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三話「クズ男ルイはなぜモテる?!」〜ルイはデッドの悪夢にうなされていた。だが夢に出てきたのは男。嫌な予感がしたルイは会社へ。するとそこには、弁護士の友達モスとルイの浮気相手の一人、シャイが一緒にいた〜

 ルイは悪夢にうなされていた。


 暗い中、クローゼットで靴を選んでいると背後から足音が。どんどん近づいてくる。


 ハイヒールのような足音にルイは妻のデッドだと確信していた。

 その足音はついにルイを馬乗りにし、首元に手をかける。


 ルイは必死に妻の髪を掴む。


 しかし掴んだ髪はブロンドのショート。



「うわあっ!」


 ルイは自分の叫び声で目が覚めた。


「どうしたの?」


 隣で寝ていたデッドも起きていた。


「あぁ、いや。なんでもない。ただの悪夢だ」

「そう? ならわたしはまだ寝とくわね。あなたは会社に行く準備でもしたら?」

 デッドはまた布団に潜る。


 ルイは妻の言う通りにベッドから降りてスリッパを履く。



 今日はいつもより早く会社に行く。


 財務関係で弁護士の友達モスと打ち合わせがあるが、時間にルーズなモスは何時間か遅れてくる事だろう。

 だから早く着き、他の仕事を終わらそうとルイは考える。


 C.E.O室の扉を開けた時、どこからか、声が聞こえた。


 叫び声、とまではいかないが大声を必死に抑えるような声が聞こえる。

 仮眠室からか?


 ルイは仮眠室のドアが開いているのに気づく。

 近づくとともに聞こえる声は大きくなる。


 中を覗くと男女が抱き合っていた。


 ルイはその人物たちに見覚えがあった。


 男はブロンドのショート。どこかDV気質の手つき。

 女はこげ茶の髪がちりちりになっており、何度かその髪を解いたことがる。


 うそだ。


 抱き合っている男女は

 ルイの友達、モスと

 ルイの浮気相手、シャイだった。



 自分の浮気相手である新入社員と抱き合っていた友達との商談は無事終わり、ルイはモスを見送っていた。


「じゃあな。ルイ。奥さんと仲良くしろよー」

「君もね」

「? 俺は未婚だよ」

「……そうだね」


 ルイは気まずいながらもモスとの最後の会話をやり遂げた。


 ルイは次に寝取られたシャイに挨拶をする。


 シャイはごく自然に

「こんにちわ。今日、湿度が高くって、髪がぐしゃぐしゃなんですぅー。いつもみたいに三つ編み、してくれません?」

とクソ女ムーブをかました。


 シャイの髪はいい匂いだが、この髪もモスが触ったと考えると喉元までゲボが来る。


「ありがとうございます! 綺麗な三つ編み~!」

「そうかな。午後の仕事も頑張って」

「はい!」


 この後ルイは耐えられなくなり、すべてを副社長のティンに話した。


 ティンは自分以外に浮気相手がいることに怒ったが、シャイとの関係を終わらせたいと話すと期限を直す。


「ああいう子はスパッと振ったほうがいいわ。ルイはCEOなんだからもっと自信をもって!」


 妻がいながら二人と関係を持っていた私がどう自信を持てばいいのか分からなかったが、ティンのことが通りシャイを振ることにした。



「え? 私との関係を終わらせたい? ちょっと、待ってください。モスさんとは無理やり……」

「応じてたじゃないか。モスと仲良くしとけよ。じゃあねシャイ。好きだったよ」




 三話の内容はこんなものか。


 土曜の十時にやるのにふさわしい内容だ。

 もともとこのドラマは朝ドラの予定だったらしいが、この時間にして正解だろう。

 このドロドロを朝していたらと考えると胃が痛い。

 きっと私も非難されていたに違いない。


 それはないか。私はシック・ウァニュだからな。


 二話は撮り終えた。


 二話の後出演者みんなで焼き肉に行った。


 まずルイ役の私、シック・ウァニュ。

 妻役リリー。

 ティン役ガール。

 モス役ネック。

 シャイ役マリリン。


 席順は


マリリン 机  ガール

シック  机  リリー

ネック  机  監督


 と、いう感じになぜか監督もついてきた。


 ネックとリリーは既婚者なので隣を異性に選んだ。


 話の内容はリリーの三十歳年上の夫の悪口や、共演した俳優の悪口や、監督の口が臭い問題について話した。


 ガールの隣になれなかったことは惜しい。

 そしてリリーが言っていたガールに彼氏がいるという件は聞き出せなかった。


 惜しいことをした。


 しかし良いことに気付けた。

 ガールは偉い子だ。


 ガールは自分から率先して肉を焼き、みんなに平等に分ける。

 私たちに肉をくれるガールはまるで女神のようだった。


 モス役ネックは親も芸能人で子役時代からの仲だったが、彼の結婚相手の話は聞いたことがなかった。

 それが焼き肉の席で聞き出せた。


 ネックは成人になったばかりの少女と授かり婚したとのこと。

 今は赤ちゃんも五歳になっていて、妻とも仲良しらしい。


 お金に困ったらデキ婚したネックを週刊誌の餌にしようとした自分が情けない。


 しかしよくよく話を聞いているとネックが奥さんの尻に敷かれているようでますます自分が情けない。


 よくネックが財布を出さないのも月のお小遣いが一万円もないからだと分かった。


 しかしネックは焼き肉の会計で普通に払っていた。

 何が嘘か分からない。


 これだから演技がうまいやつは。

次回

四話 「或る夜のイット・ボーイ」

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