109プレイ目 ラフィス
砦の街フェンは聞いた通りにおかしな雰囲気の街だった。
だが椛が1周り歩いたくらいでは何も分からなかったので、好奇心を満たしたあとはオーフォロ王国のラフィスの街に移動した。
前回は転移門を登録し忘れていたので、真っ先に登録したものだ。
この国のおかしいポイントは商業組合だと思ったが、それは王都だけのようでラフィスの商業組合に悪い噂はあまりなかった。
皆無ではないが、他の街もそんなものだった。
「ダンジョンのボスは無理だったね…」
「ガウ…」
推奨レベルが5も高いダンジョンだったので、ボス以外も強かった。しかし勝てない相手ではなく、時間効率を考えても経験値のおいしい敵だった。
ビミョーに足りなくてレベル49だった椛が2日で51になったくらい、経験値は良かったのだ。
でもボスが強くて勝てなかったのだ。足りないのは防御力だったので、防具の新調が必要だと判断した。
ちょっと悔しい。
玄幽も悔しげにうなづいていた。
とにかくダンジョンはクリア出来たので街に戻って、港の屋台で買い食い中だ。この街は魚のフライが人気らしく、良く屋台が出ている。
今日はエビフライを見つけたので、それをかじっていた。
「低レベルの頃は格上に挑むのは普通だったけど、どんどん敵が強くなってたからなあ」
安全な同レベル帯とばかり戦っていた。
危険度が表示されるようになって、ますます安全策になってしまっていた。
なんだかヴィスタで怪鳥に挑んでは負けていたことや、迷宮都市のミノタウロス戦を思い出した。
「…いや、同レベル帯でも勝てない水中戦のせいじゃね!?」
今も同レベル帯どころか格下のはずの相手に勝てないことがある。
ルルイエのあいつとかあいつとかあいつ。
高速泳法のサカナめ。
クランチャットでも「戦犯はあいつ」で満場一致だったものだ。
もう一度、海で推奨レベル55の魔物と戦ってみた。危険度表示はないのでF相当のはずだ。
数回は勝てたが、また負けて街の転移門に送られてしまった。
水中戦は地上戦とは別物って良く分かんだね──という気分である。
レベルを上げるのなら地上戦一択だ。
水中戦は技量を磨くためにあるのだ。たぶん。
「はー、冒険者組合で調べて来よう…」
やはり海は当分行かなくて良い。
今はレベル上げが先なのだ。
でも高くて買えなかった雷属性のスキルブックで雷玉を強化したら、海でのレベル上げがまた出来るだろう。
高くて買えなかったが。
クエストで手に入れた雷属性付与のアクセサリーは玄幽に装備してだいぶ攻撃力はあったし、召喚獣だからか玄幽は水中戦でも普通に動けるのだが、アンセムで教官の指導を受けさせたくなった。
玄幽の強化は教官頼りだった。1番足りないから。
椛も教官殿に教わりに戻りたい。
[シラベさーん、各地のダンジョンとかフィールドの情報ってどこにまとめてありますかー]
[自分で調べてって言いたいところだけど、検索ワードこれだよ]
掲示板もスレが増えすぎて探すのが困難なのだ。
知ってる人に聞かないと見つからないこともある。
ということでまとめてる人たちの代表にチャットで尋ねて教えてもらった。
冒険者組合だと現地の情報しかないので、検証クランがまとめてくれているリストはとても有用だった。
椛も貢献したいとは思うが、すぐに忘れるのでたいして伝えられるネタは持っていなかった。
椛たちだと「経験値ウマ!」で終わるが、検証クランだと何故こんなに経験値が美味いのかを調べて言語化してくれる。
格上に勝てる人材が少ないと言っていたが少しはいるということなので、調査が進んだようだ。
西にも東にも推定レベル60くらいのレイド戦が待ち構えていそうだから、全体的なレベルアップは必要だと思う。
ということで掲示板に書き込むと言うので、そちらを確認しておいた。
NPCたちがレベル50からは本当にレベルが上がらなくなっていくと執拗いくらいに言っていたが、そこから経験値の入り方が変わる仕組みが判明した。
レベル50というのは冒険者側ではなく、魔物のレベルが基準である。
この魔物とのレベル差があると、これまでの基礎経験値をパーティの人数で分配した後に、それぞれのレベル差を参照してボーナスが発生する。
基礎経験値よりボーナスの部分が大きくて、レベル差がゼロ以下だとボーナスもゼロになって基礎経験値しか入らない。
格下ばかりと戦っていると経験値がクソ不味いという話である。
つまりひとつでもレベルが上の魔物を狩ることがレベル上げに必要だったのだ。
ただしレギオンを組むとボーナスそのものが消えるので、楽にレベル上げは出来ないようだ。
まあ、ひとつ上だと大差ないので気付かれていなかったらしいのだが。
推奨レベル50のフィールドと言っても出て来る魔物はだいたいレベル47~53くらいにばらつきがある。
安全策を取るタイプのプレイヤーだとレベルが3も上の魔物はスルーして他を探すものらしい。
苦戦して長引くより確実に勝てる相手を探すほうが早いから。
NPCの中にはレベル99になってカンストしている勇者様などがいたのも、倒した数より格上狩りをしていたからだと推察できた。
椛は細かい計算には興味がないので、とにかく格上を狩ればいいってことさ、と確認するまでもなく知っていた結論に至る。
いや、理屈があるのなら知っておきたいとは思ったが、いちいち計算する気はないのだ。
レベル差いくつが1番効率が良いみたいな話も出るだろうが、出来るだけレベル差の大きい魔物を狩ればいいことだし。
あとはゴーレムみたいな倒しやすい魔物のいる場所が人気になるだろう、と聞かなくても分かった。
そういう情報が溢れて、混み合うことだろう。
ついでにレベル1で仲間になる召喚獣は、この仕組みのおかげでレベル50以上の魔物と戦えばかなりレベル上げがはかどるとのことだった。
それは朗報である。
「でも格上と戦えるのは、レベル50からしばらくの間だけな気がするんだよな…」
レベルとは強さである。
レベル1の時にレベル5の最弱ウサギを倒すのは簡単だったが、レベル51の時にレベル55のウサギ系の魔物を倒すのは簡単か?
もちろん否だ。
ウサギ系の魔物はそんなに強いほうではないが、サクッと倒せるほど弱くはない。
だからレベルが上がれば上がるほど、レベル上げが難しくなって行くバランスになっているものだ。
他のゲームの話だが、ほとんどのゲームで同じことが言えるだろう。
たぶん西の大陸やヤマト国解禁のためのレイド戦などは、たいていのプレイヤーが参加できるレベルで設定しているはずだ。
だからレベル60あたりまでは上げやすいのではないだろうか。
しかしその先までサクサク進む気が全くしない。レベルキャップが99らしいのに、廃人たちすら半年以上過ぎてもたどり着く気配がないデザインになっている。
迷宮都市のダンジョンのクソ不味い経験値効率でレベル上げして、それでも一般プレイヤーより高レベルにしていたような連中なのに。
でもあの人たち、経験値がクソ不味いとシナリオイベントを探していたから、格上はスルーするタイプだったんだろうなと思う。
周回作業を延々と続けられるタイプでもあるのだろう。
椛は変化が乏しいと飽きるタイプだから気が合いそうになかった。
今後も会う機会はなさそうだから、気にすることでもない話だが。
ステータスを確認しない系の作者は、もちろんバトルごとの経験値も見てない派です
あと何体倒さないといけないかはっきりすると、うんざりしてやる気が失せるタイプ…
ちなみにアイドル様の『応援』スキルの重要度がさらに上がってしまって、血まなこになるプレイヤーが続出……




