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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 山奥たける


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第14話 失敗する監査

帝都中央府庁・制度運用局。


ヴァルター・クロイツの報告書は、

会議卓の中央に置かれていた。


「……“違法行為なし、だが異常あり”?」


誰かが、眉をひそめる。


「監査官の文章としては、

 ずいぶん曖昧だな」


「曖昧ではありません」


別の官僚が、報告書を指で叩いた。


「裁けない、と言っている」


室内に、短い沈黙が落ちた。


ハインリヒ・フォーゲルは、

一言も発さず、文面を読み続けていた。


・税制は現地判断だが、帳簿は整合

・軍制は帝都式ではないが、被害は減少

・住民は統治に不満なし


結論:

帝都法に違反していない


「……馬鹿な」


誰かが、思わず呟く。


「そんなはずがない。

 帝都の管理を無視しているのに」


ハインリヒは、ようやく口を開いた。


「無視している、ではない」


低い声。


「利用していないだけだ」


その言葉に、空気が張り詰める。


「制度は、

 “使われなくても違法にはならない”」


ハインリヒは、ゆっくりと言った。


「我々が想定していなかっただけだ」


誰も、反論できなかった。


帝都の制度は、

「間違ったこと」を罰するためのものだ。


だが、グラーデン領は

間違っていない。


ただ、

別の答えを出しているだけだった。


「では、どうする?」


別の幹部が、苛立ちを隠さずに言う。


「監査も通じない。

 是正勧告も、事実上無視された」


ハインリヒは、机に指を組む。


「次は――

 命令だ」


その一言に、会議室の温度が下がる。


同日、グラーデン領。


アルトの元にも、

帝都の動きを知らせる報告が届いていた。


「……監査は、通った」


ラグスが言う。


「でも、

 次は強く来るだろうな」


「当然だ」


アルトは、落ち着いて答えた。


「帝都は、

 “自分たちの制度が通じない”

 という事実を、最も嫌う」


視界の端で、UIが淡く光る。


【領域支配】

外部圧力の上昇を検出

次段階に備えます



夜。


帝都から、

新たな文書が届いた。


今度は、封蝋が二重。

文面は、短い。


帝都命令


・グラーデン領軍の再編を即時停止せよ

・現地独自制度の運用を中止せよ

・三日以内に、是正状況を報告せよ


「……来たな」


ラグスが、息を呑む。


これは、

是正勧告ではない。


明確な、命令だった。


アルトは、書状を机に置き、

深く息を吐いた。


「これで、

 帝都の正攻法は出揃った」


「どうします?」


誰もが、分かっている。


次に来るのは、

拒否か、従属か。


アルトは、UIを見る。


【領域支配】

上位命令との競合:高

権能進化条件を確認中



彼は、静かに言った。


「……準備は整った」


それは、

反逆の宣言ではない。


拒否の準備だ。


帝都。


ハインリヒは、

新たな命令書に署名しながら、

胸の奥に走る違和感を無視していた。


「……これで、終わる」


そうでなければ、

自分の判断が間違いだったことになる。


だが――


正攻法が通じない相手に、

 正攻法を重ねること自体が、

 すでに敗北だった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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