5枚目 次の日です・・・
第5話です。
入学式の次の日、僕たち以外の学年言い換えれば僕たちの先輩も一緒に登校している為道が混雑している。
上手いこと人の隙間を見つけてはそそくさとすり抜けるの繰り返しをしながら登校した。
「やっぱり、有名私立なだけあって在校生は多いんだなぁ・・・」
と思いながら昇降口を通ろうとした時、これまた厄介なことが・・・
そう、渋滞2ndが待ち受けていた。
「うわーまたしても渋滞・・・暫く待つか〜」
「あっ。」
僕は何処かで時間を潰そうかと思い辺りを見渡していた。
そこである人物が僕の視界に入った。それは・・・
“根賀さん”だ。
「おはようございます。根賀さん。」
「すごい混み具合ですね」
根賀さんは昨日と変わらず、おどおどしている。
すると、根賀さんはまたしても土下座をし始めた。
「ええ!?」
「ちょっ・・・根賀さん!?ここでそれはマズイですよ!とりあえず、頭を上げてください!」
※in教室
「はぁはぁ、なんとかチャイムが鳴る前に間に教室に入れて良かった。」
遅れて根賀さんも急いで入ってくる。
お互い席に座り、荷物を置き、呼吸を落ち着かせる。
「はい!お前ら席についたかぁ!?」
「ホームルーム始めるぞぉ!」
そうしてHRが始まり、1時間目が始まった。
※1時間目・数学
「よぉし!お前ら!気合い入れてくぞぉ!俺の名前は数 学だ。ってよくよく考えたら昨日自己紹介してなかったな!アッハッハっ!」
あの感じで数学の先生なんだ・・・
※2時間目・化学
「はい。みなさん初めまして。化学担当の“学増 理科”と言います。おばさんだけど、これでも共通テスト満点だったんだよ。はい自己紹介はおしまい。それでは、今からテストを始めますね。」
えっテストって聞いてないんだけど・・・
※授業が初回なので当然である。
※3時間目・現代国語
「みなさん。おはようございます。現代国語を担当することになりました。文 文美と言います。では、番号順に自己紹介と好きなラブコメを教えてください。」
まとも枠かと思ったけど、名前のインパクトが他より強い・・・
あとなんでラブコメ?
※4時間目・英コミ
「Hello,everyone! I’m Komi Ei. I am pleased to announce that I will be teaching this class.Nice to meet you!」(こんにちはみなさん!私は古見 英です。この度はこの授業を担当することになりました。よろしくね!)
えっなんて?何言ってるのか分かんなかった・・・
※保寺君は英語が苦手。
※昼休み
やっと昼休みだ。
辺りを見渡すと、もう友達を作って一緒に食べている人がいる。
僕も早く友達を作りたいけど、あの時のトラウマが・・・
すると予想外の人物が僕の背中を引っ叩いた。
「やっほ〜つねつね〜」
「うおぁ!あっ!お、お前は!日佐 渋里」
「小学生ぶりだな!」
「なんだよなんだよ〜。昔はもっと友達作ってワチャワチャしてただろ〜?」
「もう昔とは違うんだよ。っていうかお前女だったのか?」
「ん?ああ。言ってなかったっけ?僕ね、男でもあり女でもあるのさぁ〜」
「これ以上は、あえて聞かないことにするわ。」
「っていうか、なんでうちのクラスに?」
「いやぁたまたま君を見つけたから無性に攻撃したくなっただけ〜」
「最低だなお前。」
「あっ!ねぇねぇそこの片目隠れてるミステリアスガール!」
「今から食事かい?一緒に食べないかい?」
「えっ?根賀さんと知り合いだったのか?」
「いや、全く?」
「コミュ力高すぎだろお前・・・」
すると根賀さんがまたしても震え出し、震える手で弁当箱を置く。
土下座すると思っていたが、そうではなく、手を太ももの上に乗せ顔を下に向けたままだった。
立ったままの渋里はよく見えないだろうけど、横から見ると根賀さんの表情はまるで何かに怯えている様な表情だった。
「あっ、渋里。根賀さんは体調があんまり良くないみたいだから、後でまた声かけてあげて。」
「あっそうなんだ。ごめんね〜気づかなくて。それじゃあつねつねバイ〜バイ」
そうして渋里は教室を去った。
僕は、根賀さんの様子を伺いながら声をかけた。
「ね、根賀さん。大丈夫ですか?」
『ごめんなさい。私なんかに、お手を煩わせてしまって』
「全然大丈夫ですよ。根賀さん、とても苦しそうだったので。」
「でも、アイツは結構いい奴なので、今度声をかけて来た時は一緒に話しましょう。」
「仲良くなったら、根賀さんもきっと得をすると思いますよ。」
「・・・・・・・・・」
『保寺君でしたっけ? 私なんかより他の明るい女の子と接していた方がいいですよ。』
『私は明るくないし、可愛くないし、何より小心者です。女の子としての魅力は私にはありません。』
『だから・・・』
「だからって、仲良くなれない理由にはなりませんよ。」
「・・・友達になるのに、男も女も関係ないです。みんな自分が友達を作りたいから行動してる。その結果として友達になるという目的を達成しているんです。もちろん、友達という事を意識し過ぎて逆に作れない。っていうケースもありますが・・・」
「・・・・・・・・・」
「その、根賀さんが嫌じゃなければ、友達になりませんか?」
「・・・・・・・・・!」
根賀さんがゆっくりと頭を縦に振ってくれた。
そして、僕は根賀さんにある事を提案する。
「根賀さん。その、嫌だったら断ってくれても構いませんが、記念として写真撮りませんか?」
「あっ、その、昨日のやりとりで根賀さんの昔の趣味が写真を撮る事って言ってた気がするので!」
「決して、調子に乗った発言では・・・」
すると、根賀さんはスマホを縦に構え、僕を見つめて来た。
これは写真を撮る合図だ!
すかさず根賀さんの近くに近づき、ピースをする。根賀さんはピースをするどころか、笑顔じゃない。
だけど、これが一つの良い思い出として残ってくれるのであれば、今はそれでいい。
と、僕は心の中で思った。