表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夏の扉の香り

作者: 秋葉竹


 


カーテンが朝の光を

すこし遮れないので

うす青い薄氷が部屋に入って


初めてのあの日を想い出す

なんだかその清らかさに

笑えて来たりして


夏の朝はそれでも

なに蝉か知らないけど

バカ丸出しの鳴き声がケバケバしく聴こえる


なにもかもが淋しい考えが

降り頻る鳴き声を正しく理解し

慌ただしい光の帯が争いの無い世界を目指す


鬼面の逆光に

愛を感じるセンチメンタルな朝に

瞼を閉じる闇を救う愛がそこでは


木洩れ陽の暖かさが

心の氷を溶かす虚像の愛がそこでは

螺旋のように全てを赦そうとするだろう



夜に、なれ。



夜にさえなればまた静かで怠惰な世界が

私の心を捉えて離さないだろう

夜への希望は淋しいくらい孤独だけれども


夏の扉の香りだけが

ぎっしりと詰まった海岸へゆこうよ

鶴に似た流木をたったひとつみつけたよ

 


『乾いた渚、わからない無限

宇宙と薔薇の甘い接吻を

誰もみたことがないからすこし淋しいのです』



波に持ってゆかれた純情は

ゼロの調べをゆらゆらと奏でて

夜を迎え入れるかのように夕陽が沈む


沈む懐かしさに

静かな、それでいてすこし痛い想いで

生きる意味なんて問いかけたりして


ささやくようになにもかも

やめたくなるトモシビの儚さ

灯すは、祭りのあとの静かな異界の獣か







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ