部領域協力を確認

統合率:69%



まだ、完全ではない。

だが、確実に近づいている。


夜。


ラグスが、ぽつりと言った。


「……従わせた方が、楽じゃないですか?」


アルトは、少し考えてから答えた。


「楽だ」


即答だった。


「でも、

 それは壊れるのも早い」


窓の外を見る。


「判断を奪えば、

 人は考えなくなる」


そして、静かに続けた。


「考えない組織は、

 必ず、次に死ぬ」


ベルク領との協力は、

すぐに形になった。


情報が、早くなる


兵の動きが、噛み合う


物資が、無理なく流れる


誰も命令していない。

だが、全体として噛み合っている。


帝都。


また一つ、報告が積まれる。


・辺境領間の情報共有を確認

・非公式連携が拡大中


官僚が、顔をしかめる。


「……連邦を作るつもりか?」


別の者が、首を振った。


「違うな」


低い声。


「作ってないのに、

 なり始めている」


その意味を、

誰も言語化できなかった。


夜。


アルトは、地図を閉じた。


三つの領地が、

一つの“問題圏”として見えている。


視界の端で、UIが告げる。


【領域支配】

協力関係の安定を確認

次の警告:

同時多発的危機の可能性



彼は、静かに呟いた。


「……次は、試されるな」


協力が、本物かどうか。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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