第一話「一度のキスから一年の浮気」～ファッションブランドのCEO、ルイ(シック・ウァニュ)は副社長のティン(ガール)との浮気を妻のデッド(リリー)に知られてしまう～
元モデルのデッドと結婚して四年。
最初の一年は納得のいかないこともあったが、まだ夫婦仲は良かった。
二年目になるとデッドは私に口を聞かなくなった。しかし帰るとご飯は作っていたし、家から出ることはなった。
しかし三年目になると状況は変わった。デッドが家を何回も出ていき、実家にいくようになった。
とっくに夫婦仲は冷めていた。
しかし妻は私と離婚することはなかった。
きっと私たちの結婚を世間に公開していたから世間体を気にしていたのだろう。
妻が一週間家を空けた。
私は支えが欲しかった。
だから会社の副社長ティンと関係を持った。
私を一人にしたデッドのせいだ。
私は悪くない。
一年前からティンの関係は変わらない。
妻の話を聞いてくれ、私を支えてくれる。
デッドは一カ月に一回、実家に戻るだけで離婚を切り出そうとはしなかった。
彼女は昔から世間体が一番大事なのだ。
私よりも。
ティンは優しい。
五年前、私が会社も作ると言った時からついてくれている。
ティンがいなかったら私はどうにかなっていた。
デッドには浮気がばれていない。
きっと彼女は知っても離婚はしないだろう。
世間の目を気にして。
今日の朝、妻が一週間行っていた実家から帰ってきた。
私が会社に行くのと丁度行き違いになった。
妻は何も言わず家に入った。
私も何も言わず出ていく。
……なんで帰ってきたんだよ。
今夜はティンを家に呼ぶ予定だった。
妻が帰ってきたのでティンの家で飲むことになった。
朝帰りでも妻は何も言わない。
次の日の朝。
「仕事が忙しくて昨日は帰れなかった。今日は休みを取った」
それだけ言って仕事部屋に籠る。
仕事部屋にデッドは入ってこない。
しかしノックをして入ってきた。
「浮気してるよね。わたし、知ってるから」
それだけ言って出ていく。
驚き、急いで追いかけると妻は家を出て行った。
なんで。
いつバレたんだ？
しかし心配ない。誰にも言わず、またいつものように帰ってくるはずだ。
私はティンに電話した。
「今妻が出て行ったんだ。今から家来れるか？」
私はデッドがいなくなったところでなんともならない。
困るのはデッドの方だ。
だれが稼いでると思ているんだ、あいつは。
また一週間後ぐらいに帰ってくるだろ。
一話の内容はこんなかんじか。
私はシック・ウァニュ。子役時代から売れている俳優だ。
毎週土曜十時からのドラマ「浮気を無罪にする方法」の主演のオファーを受けた。
このドラマのキャストは豪華だ。
まずイケメン浮気性の主人公ルイ・ファン役、シック・ウァニュ。
言わずもがな、私がいるだけでこのドラマは売れる。
妻のデッド・ファン役、リリー・ヒル。
彼女も子役時代からよく共演した俳優だ。最近三十歳年上の一般男性と結婚した。
浮気相手の一人で副社長のティン役、ガール・ファイ。
彼女は最近売れて来た新人俳優だ。実力があって顔がいい。私は彼女を狙っている。
まだ出ていないキャストの紹介はやめておこう。
私はこのドラマ撮影を意味のあるものにしたい。
率直に言えば、ガールと付き合いたい。
この話はドラマの話などではない。
「ガール。今夜、私の家でキスシーンの練習をしないか？」
ドラマ撮影をする俳優たちの、恋の話だ。
次回
第二話「新たな浮気」
