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てる子のきらきら雪魔法

作者: 白夜いくと
掲載日:2025/12/27

【冬の童話2026】参加作品

◎テーマ「きらきら」

 大阪に雪が降りました。しっかりとした粒が6歳のてる子の頬に当たります。彼女は初めて見る雪に目をきらきらさせながら、


「雪や〜もっと降れー! こんこ、こんこー!」


 と両手いっぱい広げて言いました。言葉のあとに木枯らしが吹きます。


 キャッキャと笑う我が子を見た両親は『魔法使いみたいだね』と笑いました。

 てる子は、鼻や頬を真っ赤にしながら嬉しそうに笑います。


(私が、魔法使い?)


 彼女は、両親がマンションに入ったあともガレージでずっと遊んでいました。


「雪よ〜もっと降れー! こんこ、こんこー!」


 てる子の声に反応するように風が鳴き、耳の奥をツーンとさせます。


「さむい」


 ……と、思ったものの、てる子は両親が言った『魔法使いみたいだね』という言葉が引っ掛かったのでした。


「てる子は、雪の魔法使いかも」


 と。

 

「魔法使いは猫ちゃん連れてる。私は何かこう……違うヤツが欲しい」


 てる子は、ガレージの茶色く濁った雪を見て、思いつきました。


「雪だるまにしよ! 名前はユキ助!」


 しかし、雪だるまを作るには雪の量がたりませんでした。彼女は何か使えるものがないかと、周囲を見回します。


(そうや! なんか包も!)


 思いついたら探します。雪だるまの、かさ増し作戦です。てる子はガレージの車のタイヤの下に丸いキラキラした石を発見しました。


「これにしよー!」


 そこら中の雪をかき集めて、ひとつの雪だるまが出来上がります。


「ふ、我は雪の魔女、てる子やぞ。ユキ助。お前を召喚した者じゃ。これからよろしく頼むぞよ」


 てる子はそう言って、ガレージのストッパーのところにユキ助を置きました。

 しかし木枯らしが、出来たばかりのユキ助に試練を与えます。


「──あ、なに倒れてんのや!」


 何度も何度も風で倒れては雪が崩れてしまうのです。てる子があくせくしているうちに、雪は止んできてしまいました。


「あかんー、溶けてまう〜」


 てる子は、太陽のもとでは魔法を使えない事を知っています。だから帰ろうと後ろを振り返りました。


「あ」


 溶けた雪が彼女の足をすくいました。まるで金魚がポイのうえで滑るようにふわっと全身が浮きます。


(──やば)


 転けた。

 覚悟した瞬間、てる子は、誰かが、


あるじかすな、こがらし吹けよ! ヒューッと吹け!」


 そう言ったのが聴こえました。猫の身体のようにくるりと回る体。気がつけばてる子は、綺麗に着地が出来ていました。


「???」


 てる子は不思議そうに目の前のユキ助を見ました。溶けて剥き出しになった石が太陽に照らされて、きらきら輝いています。


(ユキ助が、守ってくれたんかなぁ)


 上階から様子を見守っていた両親が駆け付ける間にユキ助は、すべて溶けてしまいました。


「ありがとうな、ユキ助。また魔法が使える日に召喚したげるね!」


 そう言って、てる子は、ユキ助の石を上着のポケットに入れて部屋に戻ります。


 てる子の言葉に応えるように、冷たく爽やかな風が彼女の小指を優しくすり抜けていきました。





 おしまい

最後まで読んでくれてありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
 子供の「魔法使い」を信じる純粋さと、その「純粋さ」によって起きた小さな奇跡(場合によっては命に関わりますが……)を優しい視点で描かれた作品だと思いました。  この子がもう少し大きくなったときに「あ…
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