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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 山奥たける


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第11話 境界線をまたぐ命令

帝都からの使者が到着したのは、昼過ぎだった。


街道を進んでくる一団は、明らかに“帝都の正式使節”だった。

整った隊列、磨かれた鎧、掲げられた帝国紋章。


「……来たか」


アルト・レインハルトは、遠目にそれを見て静かに呟いた。


噂が、命令に変わる。

その最初の一歩だ。


応接室。


帝都使節の男は、年の頃四十前後。

肩書きは中央行政局・調整官。

敵意も高圧さもないが、徹底して“感情がない”。


「アルト・レインハルト管理補佐」


形式通りに名を呼ぶ。


「帝都より、正式な通達を持参しました」


差し出された書状には、赤い封蝋。


アルトは、無言で目を通す。


帝都通達


・ローデン領への軍事・行政介入を中止せよ

・越境的な指揮権行使を是正せよ

・各領地は、個別に帝都の指示を待て


「……なるほど」


声色は、変わらない。


調整官は続ける。


「これは、処罰ではありません。

 是正勧告です」


その言葉が、逆に重かった。


「辺境同士が独自に連携すること自体は、

 帝都も否定していません」


一拍置いて、言う。


「ですが、“一体として動く”のは話が別です」


それは、境界線の話だった。


その場で即答はしなかった。


「検討します」


アルトは、それだけを返した。


調整官は満足そうに頷く。


「賢明な判断です。

 帝都は、あなたを敵と見なしてはいない」


その言葉の裏にあるのは――

まだ、見下しているという事実だった。


夜。


幹部たちが集まった。


ラグス、ミヒャエル、内政担当の数名。

空気は、重い。


「従うべきでしょうか」


誰かが、そう口にする。


「帝都と正面衝突するには、まだ早い」


それも正論だった。


アルトは、黙ってUIを開く。


【領域支配】

外部命令を検出

競合レベル:中



(……来たな)


「従えば、どうなる?」


アルトが問い返す。


ミヒャエルが、静かに答えた。


「ローデン領は切り捨てられます。

 再び、単独で帝都の判断を待つことになる」


ラグスが、歯を食いしばる。


「それは……また、あの地獄に戻るってことか」


アルトは、ゆっくりと頷いた。


「そうだ」


そして、続ける。


「帝都の命令は、

 秩序を守るためのものだ」


誰も反論しない。


「だが、この辺境では――」


アルトは、全員を見渡した。


「命を守っていない」


沈黙。


それが、核心だった。


その夜、アルトは一人、書簡をしたためた。


帝都への返答。


現在、検討中

現地の状況を精査の上、改めて報告する


嘘ではない。

だが、真実も書いていない。


書簡を閉じた瞬間、UIが反応した。


【警告】

帝都命令との競合を確認

権能適用準備段階に移行します



アルトは、静かに息を吐いた。


(……選択の時が近い)


従えば、守れない。

拒めば、戻れない。


だが――


「最初から、

 戻る場所なんてなかったか」


そう呟き、窓の外を見る。


夜の街は、静かだった。

だがその静けさは、

帝都のものではない。


この領域の静けさだ。


翌朝。


帝都調整官は、何事もなかったかのように去っていった。


だが、その背中を見送りながら、

アルトは確信していた。


次に来るのは、

「勧告」ではない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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