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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第12話 選ばなかった道

返答期限は、三日後だった。


帝都からの通達には、そう明記されている。

だが――その三日間、アルト・レインハルトは一度も帝都のことを口にしなかった。


やっていたのは、いつも通りの仕事だ。


倉庫の統合。

兵の再配置。

ローデン領との連絡線の確認。


「……本当に、何も言わないんですね」


ラグスが、堪えきれずにそう漏らした。


「何か言えば、状況は変わるか?」


アルトは、地図から目を離さずに答える。


「……いいえ」


それが答えだった。


三日目の夜。


幹部全員が集まった。


誰もが、分かっている。

今夜、決まる。


ミヒャエルが、慎重に口を開いた。


「帝都に従えば、ローデン領は切り離されます。

 拒めば……」


言葉が、そこで止まる。


「拒めば、

 帝都は次の手を打つ」


アルトが、続きを引き取った。


「それでも、判断は変わらない」


誰も、驚かなかった。


ラグスが、まっすぐにアルトを見る。


「……もう、決めてたんですね」


「決めていたというより」


アルトは、少しだけ言葉を探す。


「選べなかった」


その言葉に、空気が張り詰める。


「帝都の命令は、正しい」


アルトは、はっきりとそう言った。


意外そうな顔が並ぶ。


「秩序を守るためなら、合理的だ」


一拍。


「だが――

 この辺境では、その合理性が命を切り捨てる」


視線が、一人ひとりに向けられる。


「俺は、

 守れない命を知っていて、

 何もしない選択はできない」


沈黙。


それが、答えだった。


その夜。


アルトは、一通の返書を書いた。


短い文面。


現地の状況により、

現在の連携体制を維持する


帝都の通達については、

引き続き検討中


封を閉じ、使者に渡す。


それだけだ。


命令を拒否したわけではない。

従ったわけでもない。


だが――

帝都が求めた結論は、書かれていない。


使者が去った直後。


視界が、静かに明滅した。


【領域支配】

外部命令の不履行を確認

判断主体を維持します



アルトは、息を止める。


次の表示。


新機能解放候補:

《上位命令拒否》

条件達成率:72%



「……やっぱりな」


呟きには、安堵も後悔もなかった。


ただ、覚悟だけがあった。


翌朝。


ローデン領からの報告が届く。


「魔獣の群れ、撃退」

「被害、なし」


続いて、グラーデン領。


「物流、安定継続」

「治安指数、上昇」


誰も言わなかったが、

全員が理解していた。


この結果は、帝都の命令では生まれなかった。


ラグスが、静かに言った。


「……もう、戻れませんね」


アルトは、頷く。


「戻らない」


訂正だった。


「最初から、

 戻る前提で守っていない」


その言葉は、

誰かを責めるためのものではない。


ただの事実だった。


その頃、帝都。


返書を読んだ調整官は、眉をひそめた。


「……回答になっていない」


上司が、短く言う。


「つまり?」


「従っていない」


その報告は、

ついにハインリヒ・フォーゲルの机に届いた。


彼は、返書を読み――

初めて、指を止めた。


「……検討中、だと?」


紙を置く。


静かに。


「……まだ、引き返せると思っているのか?」


それが、誰に向けた言葉だったのか。

彼自身にも、分からなかった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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